京セラ(株)は、11月22日に、鹿児島国分工場(鹿児島県霧島市)において新棟(第4-1工場)の建設を開始するにあたり、地鎮祭を執り行った。
同社は、生産能力の増強および将来の事業拡大に向けて、鹿児島国分工場新工場棟の建設を決定し、2017年10月に鹿児島県霧島市と立地協定を締結した。
現在、需要が旺盛な半導体製造装置用等のファインセラミック部品においては、この新しい工場棟の活用により、生産能力を従来の2倍へと拡大する計画。また、同工場は、将来の設備増設を見据えたスペースを確保しており、更なる事業拡大に向け積極的に投資を行う。
<新工場棟の概要>
名 称:京セラ(株)鹿児島国分工場 第 4-1 工場
所 在 地:鹿児島県霧島市国分山下町 1-1(既存敷地内)
総投資額: 約 56 億円
建築面積:5,561.88m2 (鉄骨、6 階建)
延床面積:29,232.18m2
建設計画:2017年11月着工、2018年10月操業
生産品目:半導体・ディスプレイ製造装置用ファインセラミック部品等
生産計画:約30億円(初年度:2018年10月~2019年3月)
【ファインセラミック】京セラ、鹿児島国分工場新棟の建設工事開始
【3D技術】JSR、パラアスリートのパフォーマンス向上を図る「スポーツ・アンド・ヘルス イノベーション コンソーシアム」に参画
JSR(株)は、アスリートや関係者を支援する技術開発を行う、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの「スポーツ・アンド・ヘルス イノベーション コンソーシアム」に参画している。
同コンソーシアムの活動の1つとして、3D技術を活用してパラアスリート一人ひとりの身体に合った用具を作ることでパフォーマンスの向上を図る研究も行っている。同社は、3Dプリンティング技術およびその材料技術を通じた事業展開の一環として、2015年10月に同コンソーシアムに参画し、車いす競技用のグローブ開発を進めてきた。車いすアスリートの育成、サポート事業を行う(一社)ソシオSOEJIMAでの製品化検討など、パラアスリートを支援する団体の活動もサポートしている。
車いす競技用のグローブは、選手一人ひとりが手作りするため制作に時間がかかる。グローブの形状を3Dデータに起こし、3Dプリンターを使って制作することで、身体にフィットしたグローブを繰り返し再現することが可能となり、制作に費やす時間を短縮することができる。また、3Dデータの微調整を行うことでより使い勝手の良いグローブを作ることができ、選手のパフォーマンス向上にも役立つ。
2017年11月より(株)ブリヂストンが新たに活動に参画することとなり、JSRの3Dプリンティング技術および材料技術と、ブリヂストンの素材技術によって、より一層選手の身体にフィットしたグローブを開発し、選手のパフォーマンス向上に貢献していく。また、同コンソーシアムの活動が(一社)日本パラ陸上競技連盟の協力を得られたことで、一般普及への具体的な取り組みの加速が期待される。
【酢酸および酢酸ビニル】昭和電工、2018年1月出荷分より値上げ
昭和電工(株)は、最近の原燃料価格上昇の状況から、酢酸および酢酸ビニルの国内販売価格を引き上げることを決定し、顧客との交渉を開始した。値上げ幅は、酢酸で10円/kg、酢酸ビニルで15円/kg。実施時期は2018年1月1日出荷分より適用。
【平昌2018冬季オリンピック】ダウの断熱やシーリング技術、オリンピックプラザ、国際放送センター、スライディングセンターに採用
平昌2018冬季オリンピックを控え、韓国で予想される厳しい寒さへの対策として、 アスリート、観客、メディア、その他の参加者にとって良好な環境を実現するための準備が、オリンピック関連会場で進んでいる。
ダウ・デュポンの子会社であるザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの建材技術がオリンピックプラザ、国際放送センター、オリンピックスライディングセンターで活用されており、さまざまな環境要素から観客を守り、熱漏れを最小化し、競技に最適な氷の表面状態を維持することに貢献する。
「オリンピックの公式化学会社であるダウは、革新的ソリューションを活用し、競技と周辺地域のために優れた性能を備えたインフラ整備に貢献します。ダウの持続可能な 技術製品群は、まさに科学とスポーツが交差する場で活躍します」と、ダウ・オリンピック&スポーツ・ソリューションズのバイスプレジデントであるルイス・ベガ氏は述べている。
断熱と断冷
オリンピックプラザは、開会式と閉会式で使用されるオリンピックのランドマークとなる施設であり、国際放送センターは、メディアが集まる中心拠点として機能する。平昌の2月の平均気温は1~2℃であるため、建物のエネルギー効率を最大化し、暖房コストを下げる対策が不可欠。この2つの施設において、ダウのさまざまな技術が重要な役割を果たしており、温かい空気を保ち、防寒防湿性能を発揮する。壁面や屋根には、ダウのPAPI™ポリメリックMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を配合したPIR(ポリイソシアヌレート)パネルが施工され、断熱性を高めている。高性能な断熱材であるこれらのパネルは、会場を寒冷な気候から守るとともに建物のエネルギー効率の向上に寄与し、建物の省エネに貢献する。
また、壁面と屋根には、ダウのVORANOL™およびISONATE™ポリウレタンコーティング技術とVORASTAR™コーティング技術が施されており、建物に防水性を付与している。さらに、ダウコーニング®™シリコーンシーラントは、壁面のドアや窓枠まわりの隙間を埋めて冷気の侵入を防ぐことで、国際放送センターで活動する報道陣を平昌の寒さから守る。外気を侵入させず、耐候性にも優れたこのシーラントソリューションは、世界中の有名な建築物で使用されており、意匠性を保ちつつ建物外郭の気密性を向上させている。
オリンピックスライディングセンターには、防寒のためではなく、低温を保ち、氷の質を一定にするためのダウの断熱技術が施されている。スライディングセンターの断熱処理には、ダウのVORANOL™とPAPI™ポリメリックMDIを配合したポリウレタンスプレーフォームが使用されている。この断熱ソリューションにより、温度を安定的に管理して競技場の氷が解けるのを防ぐことで、良好な氷のコンディションを維持し、リュージュやボブスレー、スケルトン競技に出場する選手の安全性とパフォーマンスの確保に貢献する。
