エプソンは、2015年12月に開発発表したオフィス製紙機『PaperLab(ペーパーラボ)A-8000』を商品化し、2016年12月から販売を開始する。
『PaperLab A-8000』は、世界で初めて※1、使用済みの紙※2を原料として、文書情報を完全に抹消した上で、新たな紙を生産できる乾式のオフィス製紙機。一般的な製紙方法で必要とされている大量の水を使わない※3ため給排水工事は不要で、オフィスのバックヤードなどに設置することができる。企業や自治体では、紙厚の異なるオフィス用紙や名刺用紙など、さまざまな紙の生産・アップサイクルが可能になる。
『PaperLab A-8000』は、エプソン独自の新開発技術「ドライファイバーテクノロジー」の3つの技術「繊維化」「結合」「成形」により、使用済みの紙から新たな紙を生み出す。
■「ドライファイバーテクノロジー」について
「繊維化」
独自に開発した機構による機械的衝撃で、水を使わずに使用済みの紙を細長い繊維に変え、文書情報を一瞬で完全に抹消する。
「結合」
繊維化された使用済みの紙は、結合素材『ペーパープラス』を使用することで繊維を結合する。さまざまな『ペーパープラス』により、白色度の向上や色付けを行うことができる。
「成形」
結合した繊維を加圧して新たな紙にする。加圧時に密度や厚み、形状をコントロールすることで、A4やA3サイズの紙、名刺などに使用できる厚紙などを生産できる。
■『PaperLab A-8000』が提供する価値
①セキュリティー向上
機密文書などの使用済みの紙を細長い繊維に分解し情報を完全に抹消するため、機密情報の漏えいを防ぐ。オフィスのバックヤードなどに設置することで、機密情報を外部に持ち出すこともないため、セキュリティー向上に貢献。
②用途に合わせた多様な紙を高速生産
『PaperLab A-8000』に使用済みの紙を投入してから、約3分で1枚目の新たな紙を生産する。A4用紙は、1時間あたり約720枚※4を生産する。また、「ドライファイバーテクノロジー」と『ペーパープラス』によって、名刺などに使用できる厚紙や、色紙など用途に合わせた多様な紙の生産が可能。
③環境負荷低減
一般的には、A4の紙1枚を生産するために、コップ1杯の水が必要と言われていますが、『PaperLab A-8000』は、大量の水を使わず※3に紙を生産することが可能。さらに、企業や自治体内で新たな紙を生産することで、紙の購入量を減らせる。また、新しい紙の調達や、使用済みの紙の処理に伴う輸送を減らすことでCO2の削減に貢献する。
今回、『PaperLab A-8000』が提供する価値に賛同いただいたペーパーラボプレミアムパートナー向けに2016年12月より順次販売を開始。エプソンは、ペーパーラボプレミアムパートナーから、導入後『PaperLab A-8000』で生産した新たな紙の活用方法やオフィス内での業務を通じた運用方法など、さまざまな実使用データやアイデアを提供いただきながら、共に『PaperLab A-8000』の商品価値を高めていきたいと考えている。
左から排紙イメージ、給排紙イメージ、A-8000ペーパープラス
■ペーパーラボプレミアムパートナー様のコメント
●長野県塩尻市役所様
本市は、平成14年3月にISO14001の外部認証を取得しました。その後、塩尻市役所環境方針の基本理念を「人と自然が共生できる良好な環境の中で、豊かな自然の恵みを享受しつつ営んでいる安全で快適な生活を次世代に引き継ぐため、環境の保全に取り組む。」と定めております。さらに、環境施策を積極的に推進するため5つの基本方針を定め、その1つに「保育園・小学校、中学校を中心とした環境教育の積極的な推進」を掲げております。『PaperLab A-8000』の導入は、環境教育の推進に活用するとともに、庁内から発生する個人情報を含めた廃棄文書を極力『PaperLab A-8000』で付加価値の高い紙に再生リサイクル処理し、コンパクトな循環型社会の形成に寄与するとともに個人情報漏洩のリスク軽減に役立てるものです。
●住友理工株式会社様
