【半導体】SEMI、ESD Allianceと戦略的協会パートナー協定締結

　SEMI（本部：米国カリフォルニア州ミルピタス）は、4月16日（米国時間）、SEMIの戦略的協会パートナーとして、ESD（Electronic System Design）Allianceを年内に統合する覚書に調印したことを発表した。このパートナー協定のもとで、米国カリフォルニア州レッドウッドシティに本部を置く当該協会とその会員であるシステム設計エコシステム企業は、SEMIに統合される。これによりSEMIの会員組織は、半導体設計分野とのつながりを深め、直接連携することが可能になる。
　SEMIの戦略的協会パートナーとなるESD Allianceは、半導体設計エコシステム企業を代表して、業界全体に影響する技術、マーケティング、経済、立法上の諸問題に対処するというミッションを継続して遂行する。ESD Allianceは組織の管理、また、方針と戦略全体の指揮を継続するが、同時にSEMIの国際的な資源を活用できるようになる。SEMIにとっては、ESD Allianceとの協定により、エレクトロニクス製造サプライチェーンに設計分野が加わり、エコシステム全体の整備と連結が進むことになる。
　SEMIのプレジデント兼CEOであるアジット・マノチャ（Ajit Manocha）氏は次のように述べている。
　「設計は半導体のイノベーションと製造の正に基盤となるものです。日々より多くの人に向けて、よりスマート、高速、強力でありながら、より安価なエレクトロニクス製品を提供するために、SEMIの会員組織に必要だった設計分野の会員が、ESD Allianceによって補完されることになります。SEMIが取り組んでいるスマート・トランスポーテーション、スマート・マニュファクチャリング、スマート・データといったアプリケーション・プラットホームに対して、ESD Alliance会員の重要な見識が加わることで、SEMI会員全体の連携やイノベーションが強化されるでしょう」
　ESD Allianceのエグゼクティブ・ディレクターであるボブ・スミス（Bob Smith）氏は次のように述べている。
　「SEMIのイベントやグローバルプラットホームと統合することで、ESD Allianceは、自身が持つ設計の専門技術を世界のエレクトロニクス産業へと拡大することができるようになります。ESD Allianceの会員は、エレクトロニクス製造サプライチェーンの技術およびビジネス上の課題に効率的に取り組むことが可能となり、また全世界に広がる総合的なリソースやプラットホームを利用できるようになります」
　上述のリソースには、SEMIの技術コミュニティや、アドボカシー、国際標準規格開発、環境安全、産業統計、貿易・規制問題対応などの分野での会員活動がある。
　SEMI会員がエレクトロニクスシステムの設計、IP、ファブレスのコミュニティとの連携を効率化する上で、この統合は重要なステップとなる。様々なメリットの中でも特筆すべきなのは、統合により、スマートアプリケーションのホストとなる専用AI（人工知能）チップの開発に必要な業界の調整と連携が確実に強まるということ。
　Synopsysの会長兼共同CEOであるアート・デゲウス（Aart de Geus）博士は次のように述べている。
　「半導体産業は、EDA分野のコンソーシアムであるESD Allianceの設立以降、成長と成熟を遂げました。以前は業界内で分離していた分野の多くが現在では重なり合っており、製造につらなるサプライチェーン全体を、設計に至るまで通して取り組む必要があるのは明らかです。ESD Allianceはシステム設計のエコシステムを代表し、サプライチェーン全体をサポートしようとするSEMIのビジョンに完璧に整合します。国際工業会として世界各地にオフィスを構えるSEMIは、ESD Allianceにその活動地域を最大限に広げる機会を提供します」
　ESD Allianceの会員企業は、世界的リーダーであるARM、Cadence、Mentor、Synopsysを含めて全社が、SEMIの2,000社を超える世界の会員企業に加わるが、ESD AllianceはSEMIの中において自治能力をもつコミュニティとしての立場を維持する。
■ESD Allianceについて
　Electronic System Design Alliance（ESD Alliance）は、半導体設計エコシステムにおいて商品やサービスを提供する企業の国際協会として、業界全体に影響する技術、マーケティング、経済、立法上の諸問題に対処するフォーラムを提供する。ESD Allianceは、世界のエレクトロニクス産業に欠くことのできない分野である半導体設計産業の価値を発信・促進するために、中心的な立場として活動をしている。