「ダウの断熱、シーリング技術は、オリンピックプラザ、国際放送センター、スライディングセンターなど、平昌2018冬季オリンピック主要会場におけるエネルギー効率の向上に貢献しています」と、ダウ・オリンピック&スポーツ・ソリューションズでアジア太平洋地域コマーシャル・ディレクターを務めるフィル・オー氏は述べている。「オリンピックプラザと国際放送センターでは温かい気温を保ち、スライディングセンターでは低温を保つために使われている技術は、ダウの建材ソリューションの多機能性を示しています」
【デジタル印刷】ハイデルベルグ、フランクフルトモーターショー2017で提案
ハイデルベルグは2017年9月14日~24日までドイツ・フランクフルトで開催されたフランクフルトモーターショーにおいて、自動車産業の技術パートナーとして、カスタマイズに対応する高度なデジタル印刷技術を披露した。
メルセデス・ベンツ展示ブースで実演:“色彩を解き放つ”-smart向けのカスタムトリムをハイデルベルグの4Dデジタル印刷システムオムニファイアが披露
ネットワーク化が進み、より顧客の要望に沿った製造が必要であることは、自動車産業でも例外ではない。自動車産業が求める生産を実現する技衛をもったパートナーが不可欠な存在となる中、メルセデス・ベンツの展示ブースでは、来場者が自分の好みに合わせてsmartをデザインできるデモンストレーションが披露された。
実演に用いられたハイデルベルグの「オムニファイア250」は、一貫してデジタル化された手順で、smartのデザインから印刷までを行った。まず、コンフィギュレーションアプリを使って、来場者は内装パーツ(ベンチレーションノズル、インスツルメントパネル、マルチメディア操作パネルなど)を好みのモチーフで自由にデザインした後、全体のデザインをタブレットもしくはVR(バーチャルリアリティー)ゴーグルで確認。作成したデザインは、印刷用に最適化された後、ハプティック効果を使ったカラー印刷で実際の部品の表面に直接印刷される。これは、デジタル生産工程と結びついたハイデルベルグの新しいデジタルソリューション。
「私たちはフランクフルトモーターショー2017で、個別・多様化する未来を来場者にご覧頂き、自動車産業の技術パートナーとしての存在を示すことができました。デジタル印刷か崖業プロセスとの融合へ向かっていくことは、私たちを新たな成長市場へと導きます。私たちには、個別・多様化した世界を作り、お客様が求めるデジタルビジネスを様々な分野でサポートしていく能力と技術があります」と、ハイデルベルグの取締役会メンバーでデジタル最高責任者のウルリヒ・ヘルマン博士は説明する。
様々な形状、材質の物体へ印刷が可能なハイデルベルグの「オムニファイア1000」「オムニファイァ250」
大量に生産された高品質の製品を、個別の消費者や顧客に合わせてカスタマイズできれば、自動車産業をはじめとした多くの分野で、魅力的な新しいビジネスモデルが誕生する。これを可能にするのがハイデルベルグの4Dデジタル印刷技術。
「オムニファイア1000」と「オムニファイア250」は、例えばボール、飲料ボトル、ホッケー用スティック、車や飛行機の部品、また飛行機の機体そのものなど、ほぼあらゆる形状、材質からなる3次元の物体へのパーソナライズ印刷やデコレーションを可能にする。また、このシステムは、ほぼすべてのデジタル生産工程への統合が可能。
ハイデルベルグはこの印刷技術を2015年にドイツ・ミュンヘンで開催された産業用技術の展示会lnPrintにて公開して以降、インクジェットシステムを産業分野向けに開発し続けてきた。
デジタル印刷機の充実したラインナップ
フランクフルトモーターショー2017で4Dデジタル印刷システムを披露したハイデルベルグは、「Heidelberg goes Digital」というスローガンの元に推し進めているデジタルトランスフォーメーションの成功をより確固なものとし、製品ポートフォリオをさらに拡大し続けている。
昨年のdrupa 2016ではスマートプリントショップを発表し、産業分野のデジタル化ならびにデジタル印刷を展示会のテーマとして大きく掲げた。drupa 2016では、オムニファイアのほか、富士フイルム(株)と共同開発した、B1用紙サイズ対応の次世代インクジェットデジタル印刷機「プライムファイア106」を発表している。
【医薬品包装】創包工学研究会、12月22日に第69回講演会「医薬品包装の危険性・安全性と犯罪防止」開催。東京農工大学の高田秀重教授、マイクロプラスチックによる環境汚染とその有害性について講演
創包工学研究会は、来る12月22日(金)午前9時30分~午後5時まで、フォーラムミカサ エコ7Fホール(東京都千代田区内神田1-18-12 内神田東誠ビル)において、第69回講演会「医薬品包装の危険性・安全性と犯罪防止」を開催する。
包装は医薬品用のみならず安全かつ衛生的でなければならないことは当然で、包装の基本でなければならない。しかし医薬品包装には、現在でも憂慮すべき問題点が残っており、そのうえ昨今は、犯罪や事故の防止機能も負荷せざるを得ない状況になりつつある。たとえば誤飲問題・改ざん問題・万引き問題などがますます深刻さを増してきている。残念ながら、表示・識別・試験法・コアリング・アンプルカット片発生・無菌性保持などにも不十分な点があり、危険性を助長しているように感じられる。また、包装機械自身の安全性も改善すべき点がある。さらに、昨今の万引問題は社会全体に暗い影を落としている。そこで、“危険性・安全性と犯罪防止”テーマに、関係各位の関心を高めるとともに解決策の糸口を探る。
<第69回講演会プログラム>
(1)09:30~10:30
演題:プラスチック材料に含まれる化学物質と衛生安全性への影響
講師:西 秀樹(前 日本包装専士会会長)
要旨:プラスチックに含まれる化学物質と健康影響要因、医薬品・食品包装における規制の考え方、クレーム事例、厚労省のPL制度化方針、企業における留意点などについて述べる。
(2)10:30~11:30
演題:注射薬調製における不溶性微粒子の発生要因とその対策
講師:河崎陽一(岡山大学病院薬剤部)
