JSR(株)は、乗用車タイヤ用に強度・耐摩耗性・耐久性を大幅に改善した新規なスチレン・ブタジエンゴム (SBR) を開発し、販売を開始した。
100年に一度の大変革期と言われる自動車業界において、「電動化」「自動化」「コネクティッド」「シェアリング」などの技術革新は急速に進んでいる。その中で、タイヤに求められる性能も多様化しており、従来からの二酸化炭素排出量低減に向けた低燃費性能の向上に加え、高強度・高耐摩耗性・高耐久性も併せて求められてきている。本材料は、JSRが長年蓄積してきた独自の分子設計技術と水素添加技術を組み合わせ、不飽和結合数を最適化させている。その結果、ゴム分子同士の絡み合い数の増加、および架橋した際の応力集中の分散が可能となり、従来の低燃費タイヤ用溶液重合SBR (SSBR) 対比の強度を約2倍に向上することができる。本材料をトレッドコンパウンドに使用したタイヤは、従来のSSBR搭載タイヤに比べて、低燃費性能・グリップ性能を維持したまま耐摩耗性を50%以上も改善するという評価結果も出ている。また、本材料は水素添加技術により不飽和結合を低減しているため、熱や光などによる経時的な性能低下を防ぎ、大幅な耐久性の向上に寄与する。
本材料は、優れた破壊強度・耐摩耗性・耐久性を活かしてタイヤトレッド部材の軽量化を実現し、省燃費化、省資源化にも貢献、変革期を迎える自動車業界の中で多様なニーズへの対応を可能とする。
なお、2019年10月8~10日にアメリカのクリーブランドで開催されるInternational Elastomer Conferenceにおいて、本材料に関する学術発表を予定している。
【乗用車タイヤ】JSR、強度・耐摩耗性・耐久性に優れる新規SBRを開発し販売開始
【磁気テープストレージメディア】富士フイルム、従来比2倍の最大記録容量30TBを実現
富士フイルム(株)は、大容量データのバックアップやアーカイブに最適な磁気テープストレージメディアの規格「LTO Ultrium(*1)」の第8世代に対応した「FUJIFILM LTO Ultrium8データカートリッジ」(以下、LTO8)を発売した。LTO8は、磁気特性・長期保存性に優れる微粒子「バリウムフェライト(以下、BaFe)磁性体」を採用し、従来品(*2)の2倍となる最大記録容量30TB(非圧縮時12TB)を実現する。また、最大750MB/秒(非圧縮時360MB/秒)の高速データ転送も可能で、高い利便性を発揮する。本製品は、大容量データを低コストで安全に長期保管することができ、ますます増大するデータストレージ需要に対応する。
昨今、高精細な4K・8K映像の登場やIoT・ICTの進展、AIを用いたビッグデータ解析の普及などにより、世の中のデータ量は爆発的に増加している。なかでも、生成されてから時間が経ちアクセス頻度が低くなった「コールドデータ」は、全データの8割以上を占めると言われている。近年では、「コールドデータ」をはじめ、蓄積されたデータを活用する動きが急速に進んでおり、これらのデータを安全・安価に長期保管したいというニーズがますます高まっている。磁気テープは、大容量、低コスト、長期保存性といった特長を有するだけでなく、ネットワークから隔離したエアギャップの状態でデータ保管が可能であるため、サイバーアタックなどによるデータ破損・消失のリスクが低く、大手データセンターや研究機関などで長年にわたり利用されている。今後は、AI・IoTを駆使して高品質・高効率生産を実現するスマートマニュファクチャリングや、インターネットへの接続機能を持つコネクティッドカーなど、大規模なデータを生み出す最先端領域での活用も期待されている。
富士フイルムは、磁気特性・長期保存性に優れる微粒子「BaFe磁性体」を開発し、2011年に世界で初めて「BaFe磁性体」を用いた磁気テープを実用化した。2012年には、「LTO Ultrium」規格として初めて「BaFe磁性体」を採用したLTO6を発売。当時主流だった「メタル磁性体」の大容量化の限界を見据え、世界に先駆けて「BaFe磁性体」を用いた磁気テープを実用化したことで、市場を常にリードしてきた。
今回発売するLTO8にも「BaFe磁性体」を採用し、同社独自の「NANOCUBIC技術」(*3)を進化させ、従来のLTO7に対してさらに微粒子化した「BaFe磁性体」を均一に分散し、テープ表面のうねりや厚みムラのない平滑な薄層磁性層を塗布している。LTO7の2倍となる最大記録容量30TB(非圧縮時12TB)を実現するとともに、最大750MB/秒(非圧縮時360MB/秒)の高速データ転送も可能で、高い利便性を発揮する。このほか、材料設計を最適化することで、磁気ヘッドの高精度なトラッキングと優れた走行耐久性を実現。安定的なデータの読み書きが可能となり、高い信頼性を備えている。
富士フイルムは、2000年にLTO1を発売して以降、高性能・高品質な大容量磁気テープの開発に取り組んできた。また、磁気テープのみならず、アクセス頻度に応じて磁気テープ・HDDにデータを保管できるデータアーカイブストレージシステムも提供している。今後は、LTO8をデータアーカイブストレージシステムと組み合わせて活用し、省エネルギーで大容量データを保管したいというニーズに応える。
同社は、世界シェアNo.1(*4)のコンピューター用磁気テープメーカーとして、ユーザーニーズと信頼に応える高性能・高品質のメディアやサービスを開発・提供し、世の中の社会課題の解決に取り組んでいく。
*1 Linear Tape-Open、LTO、LTOロゴ、UltriumおよびUltriumロゴは、Hewlett Packard Enterprise社、IBM社およびQuantum社の米国およびその他の国における登録商標。
*2 「LTO Ultrium」規格の第7世代に対応した「FUJIFILM LTO Ultrium7 データカートリッジ」
*3 高密度の磁気記録を実現する富士フイルム独自のナノ薄層塗布型磁気テープ技術。磁性体の微粒子化を実現する「ナノ・パーティクル技術」、微粒子化した磁性体を均一に分散・配列させる「ナノ・ディスパージョン技術」、超薄層塗布を実現する「ナノ・コーティング技術」から構成されます。
*4 生産者シェア。同社調べ。
【0.5mmピッチ基板対基板コネクタ】京セラ、業界最低背クラス嵌合高さ4mmを実現した「5655シリーズ」製品化
※0.5mmピッチフローティングコネクタにおいて(2019年8月末現在。同社調べ)


近年、先進運転支援システム(ADAS)やコネクテッドカーの開発・普及により、自動車のエレクトロニクス化が急速に進んでいる。加えて、国内においても、公道での自動運転の実証実験が始まるなど、今後も自動車関連市場の拡大が期待されている。このような中、車載機器においても高性能化が進むとともに、限られたスペースに搭載できるよう小型化のニーズが強くなっている。
