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【エッジAI】EDGEMATRIXが米国Cloudianからスピンオフし、NTTドコモ、 清水建設、日本郵政キャピタル3社からの資金調達および協業

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 高精細映像などの大量データを現場(エッジ)でリアルタイムにAI処理するためのデバイス「Edge AI Box」、エッジAIの統合管理・収益化プラットフォーム、およびソリューションの3つの事業を提供するEDGEMATRIX(エッジマトリクス)(株)(東京都渋谷区、代表取締役社長 太田 洋、以降EDGEMATRIX)は、2019年4月26日に設立、同年7月1日に米国Cloudian Holdings Inc.及び日本法人クラウディアン(株)からAI事業をスピンオフし、(株)NTTドコモ(東京都千代田区、代表取締役社長 吉澤 和弘)、清水建設(株)(東京都中央区、取締役社長 井上 和幸)、日本郵政キャピタル(株)(東京都千代田区、代表取締役社長 小塚 健一)それぞれと、5Gを活用したIoTサービスにおいて、ますます注目されている、高精細映像などの大容量データをデータ生成現場でAI処理し活用するエッジAI事業の活性化に向け、協業することで合意、8月6日(火)付で第三者割当増資により3社から9億円を資金調達した。
 
エッジAIとはデータ生成現場(エッジ)にてAI処理し活用するものであり、主に次のような場面における課題を解決する。
 ・コストやエリアの制約からクラウド側のAIを利用することが難しい
 ・AIによる制御において通信やクラウド処理における遅延の影響を避けたい
 ・AIで活用するデータがセンシティブなためクラウドで処理、保管したくない
 ・機密性が高い環境でありAI処理するデータを外部にだせない

 EDGEMATRIXは、今回調達した資金を使い、エッジAIを実現する次の3つの事業の展開を本格化する。

1. 「エッジAIデバイス」事業
 エッジにてAI処理し伝送できる屋内と屋外用小型装置「Edge AI Box」は、深層学習ベースのAIなどの高速計算処理をするGPUと無線通信モジュールを搭載し、豊富なインターフェースを備えている。

2. 「エッジ AIプラットフォーム」事業
 「エッジ AI プラットフォーム」は、「Edge AI Box」を含みエンド・ツゥ・エンドでエッジAIを統合管理するプラットフォームであり、AIを広く普及させる基盤となります。設置場所を表示し状態管理をするMap View(マップビュー)を使ったデバイス管理、現場の多数映像をAI処理し同時に表示するEdge View(エッジビュー)などのサービス管理、AIアプリケーション(AIアプリ)を配信・管理する機能や、登録・販売を可能とする「マーケットプレイス」を提供する。
 この「エッジAIプラットフォーム」は、現在開発を進めており、2020年1月以降に試験サービス、同年4月以降に商用サービスを開始する予定。
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【図】「Map ViewとEdge View:地図と多数映像をエッジAI処理しリアルタイムにブラウザ表示」

3. 「エッジAIソリューション」事業
 「エッジ AIソリューション」は、エッジAIを実用化するためのソリューションを提供する。これまで、AIを使った、①車種判別による屋外広告、②交通量渋滞計測、③搭乗者数計測、④部品種類判別、⑤不良品・不具合検知等、数多くのAIソリューションを手掛け、実証実験段階からAIを商用段階に移行する際に直面する多くの課題を解決してきた。これらの経験や知見をもとにしたソリューションを提供する。
 EDGEMATRIX代表取締役社長 太田 洋は次のように述べる。
 「エッジAI事業のビジネスモデルは、i-modeやJ-Skyといった日本のケータイが輝いていた時代のモバイルコンテンツビジネスをヒントにしています。かつてのように活気あるビジネスを数多くのエッジAIパートナーの皆様とともに創りたいと考えています。将来人口が減る日本で、AIを当たり前な身近なものに普及させ、利便性の高いサービスを提供して人々の生活を豊かにしたり、生産性を高めたり、またより安全で安心な社会の実現に寄与したいと思います」

 NTTドコモ 執行役員 IoTビジネス部長 谷 直樹氏は次のように述べる。
 「EDGEMATRIXと協創するエッジAIプラットフォームを通じて、AIソリューションを流通させるエコシステムを構築し、言わばAIの民主化をめざします。ドコモは、IoT, AI, 5Gの活用により、デジタルトランスフォーメーションを推進し、様々な産業の発展に貢献してまいります」

 清水建設 執行役員 エンジニアリング事業本部長 関口 猛氏は次のように述べる。
 「EDGEMATRIXとの協業をさらに加速し,顧客ニーズに応えるエッジAIソリューションの企画・開発・提案を積極的に推進します。協業する各社が持つ技術・ノウハウのシナジーを最大化して,工場・物流施設における高効率化・省人化などを実現するAIインテグレーションをはじめ,オフィス,商業施設,学校,病院など様々な用途に対して,IoT・AIを活用したワンストップソリューションを提供してまいります」
 日本郵政キャピタル 代表取締役社長 小塚 健一氏は次のように述べる。
 「日本郵政キャピタルは、「ライフ・インベストメント・チーム」として、地域社会を支援し、皆様のより良い生活と明るい未来を考えて、投資活動を行っております。今後、5Gが普及し、映像IoTソリューションが社会へ実装されることで、皆様の生活がより快適になると考え、EDGEMATRIX社へ出資する運びとなりました。本出資を通じて、同社の成長を支援するとともに、日本郵政グループとの連携も検討してまいります」

 Cloudian Holdings Inc. CEO マイケル・ツォー氏は次のように述べる。
 「私は日本でCloudianを共同設立しましたが、このたび新たにEDGEMATRIXの設立にも関与できたことを心から喜んでいます。日本のイノベーションと起業家精神は新たな高みに上り続けています。EDGEMATRIXのインキュベーションは、非常に革新的で協力的なお客様によって大きく加速されました。CloudianとEDGEMATRIXは、急成長するAI市場でエンド・ツゥ・エンドのソリューションを提供できる戦略的投資家との提携に興奮しています」

■EDGEMATRIXについて
 EDGEMATRIXは、米国Cloudianからスピンオフし、NTTドコモ、清水建設、日本郵政キャピタルから出資を得たスタートアップ。エッジAI処理し伝送する屋内・屋外用小型装置「Edge AI Box」、デバイス、サービス、AIアプリケーションの統合管理基盤「Edge AI Platform:エッジAIプラットフォーム」、エッジAI導入課題を解決する「Edge AI Solution:エッジAIソリューション」を提供する。
ホームページ:  http://www.edgematrix.com/
Facebook: https://www.facebook.com/EDGEMATRIX.INC
EDGEMATRIX
会社名:EDGEMATRIX株式会社
代表者:代表取締役社長 太田 洋
所在地:東京都渋谷区代官山町8-7 Daiwa代官山ビル401
営業開始日:2019年7月1日
従業員数:10名
主な事業内容:
・エッジAIデバイス事業
・エッジAIプラットフォーム事業
・エッジAIソリューション事業

 


【生分解性バイオマスプラスチック】三菱化学の「BioPBS」製ショッピングバッグとラッピング袋、コム デ ギャルソンの直営店で採用

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 三菱ケミカル(株)の生分解性バイオマスプラスチック「BioPBS™」製のショッピングバッグおよびラッピング袋が、(株)コム デ ギャルソンに採用された。8月より、世界19カ所にあるコム デ ギャルソンの直営店で使用されている。
 BioPBS™は、三菱ケミカルが開発、基本特許を有し、同社とタイPTT Global Chemical社が折半出資するPTT MCC Biochem Company Limited(本社:タイ王国バンコク市、社長:Somsri Phanichrungruang)が製造する生分解性バイオマスプラスチックで、バイオマス由来であり、自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境への負荷が少ないという特徴を有している。
 コム デ ギャルソンは年間数百万枚のショッピングバッグやラッピング袋を使用しており、これをすべてBioPBS™製に替えていく。
 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI※」実現に向け、今後もBioPBS™をはじめとする生分解性プラスチックや植物由来プラスチックの研究開発・用途展開を加速させ、循環型社会の構築やSDGsの達成に貢献していく。
※三菱ケミカルホールディングスグループのオリジナルコンセプトで、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」を表す。