要旨:注射薬調製時に不溶性微粒子が混入する要因について研究データを交えて紹介し、医療現場における対応策を紹介するとともに医療従事者が求める医薬品容器について提案する。
(3)12:30~13:30
演題:PTPに求められる安全性
講師:野田尚彦(CKD(株) 自動機械事業本部 開発部 部長)
要旨:PTPに求められる安全性として、小児誤飲防止機能と医療過誤防止を目的にした表示についての動向と取り組んでいる最新技術を紹介する。
(4)13:30~14:30
演題:日本における万引犯罪の実情とその対策
講師:稲本義範(NPO法人全国万引犯罪防止機構 理事)
要旨:万引犯罪の認知件数の全犯罪に占める割合が1割を越え、国内の万引被害額は年間推定4,600億円に達し莫大な経済的な損失となっている。最近では組織的な窃盗団の被害も増加している。近年、万引防止機の普及は進んでいるが、防犯タグの貼り付けは時間的にもコスト的にも負担が増大している。これを解決するための欧米のプログラムがソースタギングであり、同時に消費者の快適なショッピング環境を作り出すことを目指している。
(5)14:45~15:45
演題:医薬品包装の危険性と安全性
講師:三浦秀雄(創包工学研究会)
要旨:医薬品包装に関わる安全性すなわち試験法と安全をはじめとして、ゴム栓コアリング・アンプルカット屑・注射剤無菌性・表示・識別・誤飲問題・偽造防止問題等、クレームなどに関わる危険性とと安全性の関係を広く議論し、解決策を提案する。
(6)15:45~16:45
演題:マイクロプラスチックによる環境汚染とその有害性
講師:高田秀重(東京農工大学大学院 農学研究院 環境資源科学科 教授)
参加費は27,000円/人(消費税込み)。
【軟包装グラビア】日本印刷学会グラビア研究会、12月12日に「第11回ミニシンポジウム 25th Anniversary Event-グラビア研究会25周年記念企画、もう一度聴きたい講演集!-」開催
日本印刷学会グラビア研究会では、平成27年度の第10回研究例会から平成29年度の第11回研究例会までの3年間に亘り基礎講座を除く5回の集客企画の際のアンケートにて、過去の講演についての設問を設けてきた。グラビア研究会にとって25周年になるのを記念して、聴講者のアンケート結果から得票数の多いテーマで実現可能な講演を集め、12月12日(火)午前10時45分~午後5時まで、印刷博物館グーテンベルク・ルーム(東京都文京区水道1-3-3 トッパン小石川ビルB1)において「第11回ミニシンポジウム 25th Anniversary Event-グラビア研究会25周年記念企画、もう一度聴きたい講演集!-」を開催する。
プログラムは次の通り。
10:45~10:55
(1)「グラビア研究会25年間の活動-発足25年間から、ここ5年の活動を振返って-」(10分)
橋本セロファン印刷(株) 橋本 章氏(グラビア研究会委員)
10:55~11:45
(2)「日、欧、米、中で比較する食品包装材料法規制の現状と今後の課題(平成23年度第1回勉強会)」&「食品包装材料の衛生安全性―何を、如何に規制するのか―(平成23年第8回研究例会)」から(50分)
講師:日本包装専士会 西 秀樹 氏
要旨:食品包装の法規制に関しては、平成23年度第1回勉強会および平成23年第8回研究例会において、紹介させていただいた。 その後日本では2017年7月、厚労省は漸く食品衛生法を改正して先ずは樹脂からPL制度化を図る方針を通知し、施行は早くて2020年の東京五輪頃の見込みである。印刷インキはその後の課題となりそうである。EUではプラスチック規制がほぼ完成し、現在EC委員会が独案を基に印刷インキの規制を審議中であり、来年中頃に公表見込みである。このEU基準は全世界的に採用されると推測され、NLしか無い日本への大波は必至の状況である。中国は昨秋、EU類似の規制に大転換し、全世界的にはEU基準がほぼ世界標準的存在となった。日本はもはや後追い組であり、この先大きな難題が待ち構えている。このような国内外の最新動向及び企業としての対応と留意点をお話しする。
12:45~13:35
(3)「欧州包装動向(平成24年度第1回勉強会)」から(50分)
講師:(株)東洋紡パッケージング・プラン・サービス 松田修成 氏
要旨:2011年5月にドイツのデュッセルドルフで開催された、国際包装展インターパック2011での出展内容を中心に、森 啓治氏から欧州を中心とした包装動向を紹介した(平成24年度 第1回勉強会)。 2017年5月にドイツのデュッセルドルフで開催された、国際包装展インターパック2017での出展内容を中心に欧州を中心とした包装動向を紹介する。
13:35~14:20
(4)「次世代グラビア製版技術の試み(平成25年第1回勉強会)」から(45分)
講師:(株)シンク・ラボラトリー 重田龍男 氏
要旨:グラビア製版においてCrめっきを使用しないDLC成膜によるプロセスと印刷適性について、FXecoの深度10~16μm程度によるインキ、VOC削減の実機データ等について及びNewFX 自動製版システムの内外での稼働状況と経済性等について技術紹介した(平成25年第1回勉強会)。 レーザー製版システムでは、日産80~200本までのフレキシブルなNewFXシリーズのシステム構成に発展しており、解像度は、3200/12800dpiとし、彫刻製版より優れたハイライト特性を実現した。レーザー、CuめっきおよびCrめっきの高速化、ケミカル管理の自動化、リモートメンテナンス等が大幅に進展した。このNewFXシリーズでは、油性インクでのインク削減も15~30%に達している。また、花王(株)との共同開発によりアルコールを含まない完全水性グラビアは、深度5μm/250線の開発が進み、世界初の全く、防爆の考慮を必要としないグラビア印刷が、150m/分のスピードを可能の技術が進展しており、関連技術として水性IJについての概要も紹介する
14:35~15:20
(5)「食品包装材料の環境配慮について(平成23年 第8回研究例会)」から(45分)
講師:味の素(株) 松嶋健治 氏
要旨:容器包装の基本機能として「中身の保護」「取り扱いやすさ」「情報の提供」があるが、近年では更に「環境配慮」が要求されている。材質選定や印刷方法など、食品包材はどのように発展するのか、またどのような課題があるのかその一例を紹介した(平成23年 第8回研究例会)。 SDGsを意識した軟包材の開発の一例についても紹介する。