新製品「5655シリーズ」は、嵌合高さ4mmの低背を実現した高速伝送対応のフローティング機構付きの基板対基板コネクタ。嵌合高さ4mmを最低背とし、7mmまでの高さバリエーションおよび極数の組み合わせによって幅広いラインアップを用意し、ユーザーの様々な要望に対応する。
さらに2点接点構造による高い接触信頼性と、挿抜時の破損リスクを抑制する金具形状により高い堅牢性を実現した。車両や歩行者を検知するミリ波レーダーやLiDAR、電子ミラー、カーナビゲーションシステム、ドライバーモニターカメラなど、多くの機器に対応する。また、-40℃から+125℃までの自動車の厳しい温度環境への対応に加え、高速伝送規格MIPI D-PHY(2.5Gbps)に準拠した。
(1)業界最低背クラス※嵌合高さ4㎜を実現し、車載機器の小型化に貢献
0.5mmピッチのフローティングコネクタにおいて、業界最低背クラス※の嵌合高さ4mmを実現し、車載機器の小型化に貢献。嵌合高さ4mmを最低背とし、7mmまでの高さバリエーションおよび極数との組み合わせによって幅広いラインアップを用意し、様々な要望に応える。
(2)2点接点構造による高い接触信頼性と、金具形状による高い堅牢性
端子は、挟み込み2点接点構造により、自動車の振動環境において高い信頼性を発揮。また、挿抜時の破損リスクを抑制する金具形状を採用することで、高い堅牢性を実現する。

(3)MIPI D-PHY(2.5Gbps)に準拠
高速伝送規格MIPI D-PHY(2.5Gbps)に準拠している。
(4)電源(高電流)タイプに対応
定格電流0.7A/pinに加え、オプションとして高電流の電源ピン(3A/pin)タイプも対応可能。

(5)自動車の厳しい温度環境に対応
-40℃から+125℃までの厳しい温度環境に対応。 ミリ波レーダー、LiDAR、ドライバーモニターカメラなどの車載機器に適している。
(6)IATF 16949に準拠
自動車産業に特化した品質マネジメントシステムIATF 16949に準拠した工場で製造しています。
(7)環境に優しいRoHS指令対応

【土壌生分解性プラスチック】BASFの「ecovio M2351」、トマト栽培における土壌の改良、収穫量の増加、味の向上に貢献
また、ecovio®で作られたマルチフィルムは無マルチ農法と比較して、トマト収穫量を15~50%増加させ、水の消費量を減らし、除草剤を減らしながら雑草を抑制させることも可能になる。さらに、真菌病(菌類病)に対する作物の抵抗性が高く、収穫時期が早まるほか、品質が安定し、トマトの糖水比を示すBrix値(糖度)が高くなることが分かっている。したがって、ecovio® M2351の使用により、持続可能な農業と、より高い収穫量と高品質の効率的な農業生産を同時に実現することができる。

トマトは、加工食品業界向けに世界で最も多く栽培されている野菜。多くの国の生産者が、ポリエチレン(PE)製のマルチフィルムを使用して、雑草、土壌温度および水使用を制御することによってトマトの収穫量を増やしている。しかし、PEマルチフィルムの残留物は微生物によって生分解されず、土壌に蓄積される。そのため、PEマルチフィルムを収穫後に土壌から除去する必要があり、薄いフィルムを完全に回収することは通常不可能。
ecovio® M2351で作られたフィルムは、手間や労力をかけて回収して産廃処理するのではなく、収穫後に土壌に鋤き込むことができるため、労働力とコスト削減につながる。スイスのチューリッヒ工科大学の研究により、プラスチックのPBATから作られたフィルムは、バクテリアや菌類などの土壌微生物のエサとなることが分かっている。微生物はポリマーから炭素を取り込んで、エネルギーを生成し、バイオマスを形成する。生分解後に残った最終生成物は、二酸化炭素、水およびバイオマス。これは、PBATが土壌中で生物学的に分解し、PEのマイクロプラスチックのように土壌に残留しないことを意味する。したがって、土壌生分解性マルチフィルムは、根の発育、作物の成長および土壌品質の向上に貢献する。ecovio® M2351は、EU域内における統一規格であるEN規格DIN EN17033に則り、土壌生分解性であると認証された最初の素材。ecovio® M2351で作られたマルチフィルムの使用は、多くの国の有機農作物栽培においても認められている。
ecovio® M2351で作られた認証済の土壌生分解性マルチフィルムは、2012年に市場に導入されてから6年以上、生産者に使用されている。「ecovio®で作られたマルチフィルムの使用を通じて、多くの国の生産者をサポートしています」とBASFの農業向けバイオポリマー マーケティング部門のディルク・シュテルケ氏は述べている。「国連食糧農業機関によると、2050年に90億人に増加すると予想される世界の人口を養うには、世界の農業生産を70%成長させる必要がある。生分解性マルチフィルムは、非分解性フィルムのように土壌を汚染することなく、この課題に貢献できます」。
ecovio® M2351は、薄膜フィルムのインフレーション成形用のコンパウンド材料。従来のPE用のインフレーション成形機でも加工が可能であり、強度・耐引裂き性に優れた機械的特性を有するため、様々な膜厚で製造することができる。
【軟包装印刷】日本印刷学会グラビア研究会、9月12日に第12回研究例会「パッケージにおけるデジタル印刷の最新動向」開催
インクジェットやトナーを用いた「デジタル印刷」は目覚ましい進歩をとげている。元々得意である小ロット対応、スキルレス化のみならず、近年は軟包用基材への印刷や高速でのバリアブル印刷等が実現し、デジタル印刷の市場ニーズが高まっている。そこで、(一社)日本印刷学会 技術委員会 グラビア研究会と関東グラビア協同組合は、デジタル印刷業界をけん引しているメーカー、有識者を招き、来る9月12日(木)午後1時30分~午後4時55分(受付は午後0時50分から)まで、日本印刷会館2階会議室(東京都中央区新富1-16-8)において、第12回研究例会「パッケージにおけるデジタル印刷の最新動向」を開催する。協賛は全国グラビア製版工業会連合会。
プログラムは次の通り。
13:30~13:40
開会挨拶 関東グラビア協同組合理事長 田口 薫 氏
13:40~14:25
テーマ:「伸びるデジタル印刷の現状と今後の展開」
講 師:住本技術士事務所 住本充弘 氏
要 旨:デジタル印刷はパッケージ印刷技術として日本ではまだ普及段階であるが、世界は成熟期に向けて産業構造自体が変わろうとしている。消費者のニーズの多様化、パーソナル化への対応に多様化した小ロット・大量生産体制確立及び納期対応が必要となってきている。その課題解決の1つが、デジタル印刷及びその後の加工工程の確立である。デジタル印刷は、軟包装材料、カートン、ラベル、チューブ、PETボトル、金属缶、ガラス瓶、段ボール用に印刷システムが確立されている。今後の食品包装においてデジタル印刷は単なる印刷だけでなく、トレースや interactive packageにも役立つ。さらに発展するための要因は何かを海外事例を含め説明する。
