住友化学(株)は、このたび、(一社)日本化学工業協会(以下、「日化協」)より、第52回日化協技術賞「総合賞」を受賞した。受賞対象となった技術は、「低環境負荷・併産品フリーのクメン法プロピレンオキサイド(PO)製造プロセスの開発と工業化」。
日化協は、化学工業の健全な発展と、わが国経済の繁栄と国民生活の向上に寄与することを目的に1948年に創立された。日化協技術賞は、優れた化学技術の開発や工業化によって化学産業ならびに経済社会の発展に寄与した事業者を表彰する日化協の制度で、総合賞、技術特別賞、環境技術賞がある。住友化学は、2003年に「硫安フリーのカプロラクタムプロセスの開発とその工業化」で総合賞を、11年に「有機金属気相成長(MOCVD)法による超高速通信デバイス用化合物半導体エピタキシャル基板の工業化」で技術特別賞をそれぞれ受賞している。
住友化学のPO製造技術は、クメンを循環利用することにより副生物や併産品を生じることなくPOだけを生産する、世界で初めて工業化されたクメン法PO単産プロセス。独自に開発した高性能なエポキシ化触媒と組み合わせることで、非常に高いPO収率と分離精製の省エネ化を達成し、優れた運転安定性を実現できるという特長が評価され、今回の受賞に至った。同社千葉工場で商業運転しているほか、サウジアラビアのペトロ・ラービグ社、韓国のS-OIL社、タイのPTTグローバルケミカル社の子会社、インドのバーラト・ペトロリアム社にライセンス供与し、採用されている。現在は、ライセンス事業のさらなる拡大に注力するとともに、ライセンス供与で培った知見も生かし本技術の改良に継続的に取り組んでいる。
住友化学は、経営として取り組む最重要課題(マテリアリティ)の1つに「環境負荷低減への貢献」を掲げている。石油化学関連技術のライセンス数を主要取り組み指標(KPI)として設定し、本PO製造技術もライセンス事業を通じてその達成に大きく寄与している。
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【クメン法PO製造プロセス】住友化学、第52回日化協技術賞「総合賞」受賞
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