15:20~16:10
(6)「解析技術によるモノづくりソリューション(平成26年第7回ミニシンポジウム)」から(50分)
講師:大日本印刷(株) 中島 但 氏、酒井美希 氏
要旨:視認できないモノづくりのプロセス課題を改善するために、解析手法として「可視化」技術を用いることで、これまで解決が困難であったものも原因が見え新たなプロセスを生み出すなど、製造現場に潜在する課題を解決(ソリューション)する解析手法について紹介した(平成26年 第7回ミニシンポジウム)。
前回紹介した事例に加えて、新たにオフセット印刷やグラビア印刷におけるインキ転移現象や加工プロセスにおける課題解決事例について紹介する。
16:15~17:00
印刷博物館の見所紹介、ガイドツアーおよVRシアター「東大寺大仏の世界」(予定)
定員は50名(定員になり次第締切る)。申込締切は12月7日(木)。印刷博物館内の施設を使用する都合上、当日参加は不可。
参加費(当日受付にて支払)は、日本印刷学会 個人会員・賛助会員、関東グラビア協同組合会員、全国グラビア製版工業会連合会会員は7,000円、その他は12,000円。なお、ミニシンポジウムの参加費には、印刷博物館の入館券(500円)が含まれている。希望者へのVRシアター(バーチャル映像)の鑑賞を講演会後に企画している。定員制のため、参加費を支払う際にお申込みいただきたい。印刷博物館およびギャラリーについては閉館時間(18時)まで自由に観覧でき、印刷に纏わる貴重な展示を楽しむことができる。印刷博物館では、企画展「キンダ―ブックの90年、童画と童謡でたどる子どもたちの世界」が開催されている。
【ポリエステルフィルム】三菱ケミカル、中国の液晶ディスプレイ需要拡大に答え中国MPFW社の生産設備を増強
三菱ケミカル(株)は、中国で液晶テレビの偏光板向けリリースフィルム等を生産・供給する「三菱ケミカル光学フィルム(無錫)社(本社:中国江蘇省無錫市、総経理:兵頭雅博、MPFW社)」において、生産能力増強のための新規設備を導入する。投資額は約15億円で、2019年4月の商業生産開始を予定。
中国で液晶パネルの新工場が相次ぎ建設されるなか、三菱ケミカルは、液晶用バックライト部材等に使われるポリエステルフィルムを現地で生産・供給することを目的に、「三菱ケミカルポリエステルフィルム(蘇州)社(MPFS社)」を設立し、2013年から生産を開始した。
一方、液晶部材のひとつである偏光板についても、ポリエステルフィルム(原反)に加工を施した偏光板向けリリースフィルム等を、中国の偏光板メーカーに対して供給することを目的に、MPFW社を設立し、2015年から商業生産を開始しているが、近年、中国で液晶ディスプレイの需要・生産がさらに拡大していることから、MPFW社の生産能力を増強し現地での需要に応えていくことにした。
工場外観
【MPFW社の概要】
社 名:三菱化学光学薄膜(无锡)有限公司
和文:三菱ケミカル光学フィルム(無錫)社
英文:Mitsubishi Chemical Converting Film Wuxi Co.,Ltd.
所 在 地:中国 江蘇省無錫市无锡新区新畅南路20号
代 表 者:董事長 堀内 慎介、総経理 兵頭 雅博
設 立:2013年10月14日
資 本 金:13億円
株 主:三菱ケミカル株式会社100%
事業概要: ポリエステルフィルム加工製品の製造・販売
【半導体】住友化学、中国における高純度ケミカル工場新設
住友化学(株)は、このたび、住化電子材料科技(常州)有限公司において、半導体用高純度ケミカル工場の建設を開始した。中国での半導体用高純度ケミカル工場の設立は西安に続く2拠点目となり、新工場での量産開始は2019年3月の予定。
住友化学は、2001年に上海で光学機能性フィルムの加工・販売拠点を設立して以降、顧客のニーズにきめ細かく対応すべく、北京や無錫をはじめ中国8拠点で情報電子化学事業を展開しており、現在は液晶パネル用の偏光フィルムや半導体用の高純度ケミカルなどの製造・販売を行っている。
半導体用高純度ケミカルは、半導体の微細加工工程において、精密洗浄などに用いられている。中国における情報電子機器の需要増加や半導体産業の拡大を背景に、各半導体メーカーはラインの増強計画を打ち出しており、半導体用高純度ケミカルについても大幅な需要拡大が見込まれている。こうした背景から、今回、新工場を設立することとなった。
住友化学は、中期経営計画において「ICT」分野を次世代事業開発の重点領域の1つとして位置付けている。今後も、旺盛な半導体需要を取り込みつつ、同社がこれまで培ってきた事業の優位性を発展させながら、さらなる事業強化を図っていく。
<新会社の概要>
会 社 名:住化電子材料科技(常州)有限公司
設立年月:2017年8月
所 在 地:中国江蘇省常州国家高新区内
資 本 金:50百万米ドル
董 事 長:池添 肇
事業内容:過酸化水素水、硫酸、イソプロピルアルコール等の製造・販売
【IoT】住友化学、千葉工場の新ネットワーク基盤にNECのSDNソリューション採用
住友化学(株)は、IoT を活用した次世代工場(デジタルプラント)の実現に向けて、日本電気(株)(NEC)のSDN注1)ソリューションを千葉工場に導入し、新たなネットワーク基盤を構築した。
住友化学は、中期経営計画のもと、持続的成長に向けた取り組みの1つとして「IoT時代の業務革新とワークスタイル変革」を掲げ、IoTを活用したデジタルプラントの実現や、グローバルサプライチェーン情報のリアルタイム可視化・高度化などに積極的に取り組んでいる。
住友化学は、あらゆるものがつながるIoT時代におけるリスク低減のためには、サイバー攻撃や突発的な障害などの被害を最小化できるネットワークの多層化・階層化が必要と考えている。
住友化学の新ネットワーク基盤は、千葉工場の情報系ネットワークを対象に、NECのSDN対応製品「UNIVERGE PFシリーズ」を中核として設計・構築したもので、主な特長は以下の通り。
(1)新たなネットワークの柔軟かつ迅速な構築が可能
SDNの活用により、セキュリティ階層の異なる仮想ネットワーク(VTN)注2)を柔軟かつ迅速に構築が可能。システムごとに異なるセキュリティポリシーの適用や、サイバー攻撃時における被害範囲の最小化が可能となることで、IoTを活用したさまざまなシステムを支える多層化・階層化されたネットワークを実現する。
