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【ChemCyclingプロジェクト】プラスチック廃棄物から生まれた新製品をBASFのパートナー企業、Jaguar Land Rover社、Storopack社、Südpack社、Schneider Electric社が採用

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 BASFは、熱化学的なプロセスを使用することでプラスチック廃棄物をガス化、油化して再利用する「ChemCyclingプロジェクト」を通して、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)の実現に向け取り組んでいる。2018年末、BASFはプラスチック廃棄物を転換した熱分解油を自社の生産工程の原料として初めて使用し、試作品を作った。プラスチック・ゴム産業の世界最大の展示会である「K2019(国際プラスチック・ゴム産業展)」(2019年10月開催)に先立って7月に行われた記者会見にて、BASFのパートナーである4社が、「ChemCyclingプロジェクト」で作られた初の試作品を披露した。
 大手自動車メーカーJaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)社は、BASFのポリアミド樹脂、「Ultramid®B3WG6 Ccycled Black」を用いて、同社初のSUV電気自動車である「I-PACE」向けに、プラスチック製フロントエンドキャリアの試作品を開発した。「事業活動を通じてクローズドループ生産を加速するというコミットメントの一環として、私たちは常に、廃棄物削減に役立つ技術の進歩を探し求めています」と同社グローバル・環境・コンプライアンス担当マネージャー、クレイグ・ウッドバーン氏は述べている。「『ChemCyclingプロジェクト』のプロセスを通じて、消費財廃棄物をプレミアム製品向けに、安全かつ高品質な部品に変換することは、廃棄物ゼロの未来を作り出していきたいという私たちの願いを前進させる上で、重要な一歩なのです」。
 保護包装材および技術成形部品の世界的なサプライヤーであるStoropack(ストロパック)社は、温度に敏感な医薬品向けの絶縁包装、鮮魚輸送用の魚箱、および電子デバイスの保護包装に、BASFの発泡スチロール「Styropor® P Ccycled」を採用した。「特に印象に残ったのは、Styropor® P Ccycledが食品包装に使用できることです。Styroporにはすでに様々なリサイクル方法がありますが、『ChemCyclingプロジェクト』により、リサイクル率をさらに高めることができます」と、同社取締役会長であるヘルマン・ライヒェンエッカー氏は述べている。こうしてStoropack社とBASFはサーキュラー・エコノミーにおいて新たな道を切り開いている。
 ヨーロッパのフィルム包装の大手メーカーであるSüdpack(ズードパック)社は、モッツァレラチーズ向けの特別な密封包装に、ポリアミドフィルムとポリエチレンフィルムを製造した。これまで、多層包装は限られた範囲でしかリサイクルできないと考えられてきた。「フィルム包装は、プラスチックの使用量を最小限に抑えつつ、製品保護、衛生、保存期間といった面で重要な役割を果たさなければなりません。そのため、様々な特性やバリア性を持つ素材が複数のレイヤーで構成されています。『ChemCyclingプロジェクト』などの革新的なテクノロジーにより、私たちはフレキシブル包装のリサイクルにおける課題解決に向けて前進しました」と同社マネージング・パートナーであるヨハネス・レメレ氏は述べている。
 エネルギー管理のデジタル化および自動化のリーディングカンパニーであるSchneider Electric(シュナイダーエレクトロニック)社は、ケミカルリサイクルされたUltramid®から回路遮断器を製造した。「再生プラスチックなどの二次原料が、当社の厳しい品質基準や厳しい業界基準を満たすものであるかどうか、私たちは積極的に評価しています。魅力的なコストを提供しつつ、徹底した持続可能性メリットを実証するBASFの専門知識を信頼しています。BASFとの試みは、エネルギー管理やエネルギー供給分野において、これまで以上にサーキュラー・イノベーションを促進させることと期待しています」と、同社の環境・安全・不動産部門シニアバイスプレジデントであるクサヴィエ・ウオ氏は述べている。
