DIC(株)は、100%米国子会社DIC Imaging Products USA, LLC.(米国ウィスコンシン州)内に、グローバルトップシェアを誇るPPS(ポリフェニレンサルファイド)コンパウンドの生産設備新設を決定した。PPSコンパウンド生産の北米進出は今回が初めてであり、2020年秋の稼動を予定している。この投資により、グループ全体の供給体制は世界5地域(日本、中国、東南アジア、欧州、北米)に整い、生産能力は年産3,000t増強、全体では46,000tに拡大する。
PPSコンパウンドは、スーパーエンジニアリングプラスチックの一種で、高い耐熱性、耐薬品性、寸法安定性などの優れた特性を有する樹脂材料。DICの製品は、金属の代替品として自動車関連材料、電気・電子部品、住設機器などに使われている。近年は特に自動車関連材料のシェアが伸びており、背景にあるのがエコカーと言われるハイブリッド車や電気自動車の普及。エコカーは、金属部品をPPSに置き換えて車体の軽量化と燃費向上を図っているため、ガソリン車に比べてPPSの使用量が2~3倍と言われている。このような旺盛な需要拡大を背景に、PPSコンパウンドの世界市場は2021年には20%超(2017年比)の成長が見込まれている。
DICグループの生産および技術サービス拠点は、自動車関連材料の需要地において独自のコンパウンド技術を駆使した製品の提供が実現可能。このたびの北米での供給体制構築は、同地域の需要拡大に応えるものとして安定供給とリードタイムの短縮、要求品質を満たす製品開発力の強化などを目的としている。また、欧米地域において印刷インキをはじめとした事業を築いた強固な販売チャネルを有するDIC100%米子会社サンケミカル社が、本格的にPPSコンパウンドの販売を開始することで、販売網の急拡大を実現する。
DICグループは、新中期経営計画「DIC111」において、サステナビリティや市場への貢献を追求する「社会的価値」と企業の成長と収益性に寄与する「経済的価値」を両立し、“ユニークで社会から信頼されるグローバル企業”を目指す企業像としている。加えて、欧米地域の戦略として「インキ以外の高付加価値製品の生産能力拡充」を掲げている。DICグループは、高付加価値製品である同社独自のPPSコンパウンドの更なる拡販を進め、グローバルリーダーの地位を磐石にしていく。
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【PPS】DIC、北米にコンパウンドの供給体制構築。世界5地域に生産体制確立
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