【赤色蛍光体】三菱ケミカル、中国・特許侵害訴訟の一審で米国Intematix社とほか中国関連2社に勝訴

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 三菱ケミカル(株)は、2019年7月31日に、中国での赤色蛍光体特許侵害訴訟の一審において、被告である米国のIntematix Corporationとその中国関連会社である英特美光电(苏州)有限公司および販売代理店である深圳(セン)格亮光电有限公司(以下、総称して「Intematix社等」)による同社特許の侵害を認める旨の一審判決を得た。
 三菱ケミカルは2015年1月23日付でIntematix社等に対して、国立研究開発法人物質・材料研究機構(以下「NIMS」)と同社とが共有する赤色蛍光体に関する特許(中国特許第ZL201110066517.7号、以下「本特許」※)を侵害しているとして、中国における蛍光体製品の生産および販売等の侵害行為の差止めと損害賠償を求める訴訟を深圳市中級人民法院に提起していた。これに対し、今般、深圳市中級人民法院は当社の主張を認め、Intematix社等による当該侵害行為の差止めと三菱ケミカルへの合計200万元(約3000万円)の損害賠償金の支払いを命じる判決を下した。
 中国はLEDパッケージの最大の生産国であり、赤色蛍光体の主用途である白色LEDパッケージでも最大生産量を誇ることから、その中国において三菱ケミカルの主張を認めてIntematix社等に対して差止めと損害賠償を命じた今回の勝訴判決は、長年積極的に投資、事業展開を行ってきた同社にとって非常に意義深いもの。また、今回の勝訴判決は蛍光体産業のみならず白色LED産業全体においても重要な意味を持ち、今後の両産業の健全な発展と秩序維持に繋がるものとしている。
 なお、三菱ケミカルは、2011年12月20日付でIntematix社とその韓国販売代理店に対し、韓国における本特許の対応特許に基づき特許侵害訴訟を提起し、2015年4月2日付でIntematix社とその代理店の特許侵害が認められ、対象となるIntematix社製蛍光体製品の韓国における輸入および販売等の差止めを命じる判決を得ている。
※本特許は、通称CASN、SCASNまたは1113蛍光体と呼ばれる(Sr,Ca)AlSiN3:Eu、CaAlSiN3:Eu等を基本組成とする窒化物系の赤色蛍光体およびそれを用いたLEDパッケージ等に関する基本的な特許。当該赤色蛍光体は、高い輝度と信頼性から、白色LED用赤色蛍光体として以前より最も広く使用されている。三菱ケミカルは、このCASN、SCASN蛍光体または1113蛍光体に関し、本特許以外にも多数の関連特許を保有している。なお、本特許は、中国のほか、日本、米国、韓国、台湾で登録され、各国で対応特許が成立している。

【顔料】DIC、独BASF社のグローバル事業(BASF Colors and Effects)買収

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 DIC(株)は、2019年8月29日、欧州化学メーカー最大手のドイツBASF社が保有する顔料事業であるBASF Colors and Effects(以下、BCE)に関する株式および資産を買収することで最終合意した。
 本買収により、DICはディスプレイ、化粧品、塗料、プラスチック、インキ、スペシャリティ用途など、世界有数の顔料メーカーとしての地位を強化し、より幅広いソリューションをユーザーに提供する世界トップクラスの顔料ポートフォリオを構築する。
 DICの猪野 薫代表取締役 社長執行役員は次のようにコメントしている。
 「中期経営計画『DIC111』において、2025年のマイルストーン目標(売上高1兆円、営業利益1,000億円、純資産5,000億円)を掲げ、事業の質的転換、新事業の実績化、戦略的M&Aによる非連続的成長による事業ポートフォリオの転換を図っています。今回の買収は、我々の目標を早期に達成する上での重要な戦略です。今後は、グローバルにおける顔料供給のリーディングカンパニーの地位を確固たるものとして、お客様のニーズに応じたより幅広いソリューションを提供していきます」
 BASF SE. Member of the Board of Executive Directors, responsible for the Industrial Solutions segmentのDr.Markus Kamiethは次のようにコメントしている。
 「私たちは、顔料を中核的な戦略事業と位置付ける事業譲渡先を見つけるという目標を達成しました。DICは今後も積極的な成長を追求し、今後数年間で顔料事業をさらに発展させる事業計画があります。私たちは、当該事業がDICの中で最大限に発展できるだろうと確信しています。
 今回の買収により、両社の技術やベストプラクティスの融合が促進され、顔料市場に対して画期的で革新的なソリューションの提供が可能となります。Color&Comfortをブランドスローガンとする当社としては、社会や暮らしに彩りを提供し、お客様へ大きな貢献ができると考えます。両社が保有する顔料の生産拠点数は、世界で30を超え、買収後の顔料ポートフォリオは、エフェクト顔料、無機顔料、有機顔料、スペシャリティ染料、加工顔料に関連する高機能製品のラインナップが拡充され、当該顔料事業の収益向上が見込まれます」
 DICの秋山義成執行役員、カラーマテリアル製品本部長は次のようにコメントしている。
 「BCEは、DIC顔料事業と地域的・製品的な補完性が極めて高く、機能性顔料のニッチ用途への展開・拡大により高成長・高付加価値化を目指す我々にとって、戦略的に理想的なパートナーと言えます。両社の技術力を融合し、顔料事業のリーディングカンパニーとして、今後も新しい価値を創出し市場に提供し続けていきます」
 DICの執行役員で、Sun Chemical Corp.のMyron Petruch President and CEOは次のようにコメントしている。
 「我々は、長年にわたるビジネスパートナーとして、BASFおよびその社員の顔料事業の専門知識や技術と、エンゲージメントを高く評価しています。本買収は、ヨーロッパにおける顔料の生産・供給体制を改善し、お客様のニーズに合わせたソリューションを提供するという私たちのコミットメントを更に向上させます。 加えて、当社グループが今後グローバル市場でより優位性を維持することができると考えます」
 DICグループは、今後も顧客に対する良好なサービスを維持するために、2020年末までに円滑な事業統合を可能にするための準備作業を推進する。

【顔料】DIC、BASFのグローバル事業を買収

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  BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)と、ファインケミカルメーカーであるDIC(株)は、BASFのグローバル顔料事業の買収に関して合意した。購入価格は、一切の売掛金および買掛金がゼロの状態で11億5千万ユーロ。手続きは2020年第4四半期に完了する予定で、関係する競争当局の承認が必要となる。
 BASF取締役であり、インダストリアル・ソリューション事業セグメントの責任者であるDr. マーカス・カミースは次のように述べている。
 「私たちは、顔料を戦略的事業の中核に据えるオーナーを見つけるという目標を達成しました。DICは意欲的な成長計画を掲げ、今後数年でさらに事業展開を図ることを表明しています。私たちは、同社において顔料事業が持つ可能性を十分に発揮できるものと確信しています」
 DICは東京証券取引所に上場している日系企業。1908年に設立され、60カ国以上で事業を展開し、全世界に約2万人の従業員を有している。2018年の売上高は約8,000億円(約68億ユーロ)。同社は、「Color & Comfort」というブランドスローガンのもと、パッケージング&グラフィック、ファンクショナルプロダクツ、カラー&ディスプレイの3つセグメントを展開している。顔料ポートフォリオは、カラー&ディスプレイのセグメントに含まれる。
 DICの代表取締役 社長執行役員の猪野 薫氏は次のように述べている。
 「私たちは、2025年までに売上高約1兆円(約80億ユーロ)を達成することを目標に、明確な成長路線を描いてきました。BASFの顔料ポートフォリオは、この目標をより早く達成するのに重要な、新たな戦略的要素となります。世界有数の顔料サプライヤーとしての地位をさらに高め、お客様により多様なソリューションを提供していきます」
 顔料事業に特化したBASFの子会社であるBASFカラー&エフェクトのシニア・バイス・プレジデント兼マネージング・ディレクター、Dr. アレキサンダー・ハウンシルドは、今回の合意を2016年のBASFカラー&エフェクト発足以来掲げている成長軌道を継続するチャンスだと捉えており、「私たちは、DICは積極的に投資を行い、イノベーションにコミットし、ビジネスの長期的な成功に関心を持つオーナーであると考えています」と述べている。 
 DICの執行役員、および顔料事業を展開するDICのグループ会社であるサンケミカル社(本社:米国 ニュージャージー)のマイロン・ペトルーチ氏は、「BASFの長年のビジネスパートナーとして、顔料事業におけるBASF社員の専門知識および貢献を高く評価しています。両社の事業を統合することにより、DICおよびサンケミカルは世界で最も革新的な顔料サプライヤーになることを目指します」と述べている。
 BASFの顔料事業は、全世界で約2,600人の従業員を有しており、2018年の売上高は約10億ユーロ。

