凸版印刷(株)は、A4サイズのE Ink方式電子ペーパーを採用した表示機で、表示部と制御部を分離して使用できる最新モデル「pella(ペラ)」を開発した。生産現場における指示書での利用を想定しており、2017年4月からエンドユーザへのテスト導入を実施し、2018年4月からの本格的な販売を開始する。
pellaは、フレキシブル電子ペーパーを採用した表示部と、無線LANで通信し表示の書き換えを行う制御部とを持つ電子ペーパー表示機で、IoT化が進む企業の生産現場における工程管理での利用を想定して開発したもの。凸版印刷が従来培ってきた電子ペーパーの制御技術を活かし、従来のタブレット型端末とは異なり、表示部と制御部を分離して使用できるまったく新しい形状を実現した。データの書き換え時以外は表示部を分離した状態での情報閲覧が可能なため、従来の紙ベースの指示書と同様の感覚で使用できる。さらに、データ通信インフラとして広く普及している無線LANを採用することで、導入負荷を低減した。
なお、同製品は、2016年10月26日(水)から29日(土)まで開催される「メッセナゴヤ2016」(会場:ポートメッセなごや)のトッパンブースにて紹介する。
電子ペーパー表示機「pella」の製品イメージ
インダストリー4.0やIoT(Internet of Things)が注目される中、製造・物流業界などにおいて、ICT技術を用いた情報の活用と可視化の重要性が高まっている。さらに製造・物流の現場における製造物や物品の管理業務では、プリンタ用紙やラベルを用いた管理手法が一般的だが、業務負荷の軽減や消耗品の削減などの観点から、適宜書き換え可能な電子ペーパー表示機に対する需要が今後さらに高まると予想されている。同社はこれまで、電子ペーパー事業に積極的に取り組んでおり、さまざまな通信方式への対応や、製品ラインアップの拡充に向けて研究開発を進めている。このたび、製造・物流業界で共通して大量消費されているA4用紙の代替となる薄型の電子ペーパー表示機を開発。従来の紙同様の使用感に加え、無線LAN通信による書き換えが可能な製品の開発に成功した。
■ 製品の特長
・従来の紙ベースの作業指示と同様の使用感
制御部に通信・電源機能などを集約、シンプルな構成とした分離型にし、さらにフレキシブル電子ペーパーを採用することで表示部の薄型化を実現。これにより、紙に近い感覚で使用できる。
・データ通信には無線LANを採用
広く普及している無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)を通信方式に採用することで、既存のデータ通信インフラを活かし、上位システムと連携するなど、導入時にかかる負荷を低減することが可能。
・表示に電子ペーパーを採用
一度表示した情報は、次に書き換えるまで電源なしで表示することができる。
■ 仕様
表示画面:13.3inch ドットマトリクス型E Ink Mobius電子ペーパー
画素数:1600×1200pixel
外形寸法:全体 縦358mm×横232mm×厚さ15mm
表示部 縦314mm×横232mm×厚さ2.25~3.55mm
制御部 縦58mm×横130mm×厚さ15mm
通信方式:無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)
■ 今後の目標
電子ペーパー製品のさらなる大型化や各種サイズのラインアップ強化などに取り組み、IoTによる工程管理や状態管理などの用途を想定した製品・サービスの開発を推進し、国内市場は勿論、グローバル市場に事業展開する。
※「pella」は凸版印刷が商標登録申請中