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【ナノインプリント】凸版印刷とSCIVAX、資本業務提携に合意し、世界初の大面積ナノインプリント量産化を目指す

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凸版印刷(株)SCIVAX(株)は、急速にニーズが増加しているナノインプリント事業の拡大を目的として、資本業務提携を行うことで合意した。


 凸版印刷は同技術の開発で世界唯一、成功を収めているSCIVAXへ出資し、2016年11月中にSCIVAXの株式を25%超取得し筆頭株主となり、ナノインプリント事業に本格参入する。両社は、凸版印刷が半導体用フォトマスクなどで培ったリソグラフィー技術やマスターモールド製造技術と、SCIVAXが持つ光学設計やナノインプリント加工技術を融合し、アプリケーション開発からマスターモールドの製造、最終製品の量産化まで一貫したサービスの提供を共同で開始する。

 さらに凸版印刷は、光学デバイスやSCIVAXの独自開発製品の量産化ニーズに対応するため、生産ラインを構築、2017年中に大面積ナノインプリントのサンプル出荷を開始する。

2016 11 01 toppan

ナノインプリント法(左)と微細構造体製造プロセス(右)

■背景
 

 ナノインプリント技術は、ナノ(10億分の1メートル)オーダーのパターンを形成したモールドを用いて、樹脂などの被転写材料に押し付けて微細な構造体を製造する転写技術。半導体製造などで使用されているフォトリソグラフィー技術による製造方法よりも安価に生産できることから、レンズアレイなど光学デバイスやディスプレイ、バイオ・医療用途など、幅広い分野での活用が期待されている。

 SCIVAXは、独自に開発したナノインプリント技術をベースに、様々な分野においてナノインプリント受託加工サービス(ナノインプリントファウンドリー)を世界で唯一、展開し、多数の実用化案件を受託している。すでにウェハ加工を中心に複数の案件で量産受託製造を開始し、その実績は広く認められている。

 凸版印刷は、半導体用フォトマスクや、シリコンステンシルマスクなどの光学設計技術や超微細加工技術をベースにマスターモールドの製造を行なっている。また、液晶用カラーフィルタを世界各国の液晶パネルメーカーに提供するなど、大面積ガラス基板加工技術を保有している。

 この提携により、両社は大面積ナノインプリント量産技術の開発を加速させ、アプリケーションの開発から試作、量産までをトータルに提供するビジネスモデルを構築する。

 

■想定用途

・光学デバイス向けレンズアレイ、回折光学素子:具体的な活用事例としては静脈認証などセキュリティ

・ワイヤグリッド偏光板:具体的な活用例としてはTVやモバイル、車載向けディスプレイ

・バイオ、医療向け解析チップ:具体的な活用例としては細胞培養シート、DNA解析チップ

 

■今後の展開

 凸版印刷は、今回の資本業務提携により、光学設計からモールド、インプリント工程までの一貫した生産体制の構築を目指す。特に、世界初となる大面積ナノインプリント量産技術を確立し、様々な分野への応用展開を図り、事業拡大を推進する。また凸版印刷が、欧米、アジアなど世界各国に持つ販売ネットワークを活用することで、海外ユーザーのニーズにも対応し、グローバルな事業展開を図る。

 SCIVAXは2014年から2015年にかけて株式会社産業革新機構、KISCO株式会社などから出資を受け、ナノインプリント受託加工サービスの事業化に成功した。また、SCIVAXが独自に開発した大面積一括成型加工技術については、凸版印刷との提携により、量産化に向けた技術開発を加速させる。

 両社は本提携により、光学設計シミュレーションによる構造提案や独自製品の開発を進めるとともに、大面積ナノインプリント量産技術を実用化し、2020年度に約200億円の売上を目指す。

 


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