14:25~15:10
テーマ:「進化を続けるHPデジタル印刷の特性と応用例、市場動向」
講 師:(株)日本HP 土田泰弘 氏
要 旨:軟包装向けデジタル印刷機、HPインディゴの製品特徴、新インキの解説、また印刷前後加工に対するソリューションについて紹介する。また、段ボールプレプリント向けの6色インクジェット機の紹介と、実際にデジタル印刷された軟包装・段ボールなど活用事例も併せて紹介する。
15:10~15:20 休憩
15:20~16:05
テーマ:「実用化が進む軟包装用インクジェット印刷技術」
講 師:富士フイルム グローバル グラフィック システムズ(株) 佐藤武彦 氏
要 旨:軟包装業界では小ロット・多品種・短納期化のソリューションが希求されている。軟包装用フィルムは非浸透性基材である故に紙印刷に比べてインクジェットインクが滲みやすく、密着しにくいという技術課題がある。富士フイルム Jet Press 540WVは、特殊下塗り技術と高速窒素パージ技術を用いたUVインクジェット印刷方式で軟包装用途の画質と膜質を達成した。実用例とともに本方式の特徴について述べる。
16:05~16:50
テーマ:「プロダクションデジタル・水性インクで軟包装に高速印刷を実現したコダックのコンティ二アステクノロジー」
講 師:コダック(同) 河原一郎 氏
要 旨:コダックのコンティ二アスインクジェットテクノロジーは産声を上げてから52年が経過する。これまで開発の軸としてぶれなかったのは水性インクであることとコンティ二アス。現在はプリントヘッド高解像度化とプライマー技術の習得に伴い、軟包装への高速・高品質印刷を実現し、真の生産機として期待されている。Uteco社と共同開発し、今年より本格導入が開始されるSapphire EVO並びにパッケージ分野におけるバリアブル印刷の事例を中心に、更には新開発の次世代プリントヘッド『Ultrastream』の軟包装分野での可能性について提言する。
16:50~16:55 閉会の挨拶
定員は65名。ただし、定員になり次第締切る。
締切は2019年9月5日。
参加費は、日本印刷学会個人会員・賛助会員、協賛団体会員、関東グラビア協同組合組合員、全国グラビア製版工業会連合会会員が6000円、その他8000円。参加費は当日会場受付にて支払うこと。
申込は、(一社)日本印刷学会 技術委員会 グラビア研究会または関東グラビア協同組合へ。
【医薬品包装】創包工学研究会、9月18日に第76回講演会「人工物メトリクスによる医薬品のセキュリティ・偽造防止」開催
すでに発出されている「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」は、『卸売販売業者及び製造販売業者(以下:卸売販売業者等)の業務を支援し、本ガイドラインを遵守することにより、 流通経路の管理が保証され、その結果、医薬品の完全性が保持されるための手法を定めるものである。さらに、偽造医薬品が正規流通経路へ流入するのを防止するための適切な手法を定めるものである』とされており、医薬品の偽造防止は、かなり重要視されている。従来のホログラム・潜像印刷などの特殊印刷のほか、封のあり方に関して『医薬品の封・密閉性の確保に関するガイドライン』も発出済。一方、人工物メトリクスは、『人工物(典型的には工業的に生産された物体)の個体に固有の物理的特徴(人工物メトリクス要素)を活用する技術(松本)』とされており、偽造は極めて困難で、セキュリティ機能が格段に高いと考えられる。以上のような状況を考慮し、人工物メトリクスによる医薬品のセキュリティと偽造防止に焦点を絞って、講演会を開催する。
09:30~11:30
講師:松本 勉 氏(横浜国立大学 大学院 環境情報研究院 教授)
演題:人工物メトリクスの概念と将来の展望
要旨:近日中に公開
11:30~12:30
昼休み
12:30~13:30
講師:石山 塁 氏(日本電気(株)データサイエンス研究所 主席研究員)
演題:物体指紋認証による個体識別と偽造防止
要旨:均一に作られる工業製品であっても、微細なレベルで個体毎に異なる物理的特徴が種々存在し、人工物メトリクス要素と呼ばれる。そのうち、物体表面に自然発生している微細な凹凸を、我々は人の指紋になぞらえ「物体指紋」と呼び、これをカメラで画像として撮影し、画像認識技術により個体の識別と認証を行う「物体指紋認証」技術を開発してきた。本技術は、マーキングや識別タグの取り付けが困難な部品や製品のトレーサビリティの実現に有効であり、画像として撮影可能な他の人工物メトリクス要素にも応用可能である。本講演では、物体そのものやパッケージの認識への適用、トレーサビリティや偽造防止などの応用事例について紹介する。
13:30~14:30
講師:伊藤健介 氏(富士ゼロックス(株)研究技術開発本部 マーキング技術研究所)
演題:一意識別技術 Yoctrace® の紹介
要旨:富士ゼロックスは、長年培ってきた画像処理技術を使って物体を一意に識別する技術、Yoctrace®の技術開発を行ってきた。 物体表面に偶然生成されたランダムパターンの画像を利用して一意に物体を識別するYoctrace®は、偽造品対策への応用だけでなく、1つひとつを一意に特定することから、個々の物体を追跡する技術としても利用することが可能な技術である。既に医薬品の一次包装、二次包装、あるいは固形剤への適性も見えてきており、実用化の可能性を探っている。講演では本技術の概要、特徴とその応用先について紹介する。
14:30~14:45
休憩
14:45~15:45
講師:牧野智成 氏(シャチハタ(株)新規事業部 部長)
演題:仮)画像技術を利用した偽造防止技術―その後の進展―
要旨:近日中に公開
講師:松本 博 氏(凸版印刷(株)パッケージングソリューション事業部 紙器販促)
演題:人工物メトリクスなどによるセキュリティと偽造防止
要旨:凸版印刷は、出自である証券印刷から発展させたホログラム・潜像印刷などの特殊印刷技術、ユニークQRやRFIDを活用した偽造防止流通管理システムについて数多くの採用例がある。講演では、その技術や実例を紹介するとともに、独自の人工物メトリクスとして「印刷指紋」の開発と実用化にも取り組んでおり、併せて紹介する。
参加費は1人27,000円(消費税込み)。
【複合材料】帝人とジーエイチクラフト、折り紙のような構造体「ORIBAKO」開発
帝人(株)および帝人グループで先端的なコンポジット製品の設計、加工技術開発、試作を手掛ける(株)ジーエイチクラフト(静岡県御殿場市、郷家正義社長)は、FRP(繊維複合材料)を用いて、折り紙のように折りたたむことができる構造体「ORIBAKO」(折箱)を開発した。