(2)GUIでネットワーク全体を可視化
ネットワーク全体の構成や通信状況をGUI注3)画面で可視化し、仮想ネットワークを一元的に管理・制御できる。これにより、万一障害が発生した際に障害箇所を迅速に特定し、早期復旧に向けた対策を取ることが可能。
住友化学千葉工場におけるSDN有効の効果は次の通り。
(1)拠点間における回線障害による影響を最小化
住友化学千葉工場では、姉ヶ崎地区と袖ヶ浦地区の距離が離れた2拠点を常時ネットワークで接続している。平常時は、姉ヶ崎地区から制御することで同一セグメントのネットワークを構築・運用している。今回、袖ヶ浦地区に設置した予備のSDNコントローラと「デュアルクラスタ機能」注4)を活用することで、各地区それぞれが独立したネットワークとして運用できる。これにより、両地区のいずれかの回線に障害が発生した際の操業への影響を最小化でき、千葉工場の競争力向上と安全・安定操業に寄与する。
(2)ネットワーク維持運用コストを削減
上記2の特長を生かし、自社のシステム担当者などが、より容易に、セキュリティを保ったネットワークを多層化することが可能となった。これにより、千葉工場におけるネットワーク維持費用を従来比で約3割削減できる見込み。
(3)デジタルプラントの推進に活用
タブレット端末を利用して、現場で工場内の図面確認や保全記録作成ができる仕組みの構築に取り組んでいる。SDNによる仮想ネットワークの活用により、従来の強固なセキュリティ対策を維持したまま、保全担当者が現場で簡単に工場の計器や機器の情報にアクセスすることが可能になる。また、プラントの予防保全活動として、センサーを機器に取り付けることで、プロセスデータを収集し、AIやビックデータ解析などを用いてプラントの故障予知につなげることを検討している。
注1)SDN(Software-Defined Networking):ネットワークをソフトウェアで動的に制御することおよびそのアーキテクチャ
注2)VTN(Virtual Tenant Network):物理的なネットワークを共有した上で、ソフトウェアによって設定する論理的なネットワーク
注3)GUI(Graphical User Interface):操作対象が絵で表現されるユーザインタフェース。マウスなどを使用して直感的に操作可能
注4)2台の機器で冗長化する仕組みを活用し、平常時に運用する2 台の機器に加え、更に予備の機器を2台配置することで、障害時や被災時でもシステム運用の継続を可能とする機能
【FSSC22000】盛田 小豆島工場、食品安全マネジメントシステム認証取得
盛田(株)は、同社小豆島工場(香川県小豆郡)において、食品安全マネジメントシステムに関する国際認証規格「FSSC22000」の認証を取得した。
「FSSC22000」は、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO22000(ISO9001+HACCPの概念を取り入れたマネジメント)と、フードディフェンスおよび前提条件を明解化したISO/TS 22002-1(またはISO/TS22002-4)を統合したもので、世界的な食品・流通の大手650社が加入する安全向上のための組織、「国際食品安全イニシアチブ(GFSI)」が制定した、食品安全の国際的な規格。生産工場の各工程のハザード分析が求められるため、リスク管理の精度が向上し、また社員の食品への安全・安心の意識向上を図ることができる。
盛田はすべての工場において品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の認証を取得し、国際的な規格にもとづいた品質保証規程を構築している。中でも、海外企業に輸出する商品を多く製造している小豆島工場が今回「FSSC22000」の認証を取得したことで、より高水準な安全管理体制を確立し、海外企業にもより安心安全、かつ効率的・安定的に製造供給できるようになった。
■盛田について
寛文5年(1665年)に愛知県・小鈴谷村(現:常滑市)において清酒造りを開始して以来、350年を超える長い歴史を誇る。日本の伝統的な発酵技術を生かしたしょうゆ・みそ・料理酒・みりんなどを柱として、つゆ・たれ・飲料など幅広く展開する「食品事業」と、日本酒を主力とした「酒類事業」を中心に展開している。
■盛田 小豆島工場 概要
盛田小豆島工場の前身である丸金醤油(現マルキン)は1907年創業、今年で110周年を迎えるしょうゆ蔵。瀬戸内海に浮かぶ島の1つ小豆島は、美しい海と明るい太陽に恵まれた温暖な気候で古来より塩造りが盛んであったことに加え、海上交通の要衝として大豆や小麦が集まりやすかったことなどの理由からしょうゆ造りが発展してきた。丸金醤油創業時に建てられた天然醸造蔵は、国の登録有形文化財に指定されており、現在でも秋田杉で作られた30石(5.4キロリットル)の木桶を307本保有し、日本最大級の規模を誇る。天然醸造蔵では四季の温度変化のもと、棲みついた微生物によって発酵・熟成させたもろみから、まろやかでコクのある味わいと芳醇な香りが漂うしょうゆが生まれる。盛田 小豆島工場では、しょうゆをはじめ、しょうゆ加工品、つゆ、たれ、ぽんずなどを製造している。
【UV-C LED】LGイノテック、世界初の殺菌用「100mW」を開発
<韓國・ソウル、2017年11月27日>LGイノテックは、2020年頃に開発可能であろうと思われていた業界予想を2年も前倒し、世界で初めて殺菌紫外線出力100mWに達するUV(Ultraviolet rays, 紫外線)-C LEDを開発した。 UV-C LEDとは、光の波長が短い200~280nmの紫外線を放出する製品のことで、深紫外線(Deep UV)とも呼ばれている。細菌のDNAを破壊し、特殊な物質に化学反応を起こさせて殺菌、または硬化装置などに使用される。LGイノテックがこのほど開発したLEDは278nmだ。
UV-C LEDは光出力が高いほどさらに強力な殺菌装置を作ることができるが、発熱などの問題で安定した品質の確保が非常に難しい。他の企業も100mW UV-C LEDの発売を2020年と計画していたほどだ。
