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【炭素繊維複合材料】東レ、米国の炭素繊維会社を統合、航空・宇宙に加え自動車用の需要に対応

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東レ(株)は、米国でレギュラートウ※1炭素繊維の製造・販売を行うToray Carbon Fibers America, Inc.(CFA、所在地:アラバマ州ディケーター)と、その高次加工品であるプリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)の製造・販売を行うToray Composites (America), Inc.(TCA、所在地:ワシントン州タコマ)を今年4月に統合し、炭素繊維・プリプレグ一貫の事業運営体制を構築することを決定した。TCAを存続会社として、社名をToray Composite Materials America, Inc.(CMA)に変更する。新会社の資本金は約400億円、売上規模は約700億円で、従業員数は約1,000名となる。

 これまでこの2社は、炭素繊維の川上、川中事業会社として一体的に事業運営を行ってきたが、経営統合を機に、営業・技術開発戦力を増強するとともに、より機動的な生産体制を構築することで、市場のニーズに対応したソリューション提供を推進し、一層の事業拡大を図る。現在、サウスカロライナ州スパータンバーグ郡で建設中の原糸(プリカーサ)・焼成からプリプレグの一貫工場が、2017年から順次生産を開始するが、従来の航空・宇宙用途に加え、産業用途や自動車用途向け高強度タイプレギュラートウ炭素繊維の需要に対応し、年内にも増設計画を具体化する予定。

 また、この度同時に、ラージトウ※2炭素繊維を製造・販売する米国子会社Zoltek Companies, Inc.(Zoltek、本社:ミズーリ州セントルイス)において、ラージトウ炭素繊維の生産設備増強を決定した。同社のメキシコ工場(メキシコ合衆国ハリスコ州)の生産能力を年産1万トン強に倍増する計画で、2017年末の生産開始を予定している。この増強により、ハンガリー、メキシコの両工場をあわせたZoltekの生産能力は現有の年産1万5,000トン強から2万トン強になる。

 ラージトウ炭素繊維は、風力発電機翼を中心とする産業用途向けとして急速に需要が拡大しており、特に中国、インドを中心としたアジアにおいてはすでに供給不足になりつつある。今回の生産設備能力増強はこの当面の生産能力不足に対応するものだが、今後は自動車の構造体用途でラージトウ炭素繊維の採用が一層進むことが見込まれている。この旺盛な需要に対応するため、Zoltekにおいては引き続きハンガリー工場、メキシコ工場での炭素繊維生産設備増強を進め、強固な安定供給体制を構築していく。

※1 レギュラートウ:フィラメント数が24K(24,000本)までの炭素繊維で、航空機や圧力容器等、高性能・高品位が要求される分野で使用されている。

※2 ラージトウ:フィラメント数が40K(40,000本)以上の炭素繊維で、風力発電機翼、樹脂コンパウンド強化剤等の産業用途での要求特性を満たす、比較的低価格の製品として使用されている。

<参考>
Toray Composite Materials America, Inc.(CMA)の概要
(1)事業内容 レギュラートウ炭素繊維およびプリプレグの製造・販売
(2)本社所在地 アメリカ合衆国ワシントン州タコマ
(3)設立 2017年4月(新会社での営業開始)
Toray Carbon Fibers America, Inc.(CFA)の概要
(1)事業内容 レギュラートウ炭素繊維の製造・販売
(2)本社所在地 アメリカ合衆国アラバマ州ディケーター
(3)設立 1997年5月
Toray Composites (America), Inc.(TCA)の概要
(1)事業内容 炭素繊維プリプレグの製造・販売
(2)本社所在地 アメリカ合衆国ワシントン州タコマ
(3)設立 1992年5月
Zoltek Companies, Inc.(Zoltek)の概要
(1)事業内容 ラージトウ炭素繊維複合材料および耐炎糸の製造・販売
(2)本社所在地 アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイス
(3)設立 1975年(2014年2月に東レの子会社化)

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