【医薬品包装】創包工学研究会、9月18日に第76回講演会「人工物メトリクスによる医薬品のセキュリティ・偽造防止」開催

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 創包工学研究会は、来る9月18日午前9時30分~午後4時45分まで、フォーラムミカサ エコ(東京都千代田区内神田1-18-12 内神田東誠ビル)7Fホールにおいて、第76回講演会「人工物メトリクスによる医薬品のセキュリティ・偽造防止」を開催する。
 すでに発出されている「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」は、『卸売販売業者及び製造販売業者(以下:卸売販売業者等)の業務を支援し、本ガイドラインを遵守することにより、 流通経路の管理が保証され、その結果、医薬品の完全性が保持されるための手法を定めるものである。さらに、偽造医薬品が正規流通経路へ流入するのを防止するための適切な手法を定めるものである』とされており、医薬品の偽造防止は、かなり重要視されている。従来のホログラム・潜像印刷などの特殊印刷のほか、封のあり方に関して『医薬品の封・密閉性の確保に関するガイドライン』も発出済。一方、人工物メトリクスは、『人工物(典型的には工業的に生産された物体)の個体に固有の物理的特徴(人工物メトリクス要素)を活用する技術(松本)』とされており、偽造は極めて困難で、セキュリティ機能が格段に高いと考えられる。以上のような状況を考慮し、人工物メトリクスによる医薬品のセキュリティと偽造防止に焦点を絞って、講演会を開催する。
 プログラムは次の通り。
09:30~11:30
 講師:松本 勉 氏(横浜国立大学 大学院 環境情報研究院 教授)
 演題:人工物メトリクスの概念と将来の展望
 要旨:近日中に公開

11:30~12:30
 昼休み

12:30~13:30
 講師:石山 塁 氏(日本電気(株)データサイエンス研究所 主席研究員)
 演題:物体指紋認証による個体識別と偽造防止
 要旨:均一に作られる工業製品であっても、微細なレベルで個体毎に異なる物理的特徴が種々存在し、人工物メトリクス要素と呼ばれる。そのうち、物体表面に自然発生している微細な凹凸を、我々は人の指紋になぞらえ「物体指紋」と呼び、これをカメラで画像として撮影し、画像認識技術により個体の識別と認証を行う「物体指紋認証」技術を開発してきた。本技術は、マーキングや識別タグの取り付けが困難な部品や製品のトレーサビリティの実現に有効であり、画像として撮影可能な他の人工物メトリクス要素にも応用可能である。本講演では、物体そのものやパッケージの認識への適用、トレーサビリティや偽造防止などの応用事例について紹介する。

13:30~14:30
 講師:伊藤健介 氏(富士ゼロックス(株)研究技術開発本部 マーキング技術研究所)
 演題:一意識別技術 Yoctrace® の紹介
 要旨:富士ゼロックスは、長年培ってきた画像処理技術を使って物体を一意に識別する技術、Yoctrace®の技術開発を行ってきた。 物体表面に偶然生成されたランダムパターンの画像を利用して一意に物体を識別するYoctrace®は、偽造品対策への応用だけでなく、1つひとつを一意に特定することから、個々の物体を追跡する技術としても利用することが可能な技術である。既に医薬品の一次包装、二次包装、あるいは固形剤への適性も見えてきており、実用化の可能性を探っている。講演では本技術の概要、特徴とその応用先について紹介する。

14:30~14:45
 休憩

14:45~15:45
 講師:牧野智成 氏(シャチハタ(株)新規事業部 部長)
 演題:仮)画像技術を利用した偽造防止技術―その後の進展―
 要旨:近日中に公開

15:45~16:45
 講師:松本 博 氏(凸版印刷(株)パッケージングソリューション事業部 紙器販促)
 演題:人工物メトリクスなどによるセキュリティと偽造防止
 要旨:凸版印刷は、出自である証券印刷から発展させたホログラム・潜像印刷などの特殊印刷技術、ユニークQRやRFIDを活用した偽造防止流通管理システムについて数多くの採用例がある。講演では、その技術や実例を紹介するとともに、独自の人工物メトリクスとして「印刷指紋」の開発と実用化にも取り組んでおり、併せて紹介する。

 参加費は1人27,000円(消費税込み)。

【軟包装印刷】日本印刷学会グラビア研究会、9月12日に第12回研究例会「パッケージにおけるデジタル印刷の最新動向」開催

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 インクジェットやトナーを用いた「デジタル印刷」は目覚ましい進歩をとげている。元々得意である小ロット対応、スキルレス化のみならず、近年は軟包用基材への印刷や高速でのバリアブル印刷等が実現し、デジタル印刷の市場ニーズが高まっている。そこで、(一社)日本印刷学会 技術委員会 グラビア研究会関東グラビア協同組合は、デジタル印刷業界をけん引しているメーカー、有識者を招き、来る9月12日(木)午後1時30分~午後4時55分(受付は午後0時50分から)まで、日本印刷会館2階会議室(東京都中央区新富1-16-8)において、第12回研究例会「パッケージにおけるデジタル印刷の最新動向」を開催する。協賛は全国グラビア製版工業会連合会。
 プログラムは次の通り。
13:30~13:40
 開会挨拶 関東グラビア協同組合理事長 田口 薫 氏

13:40~14:25
 テーマ:「伸びるデジタル印刷の現状と今後の展開」
 講 師:住本技術士事務所 住本充弘 氏
 要 旨:デジタル印刷はパッケージ印刷技術として日本ではまだ普及段階であるが、世界は成熟期に向けて産業構造自体が変わろうとしている。消費者のニーズの多様化、パーソナル化への対応に多様化した小ロット・大量生産体制確立及び納期対応が必要となってきている。その課題解決の1つが、デジタル印刷及びその後の加工工程の確立である。デジタル印刷は、軟包装材料、カートン、ラベル、チューブ、PETボトル、金属缶、ガラス瓶、段ボール用に印刷システムが確立されている。今後の食品包装においてデジタル印刷は単なる印刷だけでなく、トレースや interactive packageにも役立つ。さらに発展するための要因は何かを海外事例を含め説明する。

14:25~15:10
 テーマ:「進化を続けるHPデジタル印刷の特性と応用例、市場動向」
 講 師:(株)日本HP 土田泰弘 氏
 要 旨:軟包装向けデジタル印刷機、HPインディゴの製品特徴、新インキの解説、また印刷前後加工に対するソリューションについて紹介する。また、段ボールプレプリント向けの6色インクジェット機の紹介と、実際にデジタル印刷された軟包装・段ボールなど活用事例も併せて紹介する。

15:10~15:20 休憩

15:20~16:05
 テーマ:「実用化が進む軟包装用インクジェット印刷技術」
 講 師:富士フイルム グローバル グラフィック システムズ(株) 佐藤武彦 氏
 要 旨:軟包装業界では小ロット・多品種・短納期化のソリューションが希求されている。軟包装用フィルムは非浸透性基材である故に紙印刷に比べてインクジェットインクが滲みやすく、密着しにくいという技術課題がある。富士フイルム Jet Press 540WVは、特殊下塗り技術と高速窒素パージ技術を用いたUVインクジェット印刷方式で軟包装用途の画質と膜質を達成した。実用例とともに本方式の特徴について述べる。