LGイノテックは、光抽出を最大化するエピ構造および垂直チップ技術を適用して技術の限界を克服した。紫外線の出力を高め、熱を効果的に排出することで安定した品質と信頼性を確保した。100mW UV-C LEDひとつで小型家電用2mW製品より強い殺菌紫外線を1万時間以上放出することができる。
今回のLGイノテックの光出力100mW製品の開発でUV-C LEDの適用分野をさらに早期拡大できるようになった。流水や空気まで急速殺菌が可能となり、浄水器や空気清浄機などの家電からビルや自動車の空調システム、水処理装置などに使用できる。
従来のUV-C LEDは、そのほとんどが光出力1~2mW級で携帯用の殺菌器や小型家電で主に使用されてきた。UV-Cの出力が弱く、拡大して適用するには問題があったためだ。
LGイノテックは、多くのグローバル企業とUV-C LEDを適用した様々な製品開発について協議し、高出力LED発売のニーズが続いていただけに100mW UV-C LEDの需要拡大は急速に進むと見ている。
LGイノテックは、UV LED市場のイニシアティブ確保のためにさらに拍車をかけていく方針だという。特に殺菌、硬化性能に優れたUV-C分野においてダントツの技術力を保有していることから市場攻略に自信を示している。
浄水器のコック殺菌用LEDモジュール、エスカレーターのハンドレール用UV LED殺菌器など革新的な製品を日本企業より一足早く発売し、その品質競争力が認められている。
マーケティングリサーチ会社のLEDインサイドによると、UV LED市場は昨年1億6,600万ドルから2020年には5億2,600万ドルへと3倍以上拡大すると予想されている。特に同じ期間にUV-Cの割合が17%から46%へと増加し成長を牽引する見通しだ。
LGイノテックのある関係者は、「今年の初めにUV-C光出力70mWを記録した後、わずか10カ月で40%性能アップという優れた成果をあげた」と説明し、「ライバル会社との技術格差をさらに広げ、顧客が望む革新的な製品を今後とも披露して市場をリードしていきたい」と抱負を述べた。
【化学物質】UL、ケムアドバイザー社を買収
米国の第三者安全科学機関であるUL Inc. (本社:米国イリノイ州ノースブルック、 以下UL)の日本法人である(株)UL Japan(本社:三重県伊勢市、 以下UL Japan)は、ULが、化学物質法規制データベースの世界的リーディングカンパニーであるケムアドバイザー社(ChemADVISOR)を買収したと発表した。化学物質法規制が刻々と変化する状況において、企業がコンプライアンスを実現するためのソリューションサービスを提供するULは、ケムアドバイザー社の有する環境、健康、安全、輸送に関する情報サービスと既存のサービスを融合させることで、化学物質コンプライアンスサービスの拡大を図る。
ULのサプライチェーン&サステナビリティ部門のSVP兼GMであるカルロス・コレイア(Carlos Correia)氏は、「お客様は、自社が設計、製造、輸送、販売する製品の規制に準拠するよう責任を負っています。業界の世界的リーダーとして認められているケムアドバイザー社の化学関連規制/物質のデータベースは他に類を見ません。今回の買収により、ULが提供する包括的バリューチェーンサービスの幅が一層広がるとともに、より信頼できるサービスを提供できるようになるでしょう」と述べている。
1986年に創立されたケムアドバイザー社は、本社を米国ペンシルベニア州ピッツバーグ市に置き、大手多国籍企業を中心に世界120カ国以上、言語にして44カ国語という幅広い顧客層を誇っている。
ULとケムアドバイザー社のサービスの結合から、各主要顧客との関係はさらに深まることが期待される。
■ULについて
ULは、科学の活用によって安全、セキュリティ、サステナビリティ(持続可能性)における課題を解決し、世界中の人々のために安全な生活/職場環境を推進する。ULマークがもたらす信頼が、先進的製品及び技術の安全な導入を可能にする。ULのスタッフは世界をより安全な場所にするという情熱を共有している。その提供サービスは、試験・検査・監査・認証・検証・アドバイザリー/トレーニング・サービスなど多岐にわたる。また、安全とサステナビリティに関するソフトウェア・ソリューションを提供することで、これらの活動を支援している。
■ケムアドバイザー(ChemADVISOR)社について
ケムアドバイザー社は、グローバル化学メーカーに、環境、健康、安全、輸送(EHS&T)の情報/法令遵守ソリューションを提供するトップ会社で、多様なデータベース製品、トレーニングコース並びに有害物質の取扱いに関するコンサルティングサービスを世界規模で展開している。ChemADVISOR Navigator、LOLI(List of Lists)、Transportation Advisorなどのデータベースは、包括的かつ最新の化学規制情報を発信しており、LOLIには、5,700を超えるリストに数十万種の物質が、規制以外の補足情報と共に収載されている。同社の製品はEHS&Tの専門家によって作成されており、法令遵守、並びに、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)や輸送分類に対応する安全データシート(SDS)とラベルの多言語作成を望む顧客に支持されている。
【OPP、CPP、LLDPEフィルム】東洋紡、12月21日受注分から値上げ
東洋紡(株)は、2017 年12月21日受注分からフィルムの値上げを行う。
昨今の国産ナフサ価格は、OPECを中心とした世界的な協調減産の継続による原油価格の上昇や為替の影響等により高騰している。こうした環境の下、オレフィン原料メーカーから強硬な値上げ要請があり、フィルムの安定供給を維持するためには、レジン価格の値上げを受け入れざるを得ない状況となっている。同社は、徹底したコストダウンに懸命に取り組んでいるが、設備の維持費用の増加に加え、燃料費や電力費のほか物流経費等の諸経費も上昇しており、自助努力だけでは吸収しきれない状況にあり、顧客への安定供給を果たすため、各種フィルムの価格改定を行うことにした。
対象製品と改定幅(連:500m2)
・二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP) 300円/連(20μm換算)
