東芝機械(株)は、このほど自動車の軽量化が進む中で、現在鉄系素材のアルミ化や電気自動車に使用されているバッテリーケース等の薄肉・大型製品の成形や、マグネシウム合金等にも適した、大型ダイカストマシン用の新型射出機構「Dual-PCV」を開発した。
主な特長は次の通り。
(1)さらなる短時間充填を実現
薄肉・大型製品の成形は、充填時の抵抗や製品の素材面積の拡大、また流動長が長く凝固しやすいことから充填不良を起こすという課題があった。今回新たに開発したDual-PCVでは、バルブサイズは従来と同様のまま、油圧効率を上げ、従来機比で充填力が25%、さらに応答性も向上したことにより溶湯を用いた実打ち高速加速性能が30%、最高射出速度も15%と大幅に向上し、さらなる短時間充填を実現した。このことにより充填不良を起こさない成形が可能となる。
短時間充填は、凝固時間がアルミニウムより短いマグネシウム合金の鋳造にも有効であり、自動車の軽量化を目的とする素材置換にも対応可能。
(2)昇圧時間の短縮
凝固時間が短い薄肉・大型製品やマグネシウム合金は増圧においても短時間で圧力を上げる必要がある。新型射出機構では、増圧切替バルブも新規に開発し、従来比50%の昇圧時間短縮が可能となった。これにより製品表面の転写性と、薄肉製品の内部品質が向上した。
(3)新制御装置による品質向上
新型射出機構の開発に併せて射出制御装置およびソフトウェアも新たに開発した。高速区間のサンプリング数を大幅に増やすことで、高速速度動作が外乱などによる影響を受けにくくなり、かつ高速区間中も安定した射出動作を実現することが可能となった。この制御によりバリ生成が抑制され、油圧サーボバルブが持つ減速性能とあわせ、製品内部の品質向上につながる。
Dual-PCVは、11月8日~10日までパシフィコ横浜で開催される2018 日本ダイカスト会議・展示会にてCGとプレゼンテーションで紹介される。
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【ダイカスト】東芝機械、大型ダイカストマシン用新射出システム「Dual-PCV」開発
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