16:05~16:50
 テーマ:「プロダクションデジタル・水性インクで軟包装に高速印刷を実現したコダックのコンティ二アステクノロジー」
 講 師:コダック(同) 河原一郎 氏
 要 旨:コダックのコンティ二アスインクジェットテクノロジーは産声を上げてから52年が経過する。これまで開発の軸としてぶれなかったのは水性インクであることとコンティ二アス。現在はプリントヘッド高解像度化とプライマー技術の習得に伴い、軟包装への高速・高品質印刷を実現し、真の生産機として期待されている。Uteco社と共同開発し、今年より本格導入が開始されるSapphire EVO並びにパッケージ分野におけるバリアブル印刷の事例を中心に、更には新開発の次世代プリントヘッド『Ultrastream』の軟包装分野での可能性について提言する。

16:50~16:55 閉会の挨拶

 定員は65名。ただし、定員になり次第締切る。
 締切は2019年9月5日。
 参加費は、日本印刷学会個人会員・賛助会員、協賛団体会員、関東グラビア協同組合組合員、全国グラビア製版工業会連合会会員が6000円、その他8000円。参加費は当日会場受付にて支払うこと。
 申込は、(一社)日本印刷学会 技術委員会 グラビア研究会または関東グラビア協同組合へ。

 

【100%リサイクルPETボトル】伊藤園、「お~いお茶」の電子レンジ対応345mlPETボトルを切り替え

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2019 08 30 itoen (株)伊藤園は、茶系飲料No.1ブランド(2)「お~いお茶」の電子レンジ対応345mlPETボトルをすべて『100%リサイクルPETボトル』に切り替え、9月2日(月)から販売開始する。
 同社は世界の持続可能な社会・環境目標を踏まえた「伊藤園グループ環境方針」の下、プラスチック使用量削減に寄与する取り組みとして、これまでPETボトルの軽量化に注力してきた。また今年6月には「お~いお茶」ブランドで使用するすべてのPETボトルを2030年をめどに100%リサイクルPETボトルに切り替えるという目標を掲げ、一部製品で切り替えを開始した。そしてこの度、目標達成に向けたさらなる取り組みとして「お~いお茶」の電子レンジ対応345mlPETボトルをすべて『100%リサイクルPETボトル』に切り替える。
 また、切り替えに合わせて「抹茶入り お~いお茶」がラインアップに加わる。
 同社は、2000年に業界に先駆けてホット対応PETボトル製品を発売したほか、2015年に電子レンジ対応PETボトルを発売し、「ホットPETボトル市場」を牽引してきた。そのこだわりは容器だけではなく、ホット向けに厳選した原料茶葉と当社独自技術により、温かい状態でも冷めた状態でも香り高い味わいに仕上げているため、ゆっくり時間をかけて飲用いただいても、電子レンジで再加温していただいても最後までおいしく味わえる。

1)使用済みPETボトルをリサイクルした再生樹脂素材から製造するPETボトル
2)伊藤園調べ(2018年1月~12月)


【金属性プラスチック】世界初、半導体プラスチック材料でイオン交換現象を発見

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 東京大学大学院新領域創成科学研究科(物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 超分子グループ 博士研究員兼務)の山下侑特任研究員と、同大大学院新領域創成科学研究科(産業技術総合研究所 産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ客員研究員兼務、物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 MANA主任研究者(クロスアポイントメント))の竹谷純一教授、同大大学院新領域創成科学研究科(JSTさきがけ研究員兼務、産業技術総合研究所 産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ客員研究員兼務)の渡邉峻一郎特任准教授らは、世界で初めてイオン交換(注1)が半導体プラスチック(高分子半導体)でも可能であることを明らかにした。イオン交換は、古くから水の精製、タンパク質の分離精製、工業用排水処理などに広く応用されており、我々の生活に欠かすことのできない化学現象(図1a)。本研究では、この極めて普遍的かつ化学工学の単位操作であるイオン交換を用いて、半導体プラスチックの電子状態を制御する革新的な原理を明らかにした(図1b)。また、本指導原理を利用して、半導体プラスチックの電子状態を精密に制御し、金属的な性質を示すプラスチックの実現に成功した。固体中のイオンと電子を協奏的に制御することで、イオンと電子の両方の特長を活かした「固体イオントロニクスデバイス」(注2)の実現が期待される。
 本研究成果は2019年8月28日付けで、英国科学雑誌「Nature」にオンライン掲載された。
 本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(さきがけ)研究領域「超空間制御と革新的機能創成」(研究総括:黒田一幸)研究課題「分子インプランテーションによる超分子エレクトロニクスの創成」(研究者:渡邉峻一郎東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻特任准教授)の一環として行われた。
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発表内容
背景
 半導体中の電子の数やエネルギーは、半導体の結晶の中に少量の不純物(ドーパント)を添加することで制御することができる。この不純物ドーピングは、現代のシリコンを中心としたエレクトロニクスデバイスを支える最も重要な半導体技術。プラスチックやゴムに代表される高分子においても半導体的な性質が発見されて以来、不純物ドーピングは半導体プラスチックにも適用されており、電気が流れるプラスチックである導電性高分子(注3)は様々な電極材料や機能性コーティング剤(注4)として産業応用も拡大されつつある。半導体シリコンのドーパントはリンやホウ素などの元素が用いられるが、半導体プラスチックのドーピングには酸化還元力(注5)を有する分子が用いられてきた。半導体プラスチックは添加されたドーパント分子と電子のやりとり(酸化還元反応(注5))をすることで、電子の数を劇的に変化させることができ、導電性高分子となる。しかし、強い酸化還元能力を持つドーパント分子は、大気中の水や酸素と反応し、ドーパントとしての機能が簡単に失われてしまう。この酸化還元反応の制約を乗り越えることは過去半世紀に渡るドーパント材料開発においても達成されず、安定に多くの電子をやりとりする手法の実現が望まれていた。
 「半導体プラスチックとドーパント分子の間の酸化還元反応を全く別の現象で制御することはできないのか」。研究グループではこの問いの下に、従来では半導体プラスチックとドーパント分子の2分子系で行われていたドーピング手法を徹底的に再検証した。上記の2分子系に新たにイオンを添加した結果、2分子系では逃れることのできなかった制約が解消され、従来よりも圧倒的に高い伝導性を有する導電性高分子の開発に成功した。この多分子系では、イオン化したドーパント分子が新たに添加されたイオンと瞬時に交換することが実験的に確かめられ、驚くべきことに適切なイオンを選定することで、イオン変換効率はほぼ100%となることも分かった。