「ORIBAKO」は、FRP製のパネルとヒンジ(ちょうつがい)を貼り合わせた多面体の構造物。FRP製であるため軽量で、運搬や設置場所での展開・設置・撤収、保管などを容易に行うことができる。そして、ヒンジ部分に柔らかい樹脂を使用したFRPを用い、伸縮性や曲げに対する優れた剛性、耐久性、密閉性を付与することにより、小さな箱物や簡易的な建造物など様々な大きさ・形状の構造体を折り紙のように簡単に折りたたみ、繰り返し使用することができる。
また、帝人が長年培ってきた独自のFRP技術を駆使し、パネル部分とヒンジ部分とを一体化させて気密性を担保することで、段差のないシームレスな表面を実現した。さらには、用途に合わせてパネルとヒンジに用いる素材の組み合わせを変えることにより、吸音性や断熱性、衝撃吸収性、振動吸収性といった特性を付与することも可能。
帝人とジーエイチクラフトは、9月4日~6日までパシフィコ横浜で開催されている「SAMPE Japan 先端材料技術展 2019」において、初めて「ORIBAKO」製の大型構造物の試作品を展示中だ(出展ブース:ホールA S-18)。これは、CFRP(炭素繊維複合材料)製のパネルにGFRP(ガラス繊維複合材料)のヒンジを貼り合わせた約11m3の簡易型ブースで、約40kgと軽量であるため、重機や工具を使用することなく大人2人で簡単に設営することができる。
帝人とジーエイチクラフトは、今後、「ORIBAKO」の改良を重ね、使用する素材のバリエーションを拡充することにより、天井にソーラーパネルを搭載したエネルギーの自給が可能な簡易的な室内スペースや、密閉性が求められる物品などにも対応可能な輸送用のコンテナなどの幅広い用途に向け、2022年までに実用化を目指す。
また、多様化する社会のニーズに応えるため、今後も設計・デザイン・成形プロセスを開発することにより、高機能素材や複合化技術を強みとしたマルチマテリアルでの事業展開を強化し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく。
【金属腐食センサー】三菱電機、世界初、プリント基板に実装可能なセンサー開発
※1 2019年9月4日現在、同社調べ

図1 開発した金属腐食センサーの実装例
開発したセンサーの特長は次の通り。
(1)世界初、小型の金属腐食センサーをプリント基板に実装
・金属腐食により抵抗値が増加する金属薄膜と抵抗体で構成する簡易構造の小型の金属腐食センサーを開発し、世界で初めてプリント基板への実装を実現
・産業用機器内の環境により近い状態で、金属部品の腐食進行度が検知できるため、新たな外付け計測器が不要
(2)複数の金属腐食センサーを組み合わせ、腐食進行度を段階的に検知
・金属腐食センサーの抵抗値の増加により金属腐食の進行度を把握
・金属腐食センサーに用いる金属薄膜の材質や厚みを変えることで、金属腐食センサー自体の金属腐食の進行を調整
・複数の金属腐食センサーを組み合わせることにより、産業用機器内の金属部品の腐食進行度を段階的に検知
金属腐食センサーの構成
・金属薄膜と抵抗体で構成
・導体である金属薄膜に抵抗体を直列接続することで高感度化
外形寸法(W×D)
・1.6mm×0.8mm
(金属薄膜の材質・厚さや抵抗体の抵抗値にかかわらず同じサイズ)
【触覚伝達技術】京セラ、ドイツPreh社と特許紛争で和解
京セラ(株)は、Preh(プレー)GmbH社(社長兼CEO:Christoph Hummel 以下Preh)と、触覚伝達技術で係争中であった特許紛争について、和解した。
2018年、京セラは、同社の有する触覚伝達分野の特許を、ドイツの自動車部品メーカーPrehが侵害している可能性があることを、デュッセルドルフ地方裁判所に訴えた。Prehは、それに対して、在ミュンヘン連邦特許裁判所に、同訴訟の取り下げを求める申し立てを行った。
両社は交渉を通じて、特許紛争について、技術ライセンス契約を締結することで和解し、相互にこの結果を受け入れることに合意した。
【バイオマスエネルギーシステム】NEDOと昭和化学工業、熱風炉設備を備えた木質バイオマス熱供給プラントの実証開始
その後、2017年1月から実証フェーズに移行し、システムの設計や必要となる設備などの具体的な検討を進め、今般、同社は、これまでの調整・検討結果を踏まえ、熱風炉設備を備えた木質バイオマス熱供給プラントを同社岡山工場の敷地内に完成し、安定的かつ経済性の高いハイブリッド運転を目指す。今後、試運転を経て、2019年9月中旬に実証運転を開始する。


今回完成させたプラントは、既存のLNGを燃料とする熱供給プラントに新たに併設することにより、①既存工場からの排熱を利用したバイオマス燃料の乾燥機能を付加した燃料槽、②珪藻土を乾燥させるための熱源となるバイオマス熱風炉、③熱交換器から構成される(図3参照)。
バイオマス燃料は地元地域である岡山県真庭市を中心に、鳥取県西部地域、中部地域から木の皮などの余剰木質バイオマスを調達し、24トン/日の規模で消費する予定。多様な資源を使用することを想定し、燃料槽には既存工場の排熱を利用した乾燥機能を付加するとともに、安定的にバイオマス熱風炉に供給するため、自動クレーンを用いた供給方式を採用した。熱風炉は、多様な燃料の燃焼に適した階段式火格子(ストーカ)炉で24時間連続燃焼をさせる。熱風炉で生成した燃焼ガスは、熱交換器でクリーンな空気と熱交換※3し、その高温空気を既存工場の珪藻土乾燥工程に吹き込む。バイオマス熱風炉は最大2,050kW能力で、500℃の高温空気を供給する。

バイオマス熱風炉設備を安定的に稼働させることで、化石燃料使用量を岡山工場全体で20%低減し、二酸化炭素発生量を年間1,000トン削減する見込み。その熱エネルギーは既存工場の乾燥工程にて必要な熱量の30%に相当する。また、残りの70%は既存のLNG熱風炉より供給し、バイオマスとLNGのハイブリッド運転を行う。ここでは、燃料の価格や熱量の変動に対して、同プラント専用に開発した統合監視ソフトフェアにより、リアルタイムに運転コストを算出できる。そのデータを用いてLNG燃料とバイオマス燃料の調達状況の変動なども踏まえた最適な比率で併用することで、経済性の高い最適運用を目指す。
今後の予定
今後、NEDO事業として同プラントの実証運転を2020年度末まで実施予定であり、NEDO事業終了後には昭和化学工業による自主研究運転を2023年秋まで実施する予定。これまでの輸入LNGに100%依存する状態から、地元産出のバイオマス燃料を導入し、既存プラントにバイオマス熱供給プラントを併設することで、燃料のハイブリッド化を図ることにより、同社岡山工場におけるCO2排出量削減および燃料費削減に資するとともに、地域経済の振興の観点からは、同地域における貴重なバイオマス資源を巡る既存のエコシステムと共生した持続可能な社会構築に寄与していく。
