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【水処理膜】ダイセル、耐薬品性の高いセルロース系水処理膜用新材料を開発

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(株)ダイセルは、セルロース系材料の強みである透水性を保持しながら、耐薬品性を大幅に向上させた水処理膜用新材料を開発した。また、この新材料を用いて、グループ企業のダイセン・メンブレン・システムズ(株)(社長:芝昌尚、本社:東京都港区)とともに、セルロース系の高い透水性能を活かして軽量化した外圧式中空糸膜モジュールの開発を進めている。このモジュールは、中空糸膜材料の耐薬品性も向上していることから、下水、工業排水、海水淡水化の前処理など幅広い分野での使用が可能。

【新材料の特徴】

 セルロース系材料の膜は親水性で、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PES(ポリエーテルスルホン)などの膜に比べ、透水性に優れ汚れにくいという利点がある一方で、耐薬品性に課題があった。

 一方、ダイセルは、たばこフィルターや液晶用フィルムの原料である酢酸セルロースを長年量産するとともに、有機合成技術を駆使して多くのセルロース誘導体を開発してきた歴史があり、これらのコア技術を使って、新しい膜材料の開発に取り組んできた。このたび開発した新材料は、PES膜並みの耐薬品性を獲得しており、従来品に比べ、耐塩素で約10倍、耐アルカリ性で約1000倍という高い性能を実現。また、従来品でもPES膜の1.5倍以上という高い透水性能を新材料でも保持しており、さらなる性能向上に取り組んでいる。用途としては、UF膜(限外ろ過膜、孔径0.001~0.01μm)、MF膜(精密ろ過膜、孔径0.01~10μm)を対象としている。

【モジュールの開発】

 ダイセンは、親水性に優れたダイセル製酢酸セルロースを原料に、上水市場向けのUF膜を中心に、製膜から膜モジュールまで自社生産し、水処理システムとして幅広く事業展開している。

ダイセルはダイセンとともに、このたび開発した新材料を活用し、高い透水性能を活かして中空糸の本数を減らすことにより軽量化できる外圧式中空糸膜モジュールの開発を進めており、2018年初めのプロトタイプ提供開始を目標にしている。

 このモジュールは、中空糸膜材料の耐薬品性も向上していることから、下水、工業排水、海水淡水化の前処理など幅広い分野での使用が可能になる。また、新モジュールは、セルロース膜の特徴である親水性を保持しているため、洗浄頻度の低下や薬剤使用量の削減など、メンテナンスに伴って生ずるコストの低減に寄与する。


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