・延伸ポリプロピレンフィルム(CPP) 300円/連(20μm換算)
・リニアローデンシティ・ポリエチレンフィルム(LLDPE) 300円/連(20μm換算)
【スパンボンド不織布】ユニチカ、12月20日出荷分から値上げ
ユニチカ(株)は、2017年12月20日出荷分から高機能スパンボンド不織布「エルベス」(ポリエステル/ポリエチレン複合糸)を値上げする。値上げ幅は+20円/kg。
昨今、ナフサ価格の急騰やポリエチレン樹脂の需給逼迫により、ポリエチレン樹脂の価格が上昇し、輸送費、ユーティリティー費用などの上昇も避けられない状況にある。同社は様々な合理化策を推進したが、自助努力による範囲を超えるものであり、安定供給を維持する値上げを実施する。
【FRP】ADEKAとジーエイチクラフト、世界初の金型に直接積層する「ファイバーtoコンポジット成形プロセス」開発
(株)ADEKAと、帝人グループでコンポジット製品の設計・成形加工を手掛ける(株)ジーエイチクラフトは、世界で初めて、オープンモールド型に炭素繊維などの繊維強化プラスチック(FRP)を直接積層することができる「ファイバーtoコンポジット(FtoC)成形プロセス」を開発した。
FRPは、一方向に引き揃えた繊維シートに熱硬化性樹脂を含浸して加熱することにより製造されるもので、オートクレーブ製法やRTM製法など、様々な成形方法が開発されている。
しかし、加熱により硬化する時間が必要なため、成形スピードには限界があった。また、製造するコンポジットのサイズによっては、大きな硬化炉や高価なプレス用金型が必要となることから高コスト構造となり、加えて中間基材を金型に合うようトリミングするため、発生する廃棄物の処理コスト低減も課題となっていた。
さらに従来の製法では、成形時に樹脂内で繊維がヨレてしまうことから、FRPに想定どおりの強度を付与できないという課題もあった。
こうした中、幅広い機能化学品を展開するADEKAの特殊高速硬化エポキシ樹脂と、国内最先端のコンポジット設計・成形加工技術を有するジーエイチクラフトの新規成形プロセスを融合することにより、硬化炉を使用せず、オープンモールド型に直接FRPを積層することができる「FtoC成形プロセス」の開発に成功した。
このたび両社が開発した新規成形プロセスは、繊維を高度に配向させながら、樹脂含浸、硬化、積層の各プロセスを自動で行う成形方法。ADEKAが開発した新規エポキシ樹脂に赤外線を照射することにより、数十秒という短時間で硬化させることができる。オープンモールド型に直接積層することが可能なため、大規模な硬化炉やプレス用金型を必要とせず、さらに、繊維から直接コンポジットを成形することで中間基材が不要となるため、廃棄物の発生を大幅に削減することが可能。
また、繊維を引き延ばすことで高度に配向させることができるため、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の場合、従来のRTM製法で成形した製品に比べて曲げ強度が2倍以上となり、引張強度を約40%、層間せん断強度を約75%向上させることが可能。
11月29日~12月1日に東京ビッグサイトで開催される「SAMPE JAPAN 先端材料技術展2017」のADEKA・ジーエイチクラフトの共同出展ブース(東ホール S-09ブース)において、このたび開発した「FtoC成形プロセス」を用いて製造したCFRPを初展示する。
今後、ADEKAは同プロセス専用樹脂を、ジーエイチクラフトは実用化プロセスの開発を進め、具体的な開発製品において両社で当プロセスの有用性を実証し、FRP製造のデファクトスタンダード化を目指すとともに、新しい複合材料市場を共同で創造していく。
【アジピン酸系可塑剤】DIC、2017年12月1日出荷分よりkg当たり13円値上げ
DIC(株)は、アジピン酸系可塑剤(DINA)の価格を、2017年12月1日出荷分よりkg当たり13円値上げする。
アジピン酸系可塑剤の主原料であるイソノニルアルコールは、国内外において供給がタイトな状況が続いており、価格が高騰している。さらに、深刻化する物流業界の人手不足や燃料高騰を背景に、物流コストも上昇している。今後の安定供給と事業継続を図るためには価格改定が避けられないと判断し、このたびの値上げを決定した。
【FRP】ADEKA とGHクラフト、金型に直接FRPを直接積層できる「ファイバー toコンポジット(FtoC)成形プロセス」を開発
(株)ADEKAと、帝人グループでコンポジット製品の設計・成形加工を手掛ける(株)ジーエイチクラフト(GHクラフト)は、世界で初めて、オープンモールド型に炭素繊維などの繊維強化プラスチック(FRP)を直接積層することができる「ファイバー toコンポジット(FtoC)成形プロセス」を開発した。
1.開発の背景
(1)FRPは、一方向に引き揃えた繊維シートに熱硬化性樹脂を含浸して加熱することにより製造されるもので、オートクレーブ製法やRTM製法など、様々な成形方法が開発されている。
(2)しかし、加熱により硬化する時間が必要なため、成形スピードには限界があった。また、製造するコンポジットのサイズによっては、大きな硬化炉や高価なプレス用金型が必要となることから高コスト構造となり、加えて中間基材を金型に合うようトリミングするため、発生する廃棄物の処理コスト低減も課題となっていた。
(3)さらに従来の製法では、成形時に樹脂内で繊維がヨレてしまうことから、FRPに想定どおりの強度を付与できないという課題もあった。
(4)こうした中、幅広い機能化学品を展開するADEKAの特殊高速硬化エポキシ樹脂と、国内最先端のコンポジット設計・成形加工技術を有するGHクラフトの新規成形プロセスを融合することにより、硬化炉を使用せず、オープンモールド型に直接FRPを積層することができる「FtoC成形プロセス」の開発に成功した。
2.「ファイバー to コンポジット成形プロセス」について
(1)両社が開発した新規成形プロセスは、繊維を高度に配向させながら、樹脂含浸、硬化、積層の各プロセスを自動で行う成形方法である。
(2)ADEKAが開発した新規エポキシ樹脂に赤外線を照射することにより、数十秒という短時間で硬化させることができる。