また、NEDOは、バイオマスエネルギーの利用拡大を推進するために「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針※4」を策定しており、本実証事業の成果も踏まえて同指針の改訂を行い、広く一般に公開する。これにより、同実証事業をモデルの1つとして熱需要のある全国の他の地域への展開を目指す。
<注釈>
※1 プロジェクト
事業名:バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業/地域自立システム化実証事業
事業期間:2014~2020年度
事業規模:約12.5億円(2019年度委託、助成全体)
※2 珪藻土
珪藻土は植物性プランクトンの1つである珪藻(ケイソウ)が化石となり、堆積したもので、主な構成元素はSiO2(二酸化ケイ素)。珪藻土の用途はビールを製造する際の濾過助剤や珪藻土バスマットや家の内装などの建材の原料。
※3 クリーンな空気と熱交換
主要製品である濾過助剤としての珪藻土製品は食品添加物としての基準を満たす必要があるため、その乾燥工程用にはクリーンな空気が必要になる。
※4 バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針
事業者や有識者へのヒアリング調査および関連する参考資料に基づいて、バイオマスエネルギー事業への参入を検討する事業者が事業計画を作成する際に留意すべき点や考慮すべき情報をとりまとめたもの。バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針
【第3回「印刷と私」エッセイ・作文コンテスト】JFPIグリーンプリンティング認定事務局、選考結果発表。表彰式は9月13日、小山薫堂氏と女優・鈴木杏樹氏による「印刷と私」のトークセッションも
同コンテストは、「印刷」にまつわる心温まる思い出やエピソードを募集したもので、今回が3回目。グリーンプリンティングのPR大使でもある放送作家の小山薫堂氏を審査委員長に迎え、応募総数943作品から「印刷と私」コンテスト審査委員会において厳正な審査を行い、一般の部、小学生の部門ごとに受賞作品を決定した。受賞者ならびに表彰式の詳細は下記のとおり。
※受賞作品は同日9月13日にグリーンプリンティング認定制度の公式サイトにおいて公開する。
受賞者は次の通り。(敬称略、五十音順)
<一般の部>
小山薫堂最優秀賞(1名) 「十二ヶ月×三十年」 星野有加里(静岡県)
小山薫堂優秀賞 (2名) 「父が本に遺した線」 阿部松代(神奈川県)
「一緒に劣化!一緒にバアサン!」 山本真理子(愛知県)
優秀賞(3名) 小松崎有美(埼玉県)、成田欣司(東京都)、森咲野花(佐賀県)
佳 作(5名) 織田桐真理子(鳥取県)、金谷祥枝(広島県)、黒沢賢一(福島県)、齋藤未奈子(大阪府)、山本由美子(大阪府)
<小学生の部>
小山薫堂最優秀賞(1名) 「財布の中の小さな宝物」植木涼太(埼玉県、小学6年生)
小山薫堂優秀賞 (5名) 「私のぼうけん」青木麻奈(東京都、小学4年生)
「色と印さつ」生関真衣(東京都、小学5年生)
「思い出の一ページ」大日方伶衣(東京都、小学6年生)
「私たちの印刷時代」田附奈々花(東京都、小学6年生)
「ぼくといんさつとおかあさん」中島唯翔(熊本県、小学2年生)
優秀賞(3名) 大恵朱実(兵庫県、小学2年生)、熊谷歩美(埼玉県、小学2年生)、寺島いろは(徳島県、小学3年生)
佳 作(4名) 熊谷佳飛(埼玉県、小学5年生)、松本匠平(東京都、小学3年生)、三島 司(大阪府、小学2年生)、森脇茉菜(大阪府、小学4年生)
【PETボトルリサイクル繊維】東レ、サステナブルな社会の実現を目指す繊維事業のブランド「&+」を展開
東レ(株)は、サステナブルな社会の実現への貢献を目指し、回収PETボトルを繊維原料として再利用する取り組みを本格的に開始する。この取り組みを推進するため、「Together,We are the New Green」をテーマとした繊維事業のブランド「&+」(アンドプラス)を新たに設定した。「&+」は、環境問題への高い関心を持つ消費者の共感を獲得し、東レの高付加価値PETボトルリサイクル繊維を介して、PETボトルリサイクル製品に関わる回収者・生産者・消費者が、相互に繋がることを促進することで、PETボトルリサイクルの活動を社会的なムーブメントに高め、循環型社会の実現への貢献を目指すもの。
この取り組みに向け、東レは多様な品種展開と高い白度、トレーサビリティ付与技術による信頼性が特長の高付加価値PETボトルリサイクル繊維の生産技術を開発した。ファッションや高機能スポーツ、ライフウエア用途など、これまで機能性や感性、信頼性が課題となりPETボトルリサイクル繊維の使用が限られてきた分野でも使用することができる。
東レは、「&+」をPETボトルリサイクル活動のシンボルとして広く社会に訴求するとともに、消費者に対する国内外のリテーラーを通じたマーケティングにより、高付加価値PETボトルリサイクル繊維のグローバルな拡大を目指す。
PETボトルリサイクル繊維は、これまで回収PETボトルからなる原料への混入異物により特殊な断面や細さの繊維の生産が困難で、糸種が定番品に限られる点や、PETボトルの劣化などによる黄ばみが原因となり、リサイクル原料を使った糸の白さが損なわれる点が課題だった。
これに対して東レは、PETボトルリサイクル原料に含まれる異物を除去するフィルタリング技術とPETボトルの高度な洗浄技術を有する協栄産業(株)とともに、異物と黄ばみを除去した高品位な原料の供給安定化に取り組んだ。この原料と東レの繊維生産技術とを組み合わせることで、石油由来のバージン原料を使用した場合と同様に、PETボトルリサイクル繊維の品種の多様化と白度の向上を可能にした。
また、PETボトルリサイクル繊維の展開には、回収PETボトルからなる原料の使用を証明する信頼性が重要である。東レは繊維原料に特殊な添加剤を使用する独自の「リサイクル識別システム」を新たに構築し、東レ製のPETボトルリサイクル繊維であることの検知を可能にすることで、信頼性向上を実現した。
今後、糸・わたに加えてテキスタイルや縫製品までの多様なサプライチェーンと、グローバルな生産拠点を活用し、PETボトルリサイクルを通じたサステナブルな社会を実現するというテーマに共感いただける顧客のニーズに対応できる供給体制を構築していく。
【CFRPシート】三谷産業、金沢工業大学と研究開発を開始。2024年から販売開始予定
三谷産業(株)は、金沢工業大学(遠藤和弘教授・和田倫明研究員)と連携し、日本国内で今後急速に増加する老朽化した橋梁の補修・補強工事において、工期を大幅に短縮できる可能性を持つ「高接着性CFRP(炭素繊維強化プラスチック)シート」の研究開発を本格的に開始する。
