H&M Foundation(H&M ファウンデーション)は、 2015年に循環型の廃棄物を出さないファッション業界への移行を促進すべくイノベーションアイデアを競う「Global Change Award(グローバル・チェンジ・アワード)」を創始し、 ファッション業界全体に変革を促進する先駆的なアイデアを募集している。2016年9月に「第2回Global Change Award」のエントリーを開始し、 この度5組の受賞者が選ばれた。これから 世界中の人々が参加できるオンライン投票により、100万ユーロが5組間でどのように配分されるか決まる。これは世界で最も影響力を持つ産業のうちの1つに影響を与え、サステイナブル(持続可能)な未来に貢献する稀な機会。 オンライン投票は 2017年3月27日~ 4月2日の間行われる。
オンライン投票のURL:www.globalchangeaward.com
「第2回Global Change Award」の受賞者は、服のリサイクルを促進するデジタル・コンテンツ繊維、石油の代わりにバイオマスと太陽光エネルギーで作られるカーボン結合ナイロン、ワイン製造工程の廃棄物から作られる植物性合皮、古いデニムを用いた新しいデニムの染色、そして牛の糞を生物分解性の布地に変えるなど、画期的な幅広いアイデア。
「第2回 Global Change Award」には130カ国から2,883件の革新的なアイデアの応募がありました。これは第1回よりもさらに多い数です。境界を越える課題は、境界を越えるアプローチを必要とします。異なる業界から、様々な背景や視点を持つ人びとを集めることで根本的なシフトを行うことができ、循環型の廃棄物を出さないファッション産業への移行の速度を速めることができると私は確信しています」(H&M Foundation役員、 H&M CEOカール・ヨハン・パーション)
5つの最も前途有望なイノベーションを選考する国際的な専門家から成る審査員団には、ワールド・バンク・グループの気候変動・環境ファイナンスの所長を務めるヴィクラム・ウィッジ氏、ロンドン芸術大学 サステイナブル・テキスタイルおよびファッションデザイン教授のレベッカ・アーリー氏、スーパーモデル、女優、そしてサステイナビリティのインフルエンサーであるアンバー・ヴァレッタ氏、ニューヨーク科学アカデミーの学長およびCEOのエリス・ルビンシュタイン氏が名を連ねている。
「サステイナブルではない地球にあってあらゆる産業はその戦略を変える必要があります。 Global Change Awardはサステイナブルではない産業に変革を引き起こす最も大胆不敵な試みであり、 H&M Foundationの受賞者は変化を引き起こす革新的科学とテクノロジーの莫大な可能性を体現することになるのです」(ニューヨーク科学アカデミー プレジデントおよびCEO、 エリス・ルビンシュタイン氏)
2016年 Global Change Awardに受賞した5つのアイデア
1.『デニム染めデニム:古着デニムを使った新しいデニム染色』
古着デニムを細かい粉に分解し、新しいデニムを染めたり、テキスタイルにプリントするための染色パウダーに変える。この手法は製造に使われる水とエネルギーの両方を削減し、また古着デニムを廃棄する代わりに再利用する。
Short Video : https://youtu.be/u93Gr_C-F9M
2.『太陽光テキスタイル:太陽のエネルギーを使って作る服飾布地』
石油の代わりに水、植物性廃棄物、そして太陽光エネルギーのみを使って分解性ナイロンを製造するというのは、この地球に負担を減らす。さらに、このナイロンはまた温暖化ガスをその材料の中に結合させて排出量ゼロの世界に貢献する。
Short Video : https://youtu.be/zyLHBI95U0o
3.『コンテンツ繊維:何を着ているのかを教えてくれるデジタル繊維』
RFID糸を使ってデジタル化された「材料リスト」を服に織り込む。服がどのような材料でできているかが明らかになるため、リサイクルのプロセスがさらに効率が良くなり、廃棄物の量が少なくなる。
Short Video : https://youtu.be/nHQax7WK0Bw
4.『グレープ合皮:ワイン製造の工程で出る廃棄物を使って完全植物性の合皮を製造』