手法と成果
(1)イオン交換を用いた超高効率ドーピング
 イオン交換を用いた新規なドーピング手法を検証するために、一般的な半導体プラスチックであるpoly[2,5-bis(3-tetradecylthiophen-2-yl)thieno[3,2-b]thiophene] (PBTTT)への不純物ドーピングをモデルケースとした(図2)。PBTTTは高分子の分子面が基板に立ったラメラ構造を有し、このシート構造が積層した典型的な半導体プラスチックの中でも典型的な集合体構造を形成している。このPBTTTを有機溶媒に溶かしたインクを用いて、スピンコート法(高速回転による塗布)などの簡便な成膜手法から薄膜を作製した。従来では、このPBTTTの固体薄膜をドーパント分子(一例として2,3,5,6-tetrafluoro-7,7,8,8-tetracyanoquinodimethane : F4TCNQ)の蒸気や溶液にさらすことで不純物ドーピングを行っていた。このような通常のドーピングでは負に帯電したドーパント陰イオン(F4TCNQ•-)が半導体プラスチック薄膜に取り込まれ、PBTTT薄膜の中にはホールが生成される(PBTTT•+)。今回、このF4TCNQ•-ドーパントをPBTTT固体薄膜中で別の陰イオンに交換するイオン交換ドーピング法を開発した。イオン交換ドーピングではF4TCNQをイオン液体1-Ethyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide (EMIM-TFSI)に溶解したものをドーピング溶液として用いる。様々な分光計測の結果、イオン交換後のPBTTT固体薄膜中には、F4TCNQ•-ドーパントが存在せず、ほぼ100%の変換効率で、イオン液体中のTFSI-イオンに変換されていることが明らかとなった。このような高い効率で半導体固体中のイオン交換が実現した前例はなかった。
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(2)イオン交換ドーピングによる電子状態の制御(図2)
 本研究で提案したイオン交換ドーピングはその変換効率が高いだけでなく、イオン交換を駆動力として、ドーピング量が増大することも明らかとなった。自発的なイオン交換のメカニズムを考察するために、様々なイオン液体や塩(陽イオンと陰イオンから構成される化合物)を用いてイオン交換効率を検証した。その結果、陰イオンの熱拡散ではなく、半導体プラスチックとドーパントの自由エネルギーが最小になるようにイオン交換ドーピングが進行していることが分かった。つまり、半導体プラスチックと相性の良い添加イオンを用いると、たくさんの半導体プラスチック-添加イオンのペアを作りドーピングが進行することになる。本研究では、先端分光計測や理論計算を組み合わせて、最適なペアのモデルを明らかにし(図3)、その結果、従来の3倍以上のドーピング量を実現した。これは、半導体プラスチックにおけるドーピング量の理論限界値に迫る値。
 このように高いドーピング量を有する半導体は、金属のような電気抵抗の温度依存性を示すことも分かった。従来の電気を流す導電性高分子における電子は、ランダムに絡み合った高分子の鎖に強く束縛されていた。この結果、電子は一定の確率で隣の鎖にジャンプする「ホッピング伝導」(注6)が支配的であるとされていた。本研究では、イオン交換によって導入されたドーパントと高分子の鎖が規則正しく配列することで、電子が高分子の鎖からの束縛を離れ、波のように振る舞うことも分かった。これは一般的な金属で見られる電子状態に他ならず、半導体プラスチックにおいても金属状態が実現したと言える(図4)。
 また、化学的に安定な閉殻陰イオン(注7)への交換によってドープしたPBTTT薄膜の熱耐久性を著しく向上できることも明らかにした。従来のドーピング手法では、160℃の温度で10分間熱処理をすると、伝導度が熱処理前の0.1%以下へ低下してしまうのに対し、閉殻陰イオンへの交換を行うと伝導度の著しい低下は生じなかった。
 以上のように、イオン交換ドーピング法は、イオンの相互作用を用いて酸化還元反応の制約を完全に解消することができるだけでなく、これまで達成できなかった非常に高いドーピング量と熱安定性を両立する革新的な手法であると言える。
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今後の展望
 今回、研究グループが発見した手法は大面積化が容易な室温付近の溶液プロセスであり、半導体プラスチックのドーピング量・結晶性・熱耐久性・伝導特性を著しく向上させるもの。多彩なイオン性化合物の選択により、今後さらに伝導特性や物理化学的特性の制御が可能となる。エレクトロニクスの基盤となる電子の機能性は、電子の持つ高い集積性・早い応答性や優れた物量変換(光電変換など)に支えられている。一方で、イオンは低い電圧で大量の電荷を駆動・蓄積でき、他の化学種との高い反応性を有する特徴を持つ。電子もイオンも電荷を運ぶ媒体であるため、両方の特徴を活かしたイオントロニクスの研究が盛んに行われている。電子とイオンの協奏的な振る舞いとして、例えば生体内では、様々な電子移動によって生化学反応が生じ、その結果イオンの移動や蓄積が高度に制御されている。イオントロニクス分野ではこのような生体反応を模倣するような超高効率のバイオデバイスや、その生化学反応を超高感度で検出可能なセンサーへの応用研究が進んでいる。本研究で実現した金属性プラスチック内のイオン交換反応は、このようなイオントロニクスデバイスの実現を大きく前進させると期待される。

発表者
 山下 侑(東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 特任研究員/物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI-MANA)超分子グループ博士研究員兼務)
 竹谷純一(東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 教授/マテリアルイノベーション研究センター(MIRC)特任教授兼務/産業技術総合研究所 産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ客員研究員兼務/物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI-MANA)MANA主任研究者(クロスアポイントメント))
 渡邉峻一郎(東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻特任准教授/JSTさきがけ研究員兼務/産業技術総合研究所 産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ客員研究員兼務)

発表雑誌
 雑誌名:「Nature」(8月28日付けオンライン版)
 論文タイトル: Efficient molecular doping of polymeric semiconductors driven by anion exchange
 著者:Yu Yamashita, Junto Tsurumi, Masahiro Ohno, Ryo Fujimoto, Shohei Kumagai, Tadanori Kurosawa, Toshihiro Okamoto, Jun Takeya, and Shun Watanabe
 DOI番号:10.1038/s41586-019-1504-9
 アブストラクトURL:https://www.nature.com/articles/s41586-019-1504-9
用語解説
(注1)イオン交換
 物質があるイオンを取り込み、自らのもつ別のイオンを放出することで、イオン種の入れ替えを行う現象。正のイオン(陽イオン)・負のイオン(陰イオン)の交換をそれぞれ陽イオン交換・陰イオン交換と呼び、イオン交換を示す物質をイオン交換体と呼ぶ。イオン交換は、水の精製・タンパク質の分離精製・工業用排水処理などに広く応用されている化学現象。
 図1aには水の精製過程における陰イオン交換を示した。水に含まれる塩化物イオン(Cl-)を陰イオン交換樹脂に浸透させることで、塩化物イオンを水酸化物イオン(OH-)に交換することができる。
(注2)固体イオントロニクスデバイス
 イオンと電子はともに電荷を運ぶ担体であり、この両者の特長を活かしたデバイスを指す。イオニクスとエレクトロニクスを組み合わせた造語。特に生体内の酵素反応などは、イオンと電子が共存した多段階反応であり、これらを模倣するようなデバイス(バイオミメティックデバイス:例えば人工筋肉など)への応用が期待される。
(注3)導電性高分子
 電気を流すパイ共役骨格を有する高分子化合物の総称。1970年代に白川英樹(筑波大名誉教授)によって、導電性高分子であるポリアセチレンが初めて発見され、2000年ノーベル化学賞を受賞している。
(注4)機能性コーティング剤
 導電性高分子は電極材料に応用されるだけでなく、帯電防止剤(静電気除去剤)や電磁波シールド剤、防錆剤などの様々な機能性コーティング剤として使用されている。2017年には毎年4,500トン以上が製造され、2023年には4,000億円程度の市場規模が予想されている。
(注5)酸化還元力、酸化還元反応
 化学反応のうち、原子やイオンの間で電子の受け渡しがある反応。酸化される物質は電子を放出し、還元される物質は電子を受け取るが、この酸化反応と還元反応は必ず並行して存在する。酸化還元反応の基本となる電子移動反応は、Marcus理論として整備されている(1992年にノーベル化学賞)。
(注6)ホッピング伝導
 構造が不規則な固体の中では、電子は局在状態にあり、この局在準位間を熱エネルギーの助けを借りて飛び移るように伝導する。非結晶性の導電性高分子はホッピング伝導が支配的であるが、結晶性の高分子中では電子は周期的な結晶ポテンシャル下で波として振る舞い、金属のような伝導機構が実現する。
(注7)閉殻陰イオン
 閉殻構造とは、電子殻に電子を最大限収容している構造を指す。閉殻構造を有する化学種は極めて安定である(例えば希ガス元素)。閉殻陰イオンとは、負電荷を持つ閉殻化学種である。