 「あらゆる業界のお客様を対象としたパイロットプロジェクトでは、ケミカルリサイクルされた原料を用いて製造された製品であっても、一次原料を用いて製造された製品と同等の品質と性能を発揮することが示されています。『ChemCyclingプロジェクト』では、マスバランス方式を使用して再生原料の割合を最終製品に割り当て、お客様がサステナビリティ目標を達成する上での一助となります」と、BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業本部 シニアバイスプレジデントのユルゲン・ベッキー氏は述べている。認定された製品は、その名称に「Ccycled」という表示が追加される。記者会見で発表された試作品は、「ChemCyclingプロジェクト」において進行中の試作段階の一例。
リサイクル率拡大の可能性
 「BASFは『ChemCyclingプロジェクト』で、現在リサイクルできない複合素材のプラスチックや汚れのあるプラスチック廃棄物を熱分解油に転換することを目指している。このプロジェクトを市場へ展開できる準備が整えられれば、『ChemCyclingプロジェクト』はプラスチック廃棄物の課題を解決するリサイクルおよび回収の既存プロセスを補完する、革新的なプロジェクトとなるでしょう」とBASFの「ChemCyclingプロジェクト」のリーダーであるシュテファン・グレーター氏は述べている。
 ケミカルリサイクルの大きな可能性については、コンサルティング・ファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーが2018年12月に行った調査で確認されている。専門家は、既存のリサイクル・プロセスとケミカルリサイクルのような新しいプロセスとを組み合わせれば、2030年までに世界中でプラスチックの50%の再利用およびリサイクルが可能になると見込んでいる(現在は16%)。ケミカルリサイクルの比率は現在の1%から約17%に拡大する可能性があり、これは約7,400万トン分のプラスチック廃棄物のリサイクルに相当する。
技術的、経済的および規制上の課題
 しかし、試作段階から市場へと展開するには、様々な課題を解決する必要がある。熱分解油の品質を安定的に保つためには、廃プラスチックを再生原料に変換する既存の技術を高度化し、工業規模での使用に適合させる必要がある。BASFは現在、同社の統合生産拠点(フェアブント)に商業利用に見合う量の熱分解油を長期的に供給するための様々な選択肢を検討している。これらの技術的な課題に加えて、経済的な課題もある。ケミカルリサイクルが市場に受け入れられるためには、規制当局がこのプロセスを正式にリサイクルとして、認めなければならない。また、この枠組みの中でケミカルリサイクルやマスバランス方式を法律で求められるリサイクル率の計算に、どのように反映させるのかということも定義する必要がある。
資源の責任ある利用
 「当社の『ChemCyclingプロジェクト』は、BASFがパートナーと協力して21世紀の主要課題の解決に取り組んでいることを示す良い例です」と、BASFのサステナビリティ専門家であるアンドレアス・キヒェラー氏は述べている。BASFは、「ChemCyclingプロジェクト」の他にも、サーキュラー・エコノミーの考え方を強化し、プラスチックの環境への漏出を防ぐための多くのプロジェクトやイニシアティブに携わっている。例えば、BASFの製品ポートフォリオには、一部再生可能原料をベースにした、認証済みの生分解性プラスチック ecovio®(エコバイオ)がある。また、BASFは世界プラスチック評議会のメンバーであり、エレン・マッカーサー財団の2つのプログラムに参加している。BASFは全世界の事業所で、プラスチックペレットの環境への漏出を防止するためのプラスチック業界の国際的な取り組みOperation Clean Sweep®にも参加している。さらに2019年初頭には、BASFは約30社とともに、プラスチック廃棄物問題の解決に向けた世界的なアライアンス「Alliance to End Plastic Waste」(AEPW)を共同で設立した。主要分野は、廃棄物収集のためのインフラ開発、革新的なリサイクル方法の促進、各種団体の教育および啓蒙活動、環境中のプラスチック廃棄物が集中する地域の清掃活動の4つで、アジアやアフリカを中心に、今後5年間で最大15億米ドルを投じる予定。
「ChemCyclingプロジェクト」の紹介ビデオ(日本語字幕付き)はこちらをご覧ください:https://youtu.be/9-ual0pEcuo

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