大王製紙(株) は、セルロースナノファイバー(CNF)の研究開発を進めており、昨年10月にはCNFとパルプ繊維を複合化したCNF高配合の成形体の開発に成功したことを発表した。8月から、このCNF高配合成形体のサンプル提供を開始する。
【CNF成形体のサンプル】
仕様:CNF含有率 50〜80%
サイズ:280×170mm
厚さ:200~500μm
なお、CNF成形体の基本設計は当社の独自開発だが、提供するサンプルは、 ヤマセイ(株)(愛媛県松山市小栗5-31-1)が製造を行う。ヤマセイは、昨年11月から、愛媛県・(公財)えひめ産業振興財団から支援・助成を受け、CNF成形体の製造技術開発を進めており、その事業における成果によってヤマセイがCNF成形体を製造し、大王製紙がサンプル提供することとなった。
【CNF高配合成形体の用途展開】
大王製紙が開発したCNF高配合成形体は、軽量かつ高強度というCNFの特徴を活かした 高性能材料であり、汎用プラスチック材料の約5倍の力学物性を示し、 熱特性※にも優れている。
今回のサンプル提供開始に先行して、スポーツ用品国内メーカーと進めている共同開発では、性能が高く評価され、スポーツ用品部材として現在選手によるトライアルの段階に進んでおり、販売を目指してさらに開発を進めていく。
さらに、これまでプラスチック材料が利用できなかった高強度用途や耐熱性を必要とする用途など、自動車部材、建材、家電筐体、電子基板等への多岐にわたる用途への展開を加速させ、事業化を進めていく。
※〈参考データ〉
汎用プラスチックとの物性比較 ( )内は成形体の物性値
23°C | 90°C | |
引張弾性率注1 | 約5倍 (13~17GPa) | 約20倍 (10~12GPa) |
引張強度注2 | 約5倍 (100~150MPa) | 約8倍 (55~70MPa) |
上記数値は測定値の1例であり、品質を保証するものではない
注1 材料を引っ張った際の変形のしにくさ
注2 材料を引っ張った際に破壊するのに要する力