(3)オープンモールド型に直接積層することが可能なため、大規模な硬化炉やプレス用金型を必要とせず、さらに、繊維から直接コンポジットを成形することで中間基材が不要となるため、廃棄物の発生を大幅に削減することが可能。
(4)また、繊維を引き延ばすことで高度に配向させることができるため、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の場合、従来のRTM製法で成形した製品に比べて曲げ強度が2倍以上となり、引張強度を約40%、層間せん断強度を約75%向上させることが可能。
3.今後の展開
(1)11月29日~12月1日に東京ビッグサイトで開催される「SAMPE JAPAN 先端材料技術展 2017」のADEKA・GHクラフトの共同出展ブース(東ホールS-09ブース)において、開発した「FtoC成形プロセス」を用いて製造したCFRPを初めて展示する。
(2)今後、ADEKAは当プロセス専用樹脂を、GHクラフトは実用化プロセスの開発を進め、具体的な開発製品において両社でプロセスの有用性を実証し、FRP製造のデファクトスタンダード化を目指すとともに、新しい複合材料市場を共同で創造する。
【インプラント】ソルベイ、高強度な射出成形可能な樹脂「Zeniva ZA-600 CF30 PEEK」発表
<米国ジョージア州アルファレッタ、2017年11月29日>特殊ポリマーの世界的サプライヤーであるソルベイは、インプラント向けに、30%の炭素繊維で強化された放射線透過性Zeniva(r) ZA-600 CF30ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を発表した。拡大を続けるソルベイのヘルスケアソリューション製品群に新たに加わったZeniva(r) ZA-600 CF30 PEEKは、皮質骨に非常に類似した係数を備えている。金属系インプラント材料とは異なり、インプラントデバイスまわりの骨組織に通常の応力をかけ続けることにより、骨密度の減少を最小限に抑える移植に役立つ。
Zeniva(r) ZA-600 CF30 PEEKは非変性PEEKの2倍の強度を持つため、人工脊椎、股関節、膝関節として使用される、構造、耐荷重性医療機器に適している。こうした品質により、インプラント医療機器の大きさと重さを縮小し、負担を軽減する設計が可能になる。非変性PEEKと同様に、Zeniva(r) ZA-600 CF30樹脂は耐クリープ性に非常に優れ、長期的な疲労によるひずみにも耐える。
ソルベイの新しい特殊ポリマーは、非変性PEEK固有の放射線透過性も備えているため、X線、CTスキャン、MRIなど各種の医療用画像手法によるインプラントや融合体の視覚化を抑えるため、金属系材料よりも優れた利点がある。
「Zeniva(r) ZA-600 PEEK CF30は、整形外科分野に適した、革新的な構造材料です。スポーツ医学、外傷、関節再建で利用できる、インプラント医療機器の製造コストを大幅に削減します」と、ソルベイのSpecialty Polymers global business unitでbusiness manager for Healthcareを務めるJeff Hrivnak氏は述べている。「この材料は射出成形に最適化されたものであり、コスト効率の高い大規模なインプラント製造への道を開きます。OEMは、急速に成長する市場で競争優位を得るために必要な、経済的なメリットが得られます」。
Zeniva(r) ZA-600 CF30 PEEKは、米国にある専用のISO 13485およびcGMP適合の施設で製造され、ISO 17025適合ラボで試験が行われている。この製品はソルベイのSolviva(r) 生体材料製品群の一環をなすものであり、整形外科、心臓血管、脊椎などの用途向けインプラントへの展開を大きく拡張する。他のSolviva(r) 生体材料群と同様、Zeniva(r) PEEK樹脂の製造は精密に検証され、厳格な管理によって製品のトレーサビリティが確保されている。詳細なFDAマスターアクセスファイル(MAF)を利用でき、また規制上のサポートによって顧客の市場投入までの期間が短縮される。
ソルベイのSolviva(r) 製品群には、Zeniva(r) PEEKに加えて、Veriva(r) ポリフェニルサルホンやEviva(r) ポリサルホンも含まれている。Solviva(r) 生体材料群は、すべてガンマ照射や酸化エチレン、蒸気など、従来の方法による滅菌が可能。ISO 10993:1に規定された生体適合性試験の結果、細胞毒性、感作性、皮内反応性、急性全身毒性が一切ないことが立証されている。これら滅菌可能な製品は、射出や押出成形向けのグレードに加え、切削加工される部品向けのストックシェイプグレードも用意されている。
【炭素繊維】帝人、米国に工場および運営会社を新設
帝人(株)は、昨年末に米国・サウスカロライナ州グリーンウッド郡に工場用地を取得していたが、このたび同用地に炭素繊維製造ラインを新設し、その事業運営会社として、テイジン・カーボン・ファイバーズ(Teijin Carbon Fibers, Inc.、以下「TCF」)を設立することとした。工場稼働時期は2020年度中の予定。
また、これに伴い、帝人グループで炭素繊維事業を展開する東邦テナックス(株)が、三島事業所内におけるプリカーサ*の生産能力を増強することとした。
世界的な環境規制の強化に伴い、環境負荷低減のニーズは年々高まっており、帝人グループはこうした状況に対応するため、航空機や自動車などの用途に向けて技術開発を推進し、炭素繊維事業の拡大を目指している。こうした中、グローバル市場において川上から川下に至るまでの顧客対応力をさらに強化するため、このたび約350億円を投じて、米国における炭素繊維製造ラインの新設と新会社設立、および三島事業所におけるプリカーサ増設を決定した。
帝人グループはこのたびの設備投資を契機として、炭素繊維事業における川上から川下に至るまでのソリューション提案力を強化するとともに、日・米・欧の3極をベースとしたグローバル展開をさらに加速する。そして、長期ビジョンとして掲げる「未来の社会を支える会社」に向けて、強力に変革を推進していく。
*プリカーサ:炭素繊維の原料として用いる特殊なアクリル繊維。これを200℃~300℃で酸化(耐炎化工程)した後、1000℃~2000℃で焼成(炭素化工程)することで炭素繊維ができる。