この事業は公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)より「いしかわ次世代産業創造ファンド助成事業(新技術・新製品研究開発支援事業)」の採択を受け、9月4日(水)、石川県庁において採択決定通知書交付式が行われ、谷本正憲石川県知事より採択決定通知書が授与された。
今後、2024年からの販売開始に向けて研究開発・製品化を進め、販売開始後3年間で84億円以上の売上を目指す。
高接着性CFRPシート開発の背景
日本国内の橋梁は高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化することが懸念されている。老朽化した橋梁の割合は2018年の約25%から、2023年には約39%、さらに2033年には約63%まで膨れ上がると予想(※1)されている。このような背景のもと、現存の橋梁を長く利用できるようにするための補修・補強が注目されている。
現在の補修では、補修部に熱硬化性樹脂を用いて炭素繊維を接着する方法がとられている。しかしながら、この施工方法では、樹脂が固まるまでの待機時間が発生するため施工が長期化する、樹脂が固まった後に結露によって水滴が付着することがありその除去に時間と労力が掛かるといった問題がある。
そこで、このたび本格始動する研究では、橋梁補修・補強のためCFRPに高接着性を持たせたシートの開発を課題とした。連携機関である金沢工業大学の遠藤教授・和田研究員の研究するプラズマ照射技術を用いてCFRPに特殊加工を加えることで、新製品「高接着性CFRPシート」の開発を行う。このシートにより上記の問題は解決され、大幅な工期の短縮とコストの削減が期待できる。
※1 出典:国土交通省 社会資本の老朽化対策情報ポータルサイト
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/02research/02_01.html
製品販売計画
・製品:CFRP補強シート
・販売先:大手建築土木業者等
・価格:13,000円/m程度
・数量:648km(1m幅換算)程度
・売上高:84億円以上
・販売開始時期:2024年頃(予定)
今回採択された助成事業の概要
・運営機関:公益財団法人石川県産業創出支援機構
・助成金名:2019年度いしかわ次世代産業創造ファンド事業助成金(新技術・新製品研究開発支援事業)
・事業テーマ:世界の橋を100年活用する高接着性CFRPシートの製造販売事業
・事業主体:三谷産業株式会社ケミカル事業部
・連携機関:金沢工業大学
・研究目的:CFRPに独自のプラズマ照射を施し、橋梁を補修・補強する高接着性CFRPシートを開発する。従来工法と比べて、大幅な工期の短縮とコストの削減を図る。
・研究内容:
(1)CFRPに独自のプラズマ照射を施す事で、高接着性を有した、現場で簡単に補修・補強できるシートを開発する。
(2)2023年には現在の橋梁の40%以上が老朽化を迎えると危惧されており、将来のインフラ需要を視野に研究開発に取り組む。
【ファインファイバー】花王、膜の角層タンパク質発現挙動および肌への効果を発表
花王(株)は、直径がサブミクロンの極細繊維を肌に直接噴きつけることで、軽く、やわらかく、自然な積層型極薄膜を肌表面につくる「ファインファイバー(Fine Fiber)技術」を、2018年に発表した。このたび、花王のスキンケア研究所、解析科学研究所は、この技術と水分蒸散制御製剤を併用して形成する膜の透湿度(*1)に着目。肌表面の水分蒸散を制御することが、健全な角層形成に必要な多くのタンパク質の発現、および肌状態と関係することを見出した。
この研究内容は「日本香粧品学会第44回年会(2019/6/28-29、東京都)」「日本プロテオーム学会2019年大会(2019/7/24-27、宮崎県)」で報告し、「第25回 IFSCC ミラノ大会(2019/9/30-10/2、イタリア)」でも発表を予定している。
*1 布などが水蒸気を通す度合い。透湿度が高い=水蒸気を通しやすい
・花王コーポレート Fine Fiber Technology vol.1
https://www.youtube.com/watch?v=FXem7gQ1zLg
肌の最外層にある角層には、皮膚の恒常性を維持するために重要なバリア機能があり、外的刺激物質の体内への侵入を防いだり、水分蒸散を抑えたりするはたらきがある。しかし、環境や加齢などの影響で、角層バリア機能が低下し、その結果、見た目の美しさが損なわれることはめずらしくない。花王は、角層機能を補うことをめざし研究を行なっているが、従来の製剤は、均一性や持続性といった面で課題もあった。
ファインファイバー技術は、専用のポリマー溶液を小型の専用装置から肌に直接噴射し、肌表面に極細繊維からなる積層型極薄膜を形成する技術。直径1μm以下の細さの繊維が折り重なってできるこの極薄膜は、軽く、やわらかいだけでなく、極細繊維による高い毛管力(*2)を有するのが特長。花王は、このファインファイバー膜と液状の製剤を併用すると、高い毛管力により、製剤が膜全体に速やかに均一に広がり、膜の中でしっかりと保持されるという性能を見出ている。
*2 物体内の狭いすき間が液体を吸い込む力
【九州北部大雨】三井化学、被災地・被災者へ支援
また、国交省九州地方整備局からの依頼により、佐賀県六角川から有明海への油流出防止のために、大牟田工場から同社製品「タフネル®オイルブロッター®」などを杵藤地区広域消防の大町分署に提供した。
■物資提供の概要
提 供 先:①杵藤地区広域市町村圏 組合消防本部白石消防署 大町分署
依 頼 元:国交省九州地方整備局 博多港湾・空港整備事務所
支援内容:タフネル®オイルブロッター® ※2 (22 箱)他
依 頼 元:SEMA 現地での受取は、特定非営利活動法人 A-PAD ジャパン※3
支援内容:ウレタンマットレス(200枚)、ブルーシート(200枚)
※2)タフネル®オイルブロッター®:ポリプロピレンを原料とした不織布で、抜群の油吸着力と強度を持ち、素早く油を回収する。
※3)特定非営利活動法人アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PAD ジャパン):国内外における大規模災害時の緊急人道支援活動、復興支援活動、防災や減災のための活動等を行う民間・非営利の団体
【センサエキスポジャパン2019】三井化学、圧電センサ材料を出展
今回、三井化学が開発した非焦電性の有機圧電フィルム「ミューフレックス®」、フレキシブルな極細同軸線構造の張力センシング基材「PIEZOLA®」を、顧客との実際の開発事例とともに、触ってもらい、機能的な特徴を体験・体感してもらえる展示を行う。
コラボレーション展示は次の通り。
(株)村田製作所
PicoLeaf®:押圧検知や折り曲げ角度検知が可能なセンサ
Touchleaf(開発品):新開発の薄型多機能タッチパネル
介護ベッド用見守りセンシングシステム
