デンカ(株)は、経営計画「Denka Value-Up」のもと進めている事業ポートフォリオ変革の一環として、シンガポールの連結子会社(Denka Singapore Private Limited;以下DSPL)におけるポリスチレン(GPPS(*1);製品名:Denka Styrol)の生産を停止し、生産設備の改造により、MS樹脂(*2)の能力増強を行う。設備改造に伴う投資額は約27億円。
MS樹脂は液晶TV及びモニターの大画面化・狭額縁化により需要が急増しているバックライト用導光板をはじめとした光学用途、及び中国を中心としたアジア太平洋地域において成長著しい化粧品用容器等の非光学用途の拡大もあり、現在供給能力が不足している。
同社はMS樹脂のリーディングカンパニーとして拡大する需要に対応すべく、既存ポリスチレン生産設備の改造によりMS樹脂の生産能力を倍増(増強能力+7万トン、合計14万トン)し、将来の需要拡大に対応するとともに、現在の1基生産体制を2基体制としBCP対応を強化する。
同社は 1997 年にシンガポールにて高強度 GPPS である"MW-1"を中心に、ポリスチレンの生産販売を開始し、ASEAN、中国をはじめ世界3カ国以上で使われている。
しかし、ポリスチレンの海外市場は需要に対し供給が余剰であることからこの度ポリスチレンの生産を停止し、より付加価値が高い機能樹脂である MS 樹脂の製造設備へ転換する。
同社は経営計画「Denka Value-Up」において、2022 年度の営業利益に占めるスペシャリティー化率 90%を目標に掲げている。
【投資概要】
*投資拠点:Denka Singapore Private Limited Seraya Plant(シンガポール)40 Seraya Avenue,Singapore 627873
*投資内容:ポリスチレン製造設備の改造によるMS樹脂能力増強
*投資金額:約27億円
*稼動時期:2021 年上半期(ポリスチレンの販売終了:2020 年末)
連結業績への影響 本件による当社 2019年度連結業績への影響はない。
*1)GPPS(General Purpose Polystyrene) 汎用ポリスチレン樹脂
*2)MS樹脂 スチレンとメタクリル酸メチル(MMA)の共重合体(Methyl Methacrylate-Styrene Copolymer)で、吸湿性が低い事による寸法安定性、及び低比重、良成型性という品質優位性を持っている。
さらにDSPLでは連続プラントでの精密制御技術を活かした低コンタミ、良外観を備えた製品を安定生産し、他社との差別化を図っており、その品質は市場において高い評価を受けている。