コンフォートシューズ&レザーグッズブランドECCOとダウ(本社:米国ミシガン州ミッドランド、会長兼CEOジム・フィッタリング)のコンシューマー・ソリューションズ 事業部は、データ解析により3Dカスタマイズした革新的なシューズ「QUANT-U(クアントゥー)カスタマイゼーション・プロジェクト」を2018年4月より始動し、この度、2019年2月20日より東京・新宿伊勢丹メンズ館を皮切りに日本市場への展開にて協業する。
QUANT-Uは一人ひとりの生体力学データとダウが開発した革新的な3Dプリンター用液状シリコーンゴム「SILASTICTM 3D 3335 Liquid Silicone Rubber」を用いた積層造形により、シューズを履く人の足型と靴を履いた時の自然な動きに対してカスタマイズされたシリコーンゴムミッドソールを店頭にて約1時間で作成する。
QUANT-U 予約サイト:quant-u.jp
「QUANT-U」カスタマイズミッドソールが完成するまでの3ステップ
(1)足の動きや形状をリアル・タイム分析
解剖学的スキャンとセンサー・データのコンビネーションでデジタル足型を製作。3D足型計測器は足の隅々まで立体的に足をスキャンし、着用可能なセンサーとAI着用者が実際に靴を履い た時の正確な動きを再現する。センサーは、靴内の温度、湿度をはじめ膨大なデータを計測、圧力センサー、加速度計を用いて各個人の歩行の特長をデータ化する。
(2)計測データに基づいたミッドソールデザインを開発
計測した解剖学的データに基づき、カスタマイズされたミッドソールをデザインする。ミッドソールはシューズの機能を構成する心臓部であり、歩行時の靴の機能と履き心地の70%はミッドソールに依拠するといわれている。形状の数値化後、着用者に最もフィットするミッドソールをデザインする。
(3)店内3Dプリンターでカスタマイズされたダウのシリコーンミッドソールを出力
計測データに基づきデザインされたミッドソールは、ダウの革新的な3Dプリンター用液状シリコーンゴム「SILASTICTM 3D 3335 Liquid Silicone Rubber」により、店内の3Dプリンターで製造される。店頭で約1時間程度で、ECCOのシューズ「SOFT 8 QUANT-U EDITION(メンズ ソフト8クアントゥー エディション)」に装着される(2019年8月まではメンズのみの展開となる)。
SILASTICTM 3D 3335 Liquid Silicone Rubberは、金型成形と同等の特性を維持したまま成形が可能であるため、3Dプリントしたパーツをシリコーンゴム最終製品として使用可能であることが最大の特長。また、少量・大量生産、オンデマンド品、プロトタイプ・カスタマイズ品の生産が可能。設計の自由度が高く、さまざまなデザインに対応できるため、幅広い産業での用途に貢献する。SILASTICTM 3D 3335 Liquid Silicone Rubberは、ダウがドイツの3Dプリンターメーカー German RepRap 社と共同で開発した液体積層造形方式 (LAM: Liquid Additives Manufacturing)プリンターに対応している。
SILASTICTM 3D 3335 Liquid Silicone Rubberは、日本では東レ・ダウコーニング(株)(2月1日より、ダウ・東レ(株)に変更)が販売する。シューズ以外の主な用途例としては、自動車用ゴム部品、ウェアラブルデバイス、照明および工業用ゴム部品などがある。拡大を続ける3Dプリンター市場において、ダウはさまざまな用途で3Dプリントしたパーツをシリコーンゴム最終製品として使用可能、という新たな価値を提供していう。 3D カスタマイズしたシリコーンミッドソール (写真: ECCO 提供)
■ILEについて
ILE(エコー・イノベーション・ラボ)はECCOホールディングスが出資する独立したデザイン・スタジオで、代替生産方法の採用・プロジェクトの推進、先端素材の研究開発、新技術、治験などを行う。研究成果はアムステルダムにあるECCOのコンセプトストア「W-21」の限定コレクションの中で発表されている。フットウエア市場に機能的にカスタマイズされた「QUANT-U」を発表。靴を履く個々の人の足型と足の自然な動きに合わせた3Dプリンター・ミッドソールは、ECCOのアイコン的存在のシューズに取り入れた。カスタマイズされた靴には定価に追加料金が加わり2018年4月、期間限定でアムステルダムにあるECCOのコンセプトストア「W-21」で展開された。「QUANT-U」はECCOが培ってきた靴製造における伝統に技術、素材と更なる履き心地の良さを融合し、新時代のシューズ業界への発展と革新をもたらす。
■ECCOについて
1963年、デンマークで創立したECCOは靴のデザインから原材料であるプレミアムレザーおよび靴の製造・出荷・店舗運営にいたるまでを全て自社で一括管理・運営する世界でもユニークな経営スタイルを有するシューズとレザーグッズのブランド。また、オランダにR&Dを構えるECCO LEATHERは革新的な技術と開発力、そして品質が評価されECCOのシューズ以外にも世界中の名だたるブランドにプレミアムレザーの供給を行っている。世界約90カ国で展開されているECCOはメンズ、レディース共にカジュアルシューズからビジネス、スポーツ、アウトドア、世界中のプレイヤーの足を支え続けているゴルフシューズ、そして幼少期から最高品質の履き心地を提供するキッズシューズまで、幅広いライフスタイルに寄り添うラインナップを揃えており「一度履いたらその履き心地の虜になる」と、世界中で愛され続けている。今後ILEと共同で、プレミアムレザーとダイナッミクコンフォートというECCOの2大柱の更なる革新を続けていく。
■東レ・ダウコーニングについて
ダウと東レの合弁会社である東レ・ダウコーニングは、ダウ・デュポン 素材科学事業部門のパフォーマンスシリコーン事業の日本拠点として、シリコーンを中心とした高機能素材の研究開 発、製造、販売に取り組んでいる。日本市場で50年以上にわたるシリコーン事業展開で培った市場に関する深い知識、研究開発力、技術力をもとに、世界中の顧客や業界のさまざまなニーズに即応したソリューションを提供している。輸送機器、建築・土木、パーソナルケア、化学品製造といった幅広い産業が直面している課題に対して最適な製品・技術の提供により、顧客のイノベーション実現に貢献している。イノベーションとシリコーンを中心としたケイ素関連技術の世界的リーダーであるパフォーマンスシリコーン事業の日本拠点として、最新かつ、実証されたシリコーン ソリューションの開発により、産業や顧客のさらなる発展をサポートし、また世界中の人々の生活の質の向上に貢献し続けている。