ゼロ歳児の突然死症候群防止のための非侵襲心拍呼吸センシングシステム
Bionic-Brain:次世代手術訓練用モデル
【ケミカル マテリアル Japan 2019】大陽日酸、銅ナノペースト・銅ナノ粒子など展示
大陽日酸(株)は 2019年9月18日・19日にパシフィコ横浜にて開催される「ケミカル マテリアル Japan 2019」に出展する。
主な展示内容は次の通り。
<SDGs関連>
①次世代完全閉鎖型陸上養殖設備/酸素利用プロセス
②農水産業向けIoTシステム(活用事例)
<電池関連>
③高速動作電池
④二次電池導電助剤・電極材料
<5G(次世代通信)・半導体関連>
⑤銅ナノペースト・銅ナノ粒子
⑥GaN成膜装置(THVPE装置)
⑦反応ガス雰囲気(熱・プラズマ)部材評価技術
大陽日酸(株)は 2019年9月18日・19日にパシフィコ横浜にて開催される「ケミカル マテリアル Japan 2019」に出展する。
主な展示内容は次の通り。
<SDGs関連>
①次世代完全閉鎖型陸上養殖設備/酸素利用プロセス
②農水産業向けIoTシステム(活用事例)
<電池関連>
③高速動作電池
④二次電池導電助剤・電極材料
<5G(次世代通信)・半導体関連>
⑤銅ナノペースト・銅ナノ粒子
⑥GaN成膜装置(THVPE装置)
⑦反応ガス雰囲気(熱・プラズマ)部材評価技術
【米国商務省投資諮問委員会】Teijin Holdings USAの社長、委員に選任
帝人グループ米州総代表で、米国持株・統括会社Teijin Holdings USA Inc.(ニューヨーク州、以下「THUS」)の社長である ジェーン・トーマス 氏が、このたび、米国商務省の投資諮問委員会(Investment Advisory Council、以下「IAC」)の委員に選任された。
IACは、海外から米国内への直接投資を誘致・維持するための戦略やプログラムを開発し、その実行について商務長官に助言する役割を担っており、各地域・州の経済開発機関、さまざまな産業、企業、協会などを代表する人物が委員として選任される。
ジェーン・トーマス氏は、帝人グループ米州総代表およびTHUS社長としてこれまでに取り組んできた米国への新規投資に関する活動や経験を活かし、IAC委員としての2年間の任期中、同委員会の活動に積極的に関与していく。
帝人グループは、今後も米国内における生産能力増強などの投資を継続し、米国経済の発展、新規雇用創出などに貢献するとともに、米国における自動車産業および航空・宇宙産業向け事業の一層の拡大を目指す。
帝人による近年の主な米国への投資実績は次の通り。
2017年
コンチネンタル・ストラクチュアル・プラスチックス社(英語)(Continental Structural Plastics Holding Corporation、ミシガン州)買収
*軽量複合材料製品の生産・販売・技術開発企業の買収
2018年
テイジン・カーボン・ファイバーズ設立
*炭素繊維製造工場の新設(サウスカロライナ州、2020年度中に稼働予定)
2019年
レネゲード社(英語)(Renegade Materials Corporation、オハイオ州)買収
*航空・宇宙用途向け高耐熱熱硬化プリプレグメーカーの買収
【ChemCyclingプロジェクト】プラスチック廃棄物から生まれた新製品をBASFのパートナー企業、Jaguar Land Rover社、Storopack社、Südpack社、Schneider Electric社が採用
大手自動車メーカーJaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)社は、BASFのポリアミド樹脂、「Ultramid®B3WG6 Ccycled Black」を用いて、同社初のSUV電気自動車である「I-PACE」向けに、プラスチック製フロントエンドキャリアの試作品を開発した。「事業活動を通じてクローズドループ生産を加速するというコミットメントの一環として、私たちは常に、廃棄物削減に役立つ技術の進歩を探し求めています」と同社グローバル・環境・コンプライアンス担当マネージャー、クレイグ・ウッドバーン氏は述べている。「『ChemCyclingプロジェクト』のプロセスを通じて、消費財廃棄物をプレミアム製品向けに、安全かつ高品質な部品に変換することは、廃棄物ゼロの未来を作り出していきたいという私たちの願いを前進させる上で、重要な一歩なのです」。
保護包装材および技術成形部品の世界的なサプライヤーであるStoropack(ストロパック)社は、温度に敏感な医薬品向けの絶縁包装、鮮魚輸送用の魚箱、および電子デバイスの保護包装に、BASFの発泡スチロール「Styropor® P Ccycled」を採用した。「特に印象に残ったのは、Styropor® P Ccycledが食品包装に使用できることです。Styroporにはすでに様々なリサイクル方法がありますが、『ChemCyclingプロジェクト』により、リサイクル率をさらに高めることができます」と、同社取締役会長であるヘルマン・ライヒェンエッカー氏は述べている。こうしてStoropack社とBASFはサーキュラー・エコノミーにおいて新たな道を切り開いている。
ヨーロッパのフィルム包装の大手メーカーであるSüdpack(ズードパック)社は、モッツァレラチーズ向けの特別な密封包装に、ポリアミドフィルムとポリエチレンフィルムを製造した。これまで、多層包装は限られた範囲でしかリサイクルできないと考えられてきた。「フィルム包装は、プラスチックの使用量を最小限に抑えつつ、製品保護、衛生、保存期間といった面で重要な役割を果たさなければなりません。そのため、様々な特性やバリア性を持つ素材が複数のレイヤーで構成されています。『ChemCyclingプロジェクト』などの革新的なテクノロジーにより、私たちはフレキシブル包装のリサイクルにおける課題解決に向けて前進しました」と同社マネージング・パートナーであるヨハネス・レメレ氏は述べている。
エネルギー管理のデジタル化および自動化のリーディングカンパニーであるSchneider Electric(シュナイダーエレクトロニック)社は、ケミカルリサイクルされたUltramid®から回路遮断器を製造した。「再生プラスチックなどの二次原料が、当社の厳しい品質基準や厳しい業界基準を満たすものであるかどうか、私たちは積極的に評価しています。魅力的なコストを提供しつつ、徹底した持続可能性メリットを実証するBASFの専門知識を信頼しています。BASFとの試みは、エネルギー管理やエネルギー供給分野において、これまで以上にサーキュラー・イノベーションを促進させることと期待しています」と、同社の環境・安全・不動産部門シニアバイスプレジデントであるクサヴィエ・ウオ氏は述べている。