【医薬品包装】創包工学研究会、11月22日に第25回セミナー「無菌医薬品包装の完全性評価及び漏れ試験法」開催

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 創包工学研究会は来る11月22日(金)12:30~17:00まで、フォーラムミカサ エコ 7Fホール(東京都千代田区内神田1-18-12 内神田東誠ビル)において、第25回セミナー「無菌医薬品包装の完全性評価及び漏れ試験法」を開催する。
 包装の完全性は、包装の最も基本的な機能であり、リークが発生するようでは包装の基本的特性を満足しているとは言えない。従来、わが国では、液中に検体を沈めた状態で減圧にして漏れをチェックする方法が多用されてきたが、“原始的な方法で高度な品質保証をしようとするもの”と揶揄されてきた。かねて適正な試験法の必要性が指摘されていたが、ここ数年の検討によってやっと成案が得られ、去る7月にパブリックコメントが募集されるに至った。完全とは言えない状況であるとの意見もあるが、大きな進歩であることは疑いのないところ。そこで、創包工学研究会では、完全性と漏れの重要性に鑑み、緊急セミナーを企画した。
 プログラムは次の通り。
(1)12:45~13:45
 演題:漏れ試験法設定の基本的考え方とその概要
 講師:伊豆津 健一 氏(薬学博士、国立医薬品食品衛生研究所 薬品部部長)
(2)13:45~14:45
 演題:気体の流れの理論による漏れ孔径と漏れ量の関係
 講師:吉田 肇 氏(工学博士、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 工学計測標準研究部門 圧力真空標準研究グループ)
(3)15:00~16:00
 演題:医薬品包装の欠陥を通過できる微粒子のサイズについて
 講師:柘植英哉 氏(薬学博士、製剤機械技術学会 事務局長(前 PMDA 規格基準部))
(4)16:00~17:00
 演題:医薬品包装の完全性評価と最大許容漏れ量の設定
 講師:樋口泰彦 氏((株)フクダ取締役 医薬品等包装向けプロジェクト統括)
 参加費は1人19,800円(税込)。

【機密文書】機密情報抹消事業者協会、処理会社を対象とした認定制度導入

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 (一社)機密情報抹消事業者協会(KJMJK)は、2019年7月1日に機密文書処理会社を対象とした認定制度を導入した。機密文書(秘密情報)には、個人情報、営業情報、法定保存文書の3つがあるが、これまでは事業所内での情報や文書の適正な取扱いに関する認証はあったが、機密文書の廃棄段階に特化した第三者認定(認証)はなかった。KJMJKの認定制度は、紙媒体に記録された機密情報の抹消と処理をアウトソーシング(外部委託)する際、機密文書処理会社が遵守すべき基準(適合証明検査基準)を設定し、その基準を満たしている事業所を認定する制度。
 この認定を取得するためには、正会員としてKJMJKに入会する必要がある。第三者機関として検査は(一財)日本品質保証機構(JQA)が行う。すべての適合検査基準に合格した機密抹消事業所に「適合証」と「認定証」が交付される。よく「信頼できる機密文書処理会社」という言葉を耳にするが、内部監査や自己審査ではなく第三者機関が検査基準に基づいて客観的に検査し、それに合格した事業者が「信頼できる機密文書処理会社」に最も近い事業者と言える。

機密文書処理事業の区分
 KJMJKの認定は、機密文書処理事業を行う事業所を認定する制度。認定対象となる事業区分は、収集運搬、移動式裁断、定置式破砕、直接溶解の4区分。収集運搬は、排出事業所から機密文書を回収し、自社または他社の機密文書処理施設に搬入する場合が該当する。収集運搬には、「即日搬入」「積置き車両保管」「積替え保管」の3工程があるす。「積置き車両保管」は、機密文書を車両外に出すことなく積込んだままの車両を一時保管する工程のこと。「積替え保管」は、機密文書の荷下ろし、積替え、選別、一時保管、荷積み作業を行う工程。収集運搬を行う事業所は、「即日搬入」に限定することもできるし、3工程の組み合わせでも適合証明検査の申請をすることができる。

適合証明検査基準
 適合証明検査基準は、すべての事業区分に該当する共通項目と事業区分ごとの項目についてセキュリティ基準とリサイクル基準で構成される。セキュリティ基準は、組織的、人的、技術的、物理的の4つの安全管理措置に区分される。適合証明検査基準は、KJMJKのホームページ「認定制度」のページに掲載されている。

認定事業所第1号
 (株)石川マテリアルのシュレッドセンターが8月14日に実施された適合証明検査に合格し、KJMJKの認定事業所第1号となった。同センターには、8月20日付で「適合証」および「認定証」が交付された。

KJMJKについて
 KJMJKは、2014年7月1日に任意団体として発足し、2015年7月29日に一般社団法人に移行した。2019年6月18日に団体名を(一社)機密情報抹消事業協議会から(一社)機密情報抹消事業者協会に変更し現在に至っている。セキュリティおよびリサイクルに配慮した機密情報抹消事業を奨励し、推進することにより、機密情報抹消市場の健全な発展に寄与することを目的として活動している。

【バイオマスプラスチック】DNP、植物由来原料を50%使用したラミネートチューブを開発

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 大日本印刷(株)(DNP)は、植物由来の原料を使用し、チューブの胴体の薄層化によりプラスチック使用量を削減することで、環境に配慮したラミネートチューブを開発した。 
2019 09 02dic

新開発のラミネートチューブ

 海洋プラスチックごみや地球温暖化といった社会課題に対応するため、環境省は2019年5月に策定した「プラスチック資源循環戦略」の中で、プラスチックの使用量削減やリサイクル推進とともに、植物などの再生可能な資源を用いたバイオマスプラスチックの利用推進を掲げている。
 DNPは、「持続可能な原料調達」「CO2の削減」「資源の循環」という3つの価値を通じて、循環型社会の実現および環境負荷の低減につなげるため、環境配慮パッケージシリーズ「GREEN PACKAGING(*1)」を展開している。
 この「GREEN PACKAGING」の主要製品のひとつが、サトウキビから砂糖を精製した際の副産物(廃糖蜜)等の植物由来原料を一部に使用したバイオマスプラスチック製品「DNP植物由来包材 バイオマテック」シリーズです。植物は生育の過程で、光合成によってCO2を空気中から取り込んでいるため、パッケージ使用後の焼却時に出るCO2と相殺することが可能で、製品ライフサイクル全体でCO2の削減に貢献する。DNPは、2010年より開発に着手し、現在これらは食品や日用品などの包装材で広く使用されている。
 今回DNPは現在の社会課題に対応して、植物由来原料を50%使用したラミネートチューブを開発した。 
 DNPのラミネートチューブは、材料開発から原反製造、チュービング加工まで一貫生産が可能で、歯磨き製品、食品、化粧品など様々な分野において採用されている。
 今回開発したラミネートチューブは、チューブ胴体の全ての層と、肩にあたる部分および注出口に植物由来原料を使用し、全体のうち約50%を植物由来原料で代替した。(キャップを除く)
 さらに、使用中の自立性や使いやすさを維持しながら、胴体の薄層化を実現するため、使用する材料の設計を工夫した。これにより、従来製品に比べてプラスチック使用量を大幅に削減し、植物由来原料の使用との相乗効果により、従来の石油由来原料を使用した製品に比べてCO2排出量を約35%削減した(*2)。
 この開発製品は、水蒸気や酸素を遮断するためにアルミ蒸着フィルムを使用していますが、「DNP透明蒸着フィルムIB-FILM」に変更することも可能。 
 DNPは、今回開発したラミネートチューブをトイレタリー・化粧品や食品メーカーに販売し、2020年度に年間20億円の売上を目指す。
*1 DNPの「GREEN PACKAGING」の詳細  https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/1190186_1567.html
*2 この比較は、キャップを除く、チューブ径45mmφ、胴部高さ160mm製品の場合。
バイオマテックおよびIB-FILM(アイビーフィルム)は、大日本印刷株式会社の登録商標。

【アグリビジネス】住友化学、インドにおけるグループ会社の合併完了

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 住友化学グループのエクセルクロップケア社(以下、「旧ECC社」)と住友化学インド社(以下、「旧住化インド社」)は、規制当局による承認を経て2019年8月31日をもって合併し、9月1日より「住友化学インド社」が営業を開始した。「住友化学インド社」は、関連規則に基づく手続きが完了した後、インド国立証券取引所およびムンバイ証券取引所に新規上場する予定。
 住友化学は、世界第5位*の農薬市場であり今後も高い成長率が見込まれるインドを、農薬事業の重要地域と捉えている。今回の合併により、「住友化学インド社」は、インドの農薬市場において第2位*の売上規模となる。今後、旧ECC社と旧住化インド社が持つ豊富なポートフォリオや販売網を相互補完的に活用し、より一層の拡販を実現するとともに、経営資源をさらに集中して効率化させることで競争力を強化し、インドの農薬市場におけるリーディングカンパニーを目指す。
*いずれも2018年のデータに基づく
<「住友化学インド社」の概要>
会社名 :Sumitomo Chemical India Limited
本  社:インド共和国マハラシュトラ州ムンバイ
設  立:2000年4月(存続会社である旧住化インド社の設立年月)
社  長:Chetan Shah
事業内容:インドにおける農薬・生活環境関連製品・飼料添加物の開発・販売、農薬の製造

