BASFは、ポリフタルアミド(PPA)ポートフォリオをさらに拡大する。中国・広州で5月21日~24日まで開催された「CHINAPLAS 2019」で、新しいPPA Ultramid® Advanced T2000(ウルトラミッド® アドバンストT2000)を発表した。PA6T/66を使用したコンパウンド製品は、優れた機械的特性と高温での誘電強度を兼ね備えており、特に電気・電子(E&E)産業のコネクタに適している。
Ultramid Advanced T2000は、部分的に芳香族の化学構造を持つため、耐熱性、耐湿性および難燃性を付与することも可能で、広い温度範囲で高い一定の剛性と強度を必要とする部品に最適なソリューション。高い抵抗率が要求されるE&Eコネクタ業界や、あらゆる温度や環境で、強度を保つ必要がある自動車産業で、このような部品が期待されている。
「E&E産業、特にコネクタ市場においては、更なる小型化の傾向が、次世代高性能部品開発を推進しています」と、グローバルPPAチームの責任者であるアブドラ・シェイク氏は述べている。「標準的な材料で作られてきたこれらの部品の課題は、現在、誘電性と機械的強度を組み合わせることにあります。これまでの標準的なプラスチックでは達成できなかった、非常に厳しい条件下における高い性能レベルを求められています。お客様はUltramid Advanced T2000 を使用し、パーツに適したプラスチックを選択していただけます。特に、最先端の難燃性能により、最新のE&E デバイスの実現を可能にします」。
E&Eおよび自動車産業における幅広い適用範囲
Ultramid Advanced T2000は、幅広い温度範囲で優れた機械的特性と誘電特性を発揮するため、構造用ノートパソコン部品を介した精密な難燃性コネクタから、スイッチや超小型回路遮断器まで、E&E産業や自動車産業における新用途に適した素材となっている。本材料は、射出成形時の流動性が高いため、薄肉設計が可能で、表面品質も良好。また、部品の形状保持力を向上させる。漏電による過熱時でも、構造物が容易に溶融せず、外部からの機械的衝撃にも耐性を有す。さらに、ガラス繊維強化グレードは、ガラス転移点より高い温度でも、高い強度と容易な加工性を提供する。このため、これまで金属で作られているアクチュエータ、トランスミッションセンサーおよびクラッチ部品などの水出口弁、水ポンプ、燃料システム部品といった自動車部品の代替品となる。絶乾状態および調湿状態の両方において、適用温度の全範囲にわたって優れた強度、剛性および抵抗率が要求される用途に適している。Ultramid Advanced T2000は、洗浄剤、塩化カルシウムや、クーラント、燃料、オイルや潤滑油のような一般的な自動車関連用品に対して良好な耐性を示す。
新しいPPAは標準PA66と同等の衝撃強度と標準脂肪族ポリアミドより低い吸水性を示し、高い寸法安定性をもたらした。融点(310℃)が高く、熱変形温度が280℃(HDT-A)を超えるため、部品が変形することなく、鉛フリーはんだ付けに最適な材料。また、Ultramid Advanced T2000は効率的に加工でき、流動性は、柔軟性や靭性を損なうことなく、他の高温ポリアミドよりも著しく優れている。他のUltramid Advanced T2000グレード、ポリアミドまたは一般的なPPAとの溶接やレーザーマーキングなど、いくつかの後加工が可能。
特定のE&E 要件に合わせた複合ポートフォリオ
幅広い用途に対応するため、BASFは、30~40%のガラス繊維強化グレードで、全色に対応するUL94V-0規格の難燃性グレードを開発した。さらに、30~50%のガラス繊維と耐衝撃性を有するいくつかのグレードがあり、無着色およびレーザーマーキング可能な黒色がある。個々の用途の要件に応じて、異なる熱安定剤も提供している。