DIC(株)は、高い親水性(水のなじみやすさ)と親水性の保持、プラスチックなど様々な基材への高密着を実現した、鏡や窓ガラス、ゴーグルなどに用いる防曇性コーティング剤「ハイドランExp.CP-8080」を開発した。2017年1月よりサンプルワークを開始する。
ガラスやプラスチックの曇りは、表面に結露した微細な水滴に光が乱反射することで発生する。防曇性能を出すためには、結露した水分を水滴化させないことが求められるため、表面に親水性や保水性が付与されている。従来、親水性の付与には、界面活性剤や親水性高分子の塗布、あるいは基材表面に親水基を形成する加水分解処理が行われてきたが、界面活性剤や親水性高分子は基材との密着性が弱いため流出しやすく、加水分解処理は基材が限定されることが課題であった。
同開発品は、DIC独自の樹脂設計技術を駆使することで、優れた密着性を有するウレタン樹脂と親水性樹脂が加熱処理により網目(ネットワーク)構造を形成し、空気界面側に親水性樹脂、基材界面側にウレタン樹脂が配向した状態で相互に架橋することで親水性樹脂の基材からの流出を防ぐ。その配向が維持されることにより、空気界面では親水性が保持され、基材面ではウレタン樹脂の特性を生かし基材への密着性を高めるとともに基材の曲げや反りなどへの追従性も実現している。また、同開発品は、ウレタン樹脂も水性化し、水性コーティング剤としているため、揮発性有機化合物(VOC)削減を実現した環境対応型製品。
同開発品と一般的な親水性コーティング剤を塗布したガラス板を冷凍庫で-10℃に冷却し、25℃湿度50%の室内に取り出した5分後の外観写真を確認した結果、同開発品を塗布したガラス板は優れた防曇効果を示した。また、水浸漬10日後でも同等の防曇性を示しており、親水性樹脂が基材から流出していないことを確認している。
同開発品は、親水性樹脂の配合比率などを基材に合わせて製品設計とすることで、従来、密着させることが難しかった本製品の主なターゲットとしているポリカーボネートやPETなどのプラスチックにも対応可能。
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【防曇性コーティング剤】DIC、親水性の保持とプラスチックなどの基材への高密着を実現した「ハイドランExp.CP-8080」開発
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