ワイン生産からの残余物を使用して上質の植物性の合皮を生産することは、動物福祉に適しており、合成皮革を作るための石油の必要性を排除する。さらに、ぶどうの皮や茎が燃焼の代わりに良いもののために使われる。
Short Video : https://youtu.be/mGCLlJxdYXc
5.『糞クチュール:牛の糞を材料とした布地』
生物分解性テキスタイルを作り出すために牛の糞に含まれる貴重なセルロースを抽出し、使用する。これによって、メタンガスや土、水、大気を汚染する物質の放出も著しく減少させることができる。
Short Video : https://youtu.be/lEqyhHas0Vw
• オンライン投票と結果
3月27日~4月2日までの間、世界中の人がglobalchangeaward.comでこの 5つの受賞イノベーションに投票することができる。結果とイノベーションに取り組む受賞者達は、4月5日にスウェーデンのストックホルムにあるシティホールで行われる Grand Award Ceremony(グランド・アワード・セレモニー)にて発表される。
•助成金
一般人から最も多くの票を得たイノベーションには 30万ユーロの助成金が与えられ、2番目にランクインしたイノベーションは25万ユーロを、そして残りの受賞者にはそれぞれ15万ユーロが与えられる。助成金として授与される額は総計 100万ユーロ。
•資金
H&M Foundationは H&Mの創業者であり主要オーナーであるステファン・パーション一家による資金供給を受けている。非営利団体 H&M Foundation、会社 H&Mのどちらも Global Change Awardで競われるアイデアのいかなる株式あるいは知的財産権を所有することはない。
•イノベーション促進
Global Change Awardの受賞者は経済的助成金の受領に加え、アイデアを実現し、最大限の実績を達成し、また業界へのアクセスを得るために H&M Foundationがアクセンチュアとスウェーデン王立工科大学(KTH)と提携して提供する、各人に合わせて作られた1年間のイノベーション促進プログラムに参加することができる。
•応募統計
今年 Global Change Awardへの応募数が最も多かった国はインド、アメリカ、ナイジェリア、イギリス、イタリア、スウェーデン、マケドニア、インドネシア、イラン、そしてバングラディッシュであった。応募者の 56%が女性であった。
<専門家審査員団のメンバー>
デヴィッド・ロバーツ氏:シンギュラリティ大学名誉教授
レベッカ・アーリー氏:ロンドン芸術大学 「サステイナブル・テキスタイルおよびファッションデザイン」教授、 同テキスタイル・フューチャーズ・リサーチ・センター(TFRC)ディレクター
エリス・ルビンシュタイン氏:ニューヨーク科学アカデミー プレジデントおよびCEO
アンバー・ヴァレッタ氏:スーパーモデル、 女優、 起業家、 サステイナビリティのインフルエンサー
ルイス・パーキンス氏:クレイドル・トゥ・クレイドル・ プロダクト・イノヴェーション・インスティテュート会長
ヨハン・L・クイレンスティアナ氏:ストックホルム環境研究所エグゼクティブディレクター
デイム・エレン・マッカーサー氏:エレン・マッカーサー財団創設者・代表
ヴィクラム・ウィッジ氏:ワールド・バンク・グループ気候変動・環境ファイナンスリーダー
■Global Change Awardについて
Global Change Awardは2015年に非営利団体であるH&M Foundationにより始められたイノベーションチャレンジ。その目的は、環境に付加の少ない革新的なアイデアを通じて、地球の天然資源を保護し、ファッションにおける循環を達成すること。毎年5つのアイデアを選考し、受賞5チームは100万ユーロの助成金を分配され、また、H&M Foundation、アクセンチュア、スウェーデン王立工科大学 (KTH) が提供する1年間のイノベーション促進プログラムの支援を受ける。100万ユーロを5組の間でどのように配分するかの決定には、世界中の人々がオンライン投票で参加できる。Global Change Awardは初期段階のイノベーションに対する世界最大クラスのチャレンジであり、ファッション業界においては初めての構想。