【フィルム型光センサー】東芝、有機半導体を用いたフィルム型光センサーによる放射線のパルス検出に世界で初めて成功

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 東芝(株)は、人の検知、体温の測定、物体までの距離の測定、放射線の計測などさまざまな用途に使用される光センサーにおいて、柔軟・軽量といった特徴をもち大面積化が可能な有機半導体を用いた、高感度のフィルム型光センサーを開発した。従来、有機半導体では実現が難しかった微弱な光の検出を可能とし、放射線によって微弱に発光するシンチレータと組み合わせることで、有機半導体を用いたフィルム型光センサーとしては世界で初めて、放射線のパルス検出(注1)に成功した(図1)。薄型・軽量を実現する本センサーはIoT・ウェアラブルセンサーなどへの応用を可能にするとともに、大面積化により一度に広い範囲の計測を実現し、今後、工業用、医療用など多方面への活用が期待できる。
 同社は本技術の詳細を、9月3日から4日に岩手大学で開催される電気学会 基礎・材料・共通部門大会にて発表する。

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 光センサーは、光を電気信号に変換し、その電流を測ることで、光の有無や強さを判別する。カメラのイメージセンサーを始め、人体から発する赤外線を検出して人を検知したり、体温を測ることに使用される他、レーザーを対象物に照射させ反射光を測定することで物体の距離を計測するなど、様々な用途で使用されている。また、シンチレータを組み合わせることで放射線を計測することもできる。近年IoTの普及により、IoT・ウェアラブル端末への光センサーの搭載の拡大が見込まれる中、従来のシリコンなどの無機半導体を利用した光センサーと比較して薄型・小型・大面積化が期待できる有機半導体薄膜を用いた光センサー(有機光センサー)の開発が注目されている。
 一方、有機光センサーは、無機半導体を用いた光センサーと比べて、光の検知特性が十分ではなく、その応用範囲に制限があることが課題となっている。例えば、シンチレータは放射線を受けて微弱な光しか発しないため、有機光センサーでパルス検知をすることは困難であった。また、有機半導体は無機半導体と比較して電荷の輸送特性が低く、光検出時に半導体層内で生成した少数の電荷を電流として検出することが困難であるため、パルス検出が難しいという課題があった。

 そこで同社は、微弱な光も検出できる高感度なフィルム型有機光センサーを開発した。一個の放射線の入射に伴うシンチレータからの微弱な光も検知することができる、有機半導体を用いたフィルム型の光センサーとして世界で初めて、放射線のパルス検出に成功した。
 開発したフィルム型光センサーは、透明電極、バッファ層、有機半導体層、金属電極の積層構造になっており、有機物を主成分としたフィルム状の材料で封止をしている。放射線の検出にはこの素子にシンチレータを取り付ける。まず、シンチレータから放出された光が透明電極とバッファ層を透過し、その光を有機半導体層で吸収し、電荷を生成する。その電荷を、両電極から電流としてパルス検出する(図2)。

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微弱な光を検出するためには、有機半導体層で生成した電荷をロスなく取り出し、電流信号の強度を高めることに加え、測定時の電流のノイズを低減することが必要である。今回同社は、電荷の取り出し効率の向上のため有機半導体層の材料構成の最適化および成膜プロセスの改善を行い、光検出効率80%以上を達成した。また、ノイズ低減のため、有機半導体層の膜厚等、素子構造の改良を行った(有機半導体層厚5μm)。同社は、今回開発したフィルム型有機光センサーを用いて、放射線の一種であるベータ線を放出する放射性物質であるストロンチウム90の検出試験を行い、ベータ線のパルス検出を確認した。有機半導体層の材料や構造を調整し、最適な種類のシンチレータと組み合わせることで、ガンマ線、エックス線等、ベータ線以外の放射線検出も可能。

 また、素子部のフィルム化により、装置を小型・軽量化・曲面状化することができ、様々な形状の機器へ搭載することが可能となり、体に貼り付けて用いる医療用の放射線検出器等の応用も考えられる。さらに、大面積構造を作りやすい特徴を活かし、一度に広い面積の光や放射線の分布を測定するといった応用が期待できる。

 同社は今後、光計測から各種放射線の計測への幅広い実用化に向けて、さらなる本センサーの高感度化を目指す。そして、このフィルム型センサーの特徴を活かし、工業、医療、インフラ計測、安全管理等様々な分野への活用を目指す。

 

【自動車向け複合成形材料事業】帝人、Benet Automotive社の買収完了

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 帝人(株)は、2019年7月に発表したチェコのBenet Automotive s.r.o.(ベネット・オートモーティブ社)の買収について、株式譲渡に関する諸手続きを完了し、8月30日(欧州時間)に完全子会社とした。
 帝人は自動車向け複合成形材料事業において欧州展開を進めているが、ベネット・オートモーティブ社がこれまで培ってきた技術や販売実績を活用することにより、欧州の自動車メーカーの部品供給パートナーとして、さらに展開を強化していく。
 また、かねてより強力に推進しているマルチマテリアル戦略においても、ベネット・オートモーティブ社の知見を加え、さらに帝人およびContinental Structural Plastics社(2017年に買収した北米最大の自動車向け複合材料部品メーカー、以下「CSP社」)、Inapal Plasticos 社(2018年に買収したポルトガルの自動車向け複合材料部品メーカー、以下「イナパル社」)と、素材、成形技術、人財などを融合することにより、軽量性や強度のみならず、デザイン、生産性、コスト効率など幅広い顧客ニーズに応えるソリューション提供力を拡充していく。
 こうした取り組みを重ねることにより、帝人は2030年近傍に、自動車向け複合材料製品事業として2,000百万米ドル規模の売上を目指す。
 帝人の中石昭夫複合成形材料事業本部長は次のようにコメントしている。
 「このたびベネット・オートモーティブ社が帝人グループの一員となることで、欧州における自動車向け複合成形材料事業のさらなる強化が可能になりました。当社およびCSP社、イナパル社がこれまで北米、欧州、アジアの3極で培ってきた、軽くて強い高機能素材やデザイン、設計能力を駆使したマルチマテリアルでの提案力に、ベネット・オートモーティブ社の技術と販売チャネルを加え、Tier1サプライヤーとして自動車向け複合材料事業を一層拡大していきます」
 ベネット・オートモーティブ社のKamil Suchan CEOは次のようにコメントしている。
 「当社はこれから、機能性に優れる自動車向け複合成形材料市場におけるグローバルプレイヤーの1社である帝人グループの一員となります。これにより、これまで当社が培ってきた技術をより広い市場に展開していくために、大きな一歩を踏み出せることを心より楽しみにしています」


