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【乾式メタン発酵施設】富士クリーン、10月から実証運転開始始。多様な廃棄物を原料としたバイオガスによる熱電併給目指す

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 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)では、地域の特性を活かしたバイオマスエネルギーの健全な導入を促進するためのプロジェクト※1を実施している。同プロジェクトにおいて、(株)富士クリーンは、2015年4月から約1年間、混合系バイオマスによる乾式メタン発酵※2技術を適用したバイオマスエネルギー地域自立システムの事業性評価を実施してきた。事業性評価では、地元香川県の特徴を生かしたバイオマス原料の調達や、エネルギーの供給と副生成物の利用について、地域の企業・行政と協力し、地域内でのバイオマス原料の調達からエネルギーの生成、利用までを含めたバイオマスエネルギー地域自立システムの実現可能性の検討を実施した。その後、2016年8月から実証フェーズに移行し、システムの設計や必要となる設備など検討を進めてきた。
 今回、富士クリーンは、自社の廃棄物中間処理施設敷地内(香川県綾川町)に国内初となる縦型乾式メタン発酵施設を備えたバイオマスプラントを完成させた。今後、試運転を行い、2018年10月から実証運転を開始する。
 富士クリーンは、今回の取り組みを通じて、廃棄物の資源化によるリサイクル率の向上や、温室効果ガス排出量の削減(年間約1万トンのCO2削減効果)など、環境負荷の低減を実現する地域に根ざしたバイオマスエネルギーシステムの構築を目指す。また周辺地域に対しても、雇用の創出、産業の活性化、環境教育の推進など、地域の社会インフラサービスの充実に貢献することを目指している。具体例として、「ごみをエネルギーに変える」をテーマに、子どもから大人まで、地域住民への幅広い環境教育の場として本施設を開放する予定。
 今回完成させたプラントは、国内初となる縦型乾式メタン発酵施設に加え、同様に国内初導入となる廃棄物からバイオマスを高効率で分別・回収する装置(高効率選別装置)をはじめとする前処理設備やバイオガス化設備、ガスエンジンなどのエネルギー変換設備を組み合わせたバイオマスプラントであり、近隣地域の生活ごみなどの一般廃棄物に加え、食品残渣や家畜糞尿・下水汚泥・紙ごみおよび難処理古紙類など、多様な産業廃棄物を73トン/日の規模で受け入れ可能。
 バイオマスプラントに採用した乾式メタン発酵技術(KURITA DRANCO PROCESS®)は、縦型かつ攪拌装置不要の発酵槽のため省スペース化および省エネルギー化を実現できるとともに、高温発酵により分解速度が速く、混合型系バイオマス※3に対応でき、また排水処理を必要としないことが大きな特徴。
 縦型メタン発酵槽の大きさは国内最大規模の3,000m3であり、バイオガス生成量は約9,500Nm3/日。生成したバイオガスは、ガス発電機(370kW×2基)と蒸気ボイラー(0.5t/時×2台)により、電気と蒸気に変換し、自社内で実証施設/廃棄物処理施設内の回転機器などの駆動用電気や加熱用蒸気として有効活用する。また、ガス生成過程で排出される発酵残渣は、既設焼却施設の補助燃料として利用する。これまで埋め立て処分していた熱量の高い廃棄物とこの残渣と混合し焼却することで、埋め立て処分量が減少し、埋め立て処分場の延命化につながるとともに、焼却炉燃料の削減が可能になる。
 NEDOではバイオマスエネルギー利用拡大のための「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針※4」を策定し、広く一般に公開するため、バイオマスエネルギーを利用した具体的な事業について、地域自立システムとしての実証事業(助成事業)を行っている。同実証事業の成果については、技術指針、導入要件の改訂時に反映する予定。
※1 プロジェクト
 名称:バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業
 期間:2014~2020年度
 予算:約23億円(2018年度)
※2 乾式メタン発酵
 含水率が低い状態でバイオマスをメタン発酵させる技術。
※3 混合型系バイオマス
 一般廃棄物、産業廃棄物(食品工場残渣、畜産廃棄物、下水汚泥含む)などの多様なバイオマス。
※4 バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針
 http://www.nedo.go.jp/library/biomass_shishin.html


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