◎さまざまな衝撃を吸収し、輸送用梱包材に最適
◎EPPやEPSの既存成形機で簡単に加工できる、ビーズ発泡品
バイオベースの主原料から作られ堆肥化が可能な認定を受けている「ecovio® EA」は、化石原料の梱包材では顧客の要求を満たすことができない場合に、バイオベースの生分解性の梱包材としての解決策になる。
発泡性のecovio® EAビーズ 「ecovio® EA」は、堆肥化の認定を受けた初のバイオベース独立気泡の発泡素材で、トウモロコシやマニオクといった糖を生成する植物のポリ乳酸(PLA)と、BASFの生分解性ポリマーであるecoflex®で構成されている。
「ecovio® EA」は、その画期的工程において、発泡性顆粒に発泡剤のペンタンを追加することで製造される。これにより、従来のEPS予備発泡機を使った予備発泡とその後の成形をスムーズに行うことができる。素顆粒自体の密度はおよそ700g/l、ecovio® EAの粒径は1.05mmで、直径0.8mmの新たなグレードも現在開発中。茶色の本製品はオクタビン(八角形容器)に入った状態で提供される。適切な環境であれば、最低6カ月間は品質を損なうことなく保管できる。
従来の製造・加工工程と差し替え可能なソリューション
ecovio® EAは、成形機を用いた2つの工程でほぼあらゆる形に成形できる。最初の工程では、粒子に蒸気をあてて予備発泡を行い、最低嵩密度が25g/Lの独立気泡ビーズを作る。予備発泡が短時間で完了するため、この工程での消費電力低減にも寄与する。
続く工程で、発泡した顆粒はどのような形にも成形することができる。ここでのメリットは、既存のEPS成形機やEPP成形機で容易に加工できることにある。成形特性が非常に類似しており、成形機の入れ替えや、従来工程の大幅な変更は必要ない。通常、処理パラメータの調整が必要とされるものの、EPS成形機を使った加工とほぼ同じ。これは、蒸気をあてる時間が短縮された一方で、発泡工程のサイクル時間が全体として変わらないため。また、収縮率(約1.5%)を考慮して、金型の寸法を調整する必要もある。EPPの加工と同様に、高品質の成形品と高度な寸法安定性を確保するためには、成形後に加熱炉で調整を行うことが推奨される。
商品の安全輸送を実現する梱包材の製造を可能にする特性
ecovio® EAの剛性はEPSよりも低く、エネルギー吸収能力はEPSとEPPの中間程度。こうした特定を持つecovio® EAは、特に、さまざまな衝撃にさらされながらも傷をつけないように輸送しなければならない洗濯機やテレビといった重量梱包物を取り扱う電気・電子製品分野での利用にも理想的。
また、ecovio® EAの最低熱伝導率は34 mW/(mK)であるため、物流業界における断熱材として最適。包装された野菜、果物、肉、冷凍品、医薬品など、温度管理が必要なコールドチェーンを常に維持し、商品の傷みを効果的に防ぐことができる。
原材料固有の性質により、ecovio® EAは数時間にわたり最高100°Cの環境で保管できるため、ホットメルト接着剤としての使用にも適している。また、アセトンなどの溶媒にも高い耐性があるほか、堆肥化可能認定を受けているのでいかなる難燃剤も使用されていない。
今後、BASFではecovio® EAを食品で利用するための認可を取得する予定。これにより、加工食品にじかに接触する場所でも発泡体を利用できるようになる。また、加工された果物、野菜、魚、肉用の輸送コンテナ(再利用可能なコンテナを含む)にも最適。
極めて優れた製品ライフサイクル後の生分解性
ecovio® EAには、通常環境条件下における一定の耐久性が備わっている。生分解処理を行うには、堆肥化プラントに見られるような、特別な条件が必要とされる。地域の堆肥化プラントを利用して適切な廃棄物処理が可能であれば、発泡体の処分は容易。つまり堆肥化が可能であるため、発泡体と食品廃棄物を事前に分別する必要がなく、一緒に廃棄できる。
気泡ビーズの高い多孔性と特有の表面積により、ecovio® EAは堆肥化プラントですばやく分解される。堆肥化試験では、たとえば一辺5cmで密度28~47g/lのecovio® EAの立方体が、5週間で水、二酸化炭素、バイオマスに分解されることが明らかになっている。堆肥化以前に通常のリサイクル処理を行い、再利用することも可能。
ecovio® EAを開発する上で、市場の要求として、バイオベース主原料かつ堆肥化が可能なうえに高い耐久性を備えるという点が特に考慮された。なにより最も大切なのは、ecovio® EAを使用しているユーザーは、製品ライフサイクルの最後に有益な堆肥へと還元可能なバイオベース原材料を選んでいただいているという、サステナビリティ・マーケティングにとって重要な根拠を提供していること。
■K 2016への出展
アイデアを理想的ソリューションに:BASFは、2016年10月19日~26日にドイツのデュッセルドルフで開催される「K 2016(国際プラスチック・ゴム産業展)」に出展する(第5ホール、C21/D21ブース)。
■ecovio®について
BASFのecovio®は、高品質の汎用バイオプラスチック。バイオベース原料を使用し、堆肥化可能認定を受けた製品であることがその主たる利点。主に、食品廃棄物用ゴミ袋や二重用途の袋(買物袋として使用後に食品廃棄物用のゴミ袋になる)などのプラスチックフィルム、農業用フィルムに利用されている。またecovio®は、紙コーティング、収縮性フィルム、発泡包装材など、堆肥化可能な包装/梱包材や射出成形製品にも使用できる。