【GaN-HEMT】三菱電機、AISTと共同で世界初の単結晶ダイヤモンド放熱基板を用いたマルチセル構造タイプ開発

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 三菱電機(株)は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST)集積マイクロシステム研究センターとの共同研究により、高い熱伝導率を持つ単結晶ダイヤモンドを放熱基板に用いたマルチセル構造※1のGaN-HEMT※2を世界で初めて※3開発した。移動体通信基地局や衛星通信システムに搭載される高周波電力増幅器の電力効率の向上により、低消費電力化に貢献する。なお、本開発成果の詳細は、SSDM※4 2019(9月2日~5日、於:名古屋大学)で9月4日に発表する。
※1 複数のトランジスタセルを並列に配置する構造
※2 Gallium Nitride - High Electron Mobility Transistor:窒化ガリウムを用いた高電子移動度トランジスタ
※3 2019年9月2日現在、三菱電機調べ
※4 International Conference on Solid State Devices and Materials
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開発の特長
1.世界で初めて、マルチセル構造のGaN-HEMTを単結晶ダイヤモンド基板へ直接接合
 世界で初めて、トランジスタを並列に8セル組み合わせたマルチセル構造のGaN-HEMT層を、産総研が開発したナノ表面改質層を介した常温接合法により、熱伝導率の高い単結晶ダイヤモンド(熱伝導率1900W/m・K)の放熱基板に直接接合。
2.GaN-HEMTの出力密度・電力効率の向上により、省エネに貢献
 単結晶ダイヤモンド基板により放熱性を高め、GaN-HEMTの上昇温度を211.1℃から35.7℃に低減※5し、トランジスタ当たりの出力は2.8W/mmから3.1W/mmへ約10%増加※5、電力効率は55.6%から65.2%に向上※5し、省エネに貢献
※5 シリコン基板を用いた同構造GaN-HEMTとの比較において

【5G】京セラと宇部興産、通信基地局用セラミックフィルタ事業拡大で合弁会社設立

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 京セラ(株)と宇部興産(株)は、このたび、第5世代(5G)通信基地局用のセラミックフィルタ事業の拡大を目的とする合弁会社設立に合意し、合弁契約を締結した。
 同契約の締結により、2019年12月を目途に、宇部興産の100%子会社である「ユー・イー・エル株式会社」(本社:山口県美祢市、社長:池内博通)の株式51%を京セラが取得し、「京セラ宇部RFテック株式会社」として、新体制で事業を開始する予定。
 大容量・低遅延・多数接続を可能とする5G移動通信システムには、比較的広範囲をカバーするマクロセル基地局とスポット的に超大容量のデータ通信に対応するスモールセル基地局があり、今後普及が進む見通し。これらの基地局は、多数のアンテナを配置するとともに、狭小な場所にも設置できるように部品の小型化が必要不可欠となっている。
 ユー・イー・エルの主力製品であるセラミックフィルタは、基地局においてアンテナと対になる重要部品であり、5Gに対応した特定の周波数を通過または遮断させる機能を備えている。セラミックスを用いることで、より高出力かつ小型化が可能なことから、特にマクロセル基地局において、金属製フィルタの代替製品としての期待が高まっている。
 合弁会社では、ユー・イー・エルが培ってきたフィルタの設計技術力と、京セラの生産技術力やグローバルな営業力を融合させることで5G通信基地局用のセラミックフィルタ事業の拡大を目指す。
<合弁会社の概要>
会社名:京セラ宇部RFテック(株)
代表者:西村浩介代表取締役社長
営業開始:2019年12月(予定)
資本比率:京セラ(株)51%、宇部興産(株)49%
本社所在地:滋賀県野洲市市三宅800(京セラ 滋賀野洲工場敷地内)
生産子会社:京セラ宇部(無錫)通信科技有限公司
      中国江蘇省無錫市高新技術開発区52号地塊B27廠房
従業員数(予定):京セラ宇部RFテック12名、京セラ宇部(無錫)通信科技有限公司154名

【生分解性ポリマー】カネカ、PHBHが欧州連合の全食品接触用途で使用可能に

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 (株)カネカの「カネカ生分解性ポリマーPHBH(R)」(以下、PHBH(R))は、欧州委員会(*1)「欧州食品接触材料及び製品に関する規則」のポジティブリスト(*2)に 1 月掲載された後、欧州委員会の審査、欧州議会(*3)、EU 理事会(*4)の立法手続きを経て、8 月 28 日より施行となった。これにより、今後欧州連合全域で、フルーツ・ベジタブル袋などのドライフード用途に加え、ストローやコップ、カトラリー(*5)など全食品接触用途で使用可能となった。

 日本では、今年 5 月にポリオレフィン等衛生協議会(*6)の食品用器具・容器包装のポジティブリストに掲載された。また米国では、昨年 3 月に米国食品医薬品局(*7)(FDA)の食品接触物質に登録されている。今後、日本、米国、欧州での事業展開をさらに加速させる。

 PHBH(R)は、同社が開発した 100%植物由来のバイオポリマーであり、幅広い環境下で優れた生分解性を有する。特に近年では、マイクロプラスチックによる海洋汚染が世界的な社会問題となっており、生態系への影響が懸念されているが、PHBH(R)は海水中で生分解する認証「OK Biodegradable MARINE(*8)」を取得しており、海洋汚染低減に大いに貢献すると期待されている。

*1.欧州連合の政策執行機関で、法案の提出や決定事項の実施など、欧州連合の運営を担う。

*2.食品接触材料として使用することが許された化合物を列挙した表。

*3.直接選挙で選出される欧州連合の立法機関であり、EU 理事会とともに両院制の立法府である。

【ヘリウムガス】大陽日酸、2020年1月1日出荷分より出荷価格値上げ

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 大陽日酸(株)は、2020年1月1日出荷分よりヘリウムガスの出荷価格を値上げする。
 ヘリウムガスは海外の天然ガスから精製、生産される希少資源。世界的に供給の多くを米国、カタールに依存しており、日本においては全量輸入している。
 世界のヘリウム生産量は、2017年以降、中東での政情不安による輸送問題、生産基地の老朽化による突発トラブル、米国土地管理局の段階的な減産計画により減少している。一方、需要面では中国、インド、新興国での半導体や光ファイバーの製造、医療用のMRI、宇宙産業の発展による急激な需要増加があり、今後数年間は、需給バランスが崩れた状況が継続する見込み。
 このような状況下、同社では、安定供給体制を確保するために、調達先の複数化、新規ソースの開拓など、あらゆる手立てを講じている。これらの取組みに伴う大幅なコスト上昇は、自助努力の限界を超えており、価格改定を決定した。
 対象製品:ヘリウム製品 (シリンダー、トレーラー、液体、特殊ガス)
 改 定 幅:現行価格20%以上+輸送コスト(※)
      ※納入条件に応じ輸送コスト上昇分の改定

【芸術・文化活動などの支援】帝人グループ、アムステルダム市立近代美術館 「カラフル・ジャパン」展に協賛

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 帝人グループは、オランダのアムステルダム市立近代美術館(Stedelijk Museum)で9月7日より開催される「カラフル・ジャパン」展に協賛する。
 帝人グループは、企業理念の1つとして「社会とともに成長します」を掲げ、芸術・文化活動などを支援しており、2007年からはアムステルダム市立美術館の主要スポンサーとなっている。また、その一環として、周辺地域において「バスタブ(浴槽)」の愛称で親しまれている新館正面とひさしの部分には、帝人が提供したパラ系アラミド繊維「トワロン®」と炭素繊維「テナックス®」を用いた世界最大規模の複合材料製パネルが使用されている。
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 「カラフル・ジャパン」展は、アムステルダム市立近代美術館が所蔵する、1930年代から現在に至るまでの日本人アーティストによる約800点のポスター作品のうち、スポーツ祭典や博覧会の告知ポスターなど226点を厳選した展示会。帝人グループは、欧州における持株会社をオランダに有し、10年以上にわたりアムステルダム市立近代美術館と関わりのある日本企業として、「カラフル・ジャパン」展の趣旨に賛同し、協賛することとした。

美術館の新館に使用されている複合材料製パネルについて
 テイジン・アラミドB.V.(オランダ・アーネム市)のパラ系アラミド繊維「トワロン®」とテイジン・カーボン・ヨーロッパGmbH(ドイツ・ヴッパタール市)の炭素繊維「テナックス®」のシートに樹脂をコーティングした複合材料で、パネルの中核素材である変性硬質ポリウレタンフォームを両側から挟む「サンドイッチ構造」のパネル。強度に優れ、縦方向への熱膨張率が小さいアラミド繊維と炭素繊維を使用することで、樹脂が熱で膨張した際の建造物への影響を最小限に抑えることができ、平坦な表面が維持される。新館には、これを185枚繋げた全長約100m、幅約25mという世界最大規模の複合材料製パネルが使用されている。
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