日本ゼオン(株)のグループ企業で医療器材事業を展開するゼオンメディカル(株)は、循環器系、消化器系の各種デバイスを製造販売しているが、このたび、結石除去用バルーンカテーテルの新製品「キャスバル™」を上市した。症例に合わせて複数種類のうちから使い分けされていた従来の石採りバルーンと異なり、「キャスバル™」は1本で過拡張症例から通常症例に至るまで対応可能なため、より低侵襲*1かつQOL*2の高い治療が可能となった。
バルーンカテーテルには一般に、血管用(開く、塞ぐ)、食道・大腸用(拡張させる)、胆管用(結石を掻き出す)の3タイプがある。このうち胆管用バルーンは従来、胆管の形状・太さ、結石の大きさ・形状・個数・場所によって十数種類以上の中から医師により選択、使用されていた。 「キャスバル™」は、胆管の過拡張症例から、砂状・泥状の結石を除去する通常症例まで、1本のサイズコントロールで対応可能にした業界初のバルーンカテーテル。最大外径30㎜まで膨らませた場合の実用耐久性を確保しながら、6㎜に縮小させた際でもハリを維持する。過拡張症例に対応できる実用耐久性を持ったバルーンカテーテルは、これまで技術的難易度が高く、製品化されてこなかった。
陥頓リスク*3の少ないバルーンカテーテルで、かつ過拡張症例にも対応できることを求める医師の声も反映して開発された同製品は、「一度の処置で採り切ってほしい」「短時間で終えてほしい」との患者のニーズに応え、より低侵襲かつQOLの高い治療の実現に貢献することが期待される。
*1 侵襲:生体の内部環境の恒常性を乱す可能性がある刺激
*2 QOL:Quality Of Lifeの略。人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念
*3 陥頓リスク:胆管から十二指腸に繋がる出口(乳頭部)に結石が詰まり取り出せなくなる現象。乳頭部は胆管より内径が狭まるため、大型の結石が引っかかる場合がある。胆管の結石除去の処置で使われるデバイスには、バルーンカテーテルの他に結石を砕く「クラッシャーカテーテル」、掴んで引きずり出す「バスケットカテーテル」があるが、いずれも陥頓のリスクを有する。バルーンカテーテルは、縮小させることによりカテーテルを抜き取り可能となる為、陥頓リスクが少ない。
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【メディカル】ゼオンメディカル、結石除去用バルーンカテーテルの新製品上市
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