日立化成(株)は、液晶ディスプレイの広色域化*1を実現する同社の量子ドット*2フィルムが、米国の液晶ディスプレイメーカーVIZIO, Inc. (本社:米国カリフォルニア州、CEO:William Wang、以下、VIZIO社)の新型量子ドット4Kテレビ「P-Series Quantum 65 (2018年7月発売)に採用されたことを明らかにした。今回採用された量子ドットフィルムは、欧州連合のRoHS*3指令に適合した、環境負荷を低減した製品。
2012年に高精細テレビ向けの新しい色域規格、BT.2020*4が国際電機通信連合(ITU)によって制定され、液晶ディスプレイメーカー各社は、この規格に対応できる、より広色域のディスプレイの開発を進めている。従来の液晶ディスプレイで広色域化を実現するためには、ディスプレイの色を作り出しているカラーフィルターをより色鮮やかなものに改良する必要があるが、それにより液晶ディスプレイの表面輝度(明るさ)は低下してしまう。表面輝度が低下すると、バックライトをより明るくする必要があるため、液晶ディスプレイの消費電力が増えてしまうという課題があった。
そこで日立化成は、消費電力を増やすことなく、液晶ディスプレイの広色域化を実現する、量子ドットフィルムを開発し、2017年2月より量産・販売を開始しており、このたびVIZIO社が発売する新型量子ドットテレビ「P-Series Quantum 65」に採用された。今回採用された量子ドットフィルムは、欧州連合のRoHS指令に適合した、環境負荷を低減した製品。日立化成の量子ドットフィルムを用いることで、「P-Series Quantum 65」は、色域規格のBT.2020を80% (VIZIO社従来品比で12.5%増)達成し、より色鮮やかな画像の表示を実現している。
日立化成では、今後も、アジア地域や、北米地域等グローバル市場で量子ドットフィルムの拡販を進め、シェアの拡大を図る。
*1 色域とは表すことができる色の範囲のことで、広色域化はその範囲を広げることを意味する。液晶ディスプレイが広色域化すると、より色鮮やかな画像を表示することができる。
*2 量子ドットとは半導体微結晶で構成される、数nm~10数nm程度の粒子で、成分やサイズを制御することで、光の波長を自在に調整することが可能。
*3 RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令とは、電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限する、欧州連合による指令。今回採用された日立化成の量子ドットフィルムは、樹脂層のカドミニウム(Cd)の含有量がRoHS指令の閾値である100ppm以下となっており、RoHS指令に適合した製品。
*4 これまでのハイビジョンテレビではBT.709という規格が採用されており、その色域は自然界に存在する物体の色の約7割にとどまっていた。一方、BT.2020は、自然界に存在する物体の色のほぼ全てを表すことができる色域のため、BT.709よりも表現できる色の範囲が格段に広がっている。
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【ディスプレイ】日立化成の量子ドットフィルム、VIZIO社新型4Kテレビに採用
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