住友理工株式会社では、2020年のありたい姿に向けCSR経営を進めています。『PaperLab A-8000』の導入により、環境保全や環境に配慮した事業活動、セキュリティーリスクの最小化の実現を図ると共に社会貢献活動、障がい者雇用・シルバー人材活用の推進等を実現し、社会的な責任を果たして参ります。
●長野県諏訪市役所様
市役所内の取り扱う文書で廃棄に配慮しなければならない文書を『PaperLab A-8000』で完全抹消して、セキュリティーレベルを向上させることを導入の目的としています。諏訪地方の伝統や技術を脈々と受け継ぎ、高齢者から若者、子どもまで「まち」と「ひと」を大切にする輝く「SUWA」の創生を目指す中で、物作りや環境意識啓蒙活動など幅広く『PaperLab A-8000』を活用したいと考えています。
●株式会社世田谷サービス公社様
当社は、90 万大都市世田谷区の地方公社として、障がい者・高齢者・女性の積極的雇用や、区内企業との連携を通じて地域社会の発展と区民福祉の向上に貢献してきております。当社 ICT部門が業務を担っている世田谷区役所では、日々多くのプライバシー廃棄文書等が発生し、業務委託により溶解処分されております。今回、『PaperLab A-8000』の導入を通じ、庁外へ廃棄文書を搬出することなく、高度な個人情報保護セキュリティーレベルを担保しながら、資源ごみの「地産地消」を実現いたします。再生紙は色付けし、再び庁内で活用することで“目に見えるリサイクル”を目指し、さらに回収・仕分け・梱包等で障がい者の就労機会の拡大を図ってまいります。
●トランスコスモス株式会社様
廃棄する機密文書を『PaperLab A-8000』を使用してセキュリティーレベルを向上させるとともに、環境活動の一環としてさらなる環境負荷軽減に取り組んで行きます。 また、文書の収集・分別・配達を障がい者の仕事として、新たに雇用を創出してまいります。
●株式会社八十二銀行様
当行は環境保全活動をCSRの根幹と位置づけ、役職員一丸となって活動を展開しています。銀行は、業種柄大量の機密文書が発生します。『PaperLab A-8000』を使用することで機密文書を完全抹消し、セキュリティーレベルを向上させ、新しく付加価値の高い紙に再生し有効活用することで、紙資源の持続可能な循環体制を構築し、地球にやさしい「No.1のエコロジーバンク」を目指していきたいと思います。紙の普遍的な価値は、「見やすい」「理解しやすい」「記憶に残りやすい」そして「持ち運びや書き込みが手軽にできる」など、コミュニケーションのシンプルさにあると考えています。「PaperLab」は、小さなサイクルで循環社会を活性化し、紙ならではの豊かなコミュニケーションを生みだすしくみです。
エプソンでは、今後も「PaperLab」により、紙に新たな「価値」を与え、紙ならではの豊かなコミュニケーションを活性化させることで、紙の未来を変えるスマートサイクル事業を推進していく。
価格について
新商品の価格については以下の通り。
型式:A-8000
価格:オープンプライス
予想市場価格(税抜):2,000万円台前半
*「予想市場価格」は、市場での販売価格を当社が予想したものであり、各販売店での販売価格を拘束するものではない。
※1:2016年11月時点、乾式のオフィス製紙機において世界初(エプソン調べ)
※2:一般コピー用紙(A4・A3)を原料として使用できる。
※3:機器内の湿度を保つために少量の水を使用
※4:生産する紙の厚さなどにより、生産スピードは異なる
■「エコプロ2016」出展について
エプソンは、2016年12月8日(木)~12月10日(土)まで東京ビッグサイト東ホールで開催される「エコプロ2016 ~ 環境とエネルギーの未来展」のエプソンブースに『PaperLab A-8000』を展示、随時デモンストレーションを行う。
なお、12月8日(木)10時30分からのエプソンブース内プレゼンテーションステージは、セイコーエプソン(株)代表取締役社長 碓井 稔が登壇する。
<会期>2016年12月8日(木)~12月10日(土) 10:00~18:00(最終日は17:00まで)
<会場>東京ビッグサイト 東1ホール 小間番号:1-012