「あらゆる業界のお客様を対象としたパイロットプロジェクトでは、ケミカルリサイクルされた原料を用いて製造された製品であっても、一次原料を用いて製造された製品と同等の品質と性能を発揮することが示されています。『ChemCyclingプロジェクト』では、マスバランス方式を使用して再生原料の割合を最終製品に割り当て、お客様がサステナビリティ目標を達成する上での一助となります」と、BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業本部 シニアバイスプレジデントのユルゲン・ベッキー氏は述べている。認定された製品は、その名称に「Ccycled」という表示が追加される。記者会見で発表された試作品は、「ChemCyclingプロジェクト」において進行中の試作段階の一例。
「BASFは『ChemCyclingプロジェクト』で、現在リサイクルできない複合素材のプラスチックや汚れのあるプラスチック廃棄物を熱分解油に転換することを目指している。このプロジェクトを市場へ展開できる準備が整えられれば、『ChemCyclingプロジェクト』はプラスチック廃棄物の課題を解決するリサイクルおよび回収の既存プロセスを補完する、革新的なプロジェクトとなるでしょう」とBASFの「ChemCyclingプロジェクト」のリーダーであるシュテファン・グレーター氏は述べている。
ケミカルリサイクルの大きな可能性については、コンサルティング・ファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーが2018年12月に行った調査で確認されている。専門家は、既存のリサイクル・プロセスとケミカルリサイクルのような新しいプロセスとを組み合わせれば、2030年までに世界中でプラスチックの50%の再利用およびリサイクルが可能になると見込んでいる(現在は16%)。ケミカルリサイクルの比率は現在の1%から約17%に拡大する可能性があり、これは約7,400万トン分のプラスチック廃棄物のリサイクルに相当する。
しかし、試作段階から市場へと展開するには、様々な課題を解決する必要がある。熱分解油の品質を安定的に保つためには、廃プラスチックを再生原料に変換する既存の技術を高度化し、工業規模での使用に適合させる必要がある。BASFは現在、同社の統合生産拠点(フェアブント)に商業利用に見合う量の熱分解油を長期的に供給するための様々な選択肢を検討している。これらの技術的な課題に加えて、経済的な課題もある。ケミカルリサイクルが市場に受け入れられるためには、規制当局がこのプロセスを正式にリサイクルとして、認めなければならない。また、この枠組みの中でケミカルリサイクルやマスバランス方式を法律で求められるリサイクル率の計算に、どのように反映させるのかということも定義する必要がある。
「当社の『ChemCyclingプロジェクト』は、BASFがパートナーと協力して21世紀の主要課題の解決に取り組んでいることを示す良い例です」と、BASFのサステナビリティ専門家であるアンドレアス・キヒェラー氏は述べている。BASFは、「ChemCyclingプロジェクト」の他にも、サーキュラー・エコノミーの考え方を強化し、プラスチックの環境への漏出を防ぐための多くのプロジェクトやイニシアティブに携わっている。例えば、BASFの製品ポートフォリオには、一部再生可能原料をベースにした、認証済みの生分解性プラスチック ecovio®(エコバイオ)がある。また、BASFは世界プラスチック評議会のメンバーであり、エレン・マッカーサー財団の2つのプログラムに参加している。BASFは全世界の事業所で、プラスチックペレットの環境への漏出を防止するためのプラスチック業界の国際的な取り組みOperation Clean Sweep®にも参加している。さらに2019年初頭には、BASFは約30社とともに、プラスチック廃棄物問題の解決に向けた世界的なアライアンス「Alliance to End Plastic Waste」(AEPW)を共同で設立した。主要分野は、廃棄物収集のためのインフラ開発、革新的なリサイクル方法の促進、各種団体の教育および啓蒙活動、環境中のプラスチック廃棄物が集中する地域の清掃活動の4つで、アジアやアフリカを中心に、今後5年間で最大15億米ドルを投じる予定。
「ChemCyclingプロジェクト」の紹介ビデオ(日本語字幕付き)はこちらをご覧ください:https://youtu.be/9-ual0pEcuo
【Packaging】クラレ、「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2019」に出展
(株)クラレは、9月11日から13日まで東京ビッグサイト西3・4ホールで開催される「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2019」に出展する。"Innovation with Hospitality"のテーマのもと、コーヒー生産国を含めた23の国と地域から約200社/団体が会場に集結、最高品質のコーヒーに加え、コーヒーに関連する商品を展示する。
出展製品は次の通り。
1.バイオマス由来のバリア材「PLANTIC™(プランティック)」
PLANTICは、バイオマス由来の生分解性ガスバリア素材。優れたガスバリア性による食品の品質保持や賞味期限の延長、カーボンニュートラルによりCO2削減に貢献する。他のバイオマス、生分解性素材との組み合わせによる環境性能の高い包装材の設計も可能。
食品の香りや匂いを保持できることから、コーヒー豆を保存する環境対応コーヒーパウチとして採用が進んでいる。
2.ガスバリア性樹脂「エバール®」
プラスチックの中で最高レベルのガスバリア性(気体遮断性)を持つEVOH(エチレンビニルアルコール)樹脂。コーヒーカプセル、穀物保存袋などに使用されている。エバールのガスバリア性を活かした穀物保存袋は、酸素の侵入を抑えることで、微生物や害虫などが生存できない環境を作り、穀物や種の品質保持に貢献する。
3.スライド式スティックジッパー「エニーロック®」
エニーロックは開封した袋に差し込むだけで、美味しさもニオイも逃さずに簡単に密封できるスライド式スティックジッパー。
4.「クラフレックス®」カウンタークロス
汚れ落ちの良さと速乾性により雑菌が繁殖しにくいことが特長のレーヨン製不織布衛生ふきん。
クラフレックスカウンタークロスは、食品業界における品質管理方法の1つとして広く認知されているHACCP※1の製品認証を、日本国内で生産する不織布衛生ふきんとして初めて取得した※2。
※1 HACCPとはHazard Analysis and Critical Control Point のそれぞれの頭文字をとった略称で「危害要因分析重要管理点」と訳されている。
※2 一部、品番を除く。
5.活性炭「クラレコール®」
石炭やヤシ殻などを原料とする活性炭を紹介する。コーヒーに使用する水の塩素除去、またカフェインの除去などにも使用可能。