(株)ブリヂストンは、ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけた世界初のポリマーの名称を、「SUSYM」に決定した。これにより、「SUSYM」の認知拡大を図り、次世代ポリマー素材として応用することを通じて、タイヤ材料としての枠組みを超えた多様な分野への貢献を目指す。
「SUSYM」は、ブリヂストンが2018年5月に発表した、「High Strength Rubber※1」をさらに進化させたもの。従来のゴムよりも高強度・高耐久であるとともに、(1)穴が開きにくい(耐突き刺し性)、(2)治る(再生・修復性)、(3)低温でも強い(低温耐衝撃性)などの性能が飛躍的に向上している。
この3つの性能において、ゴムのしなやかさと樹脂の強さを両立しながら、それぞれの特性を自在に引き出すことができ、タイヤ以外の様々な分野への親和性が高く、実社会との共生(Symbiosis)可能な革新的な材料であると考えられている。また、従来のゴムより高強度・高耐久のため、より少ない材料使用量でタイヤに求められる様々な性能を達成可能であることや、再生可能であるため、環境調和(Symphony)型の新素材として持続可能な社会(Sustainable)へ貢献していくことが期待される。
「SUSYM」の名称は、これらの期待を込めて、Sustain(持続させる)、Symphony(調和)、Symbiosis(共生)よりつくられている。この素材が社会において期待されることと結び付けた名称とすることで、認知拡大を図っていく。
ブリヂストンは、今後この独自技術の成果を様々な分野、多くの企業・団体と連携しながら研究・開発をすすめ、「SUSYM」の素材としての無限の可能性を拡げていきたいと考えている。
10月23日から始まる「第46回東京モーターショー2019」では、「SUSYM」の様々な機能や素材を活かしたコンセプトタイヤを展示し、プレスカンファレンスでは「SUSYM」の概要説明を行う。この機会を通じ、より多くの方々に「SUSYM」を理解していただき、更なるイノベーションの促進につなげていきたい考え。
「SUSYM」の特徴の概要は以下の通り。
(1)穴が開きにくい(耐突き刺し性)
局所的に強い力を加えて変形させても壊れにくく、高強度なゴム材料や、タイヤ材料以外にも様々な用途が期待される。
(2)治る(再生・修復性)
穴が開いてしまった場合でも、熱を加えると簡単に穴を治すことが可能。一度壊れても何度でも再生可能な新たなゴム素材としての活用が期待される。
(3)低温でも強い(低温耐衝撃性)
従来のゴムは、低温環境下では硬く脆くなってしまうため、叩くと簡単に壊れてしまう。一方、「SUSYM」は低温でもしなやかさを保つことができるため、叩いても壊れにくくなっている。これにより、「SUSYM」は低温で使用される素材として役立つ可能性がある。
ブリヂストンは、CSR体系「Our Way to Serve」の中で、モビリティ、1人ひとりの生活、環境を重点的に貢献していく領域としている。イノベーションとソリューションを通じて、これらの領域において顧客価値・社会価値を創出していき、人々がより快適に移動し、生活し、働きそして楽しむことに貢献していく。
※1 高分子複合体の新合成技術により世界初のポリマー開発に成功
【ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけたポリマー】ブリヂストン、名称を「SUSYM(サシム)」に決定
【IJ】SCREENグラフィックソリューションズの「Truepress Jet520シリーズ」および OEMパートナーモデルが合計出荷台数1,500台達成、1,500台目を米国Access Direct Mail社に納入
(株)SCREENグラフィックソリューションズが開発・製造・販売するロール式高速フルカラーインクジェット(IJ)印刷機「Truepress Jet520シリーズ」(OEMパートナーモデルを含む)の出荷実績が、このたび世界で累計1,500台を超え、記念すべき1,500台目が米国のAccess Direct Mail社に導入される。
記念すべき1,500台目の納入先となる Access Direct Mail社
左からSCREEN GP AmericasのKen Ingram社長、Access Direct Mail社のDori Giglio社長、Michael Bridger副社長、SCREEN GP AmericasのLeo Wiltgen地区営業マネージャー
SCREENグラフィックソリューションズは、顧客一人一人に合わせた高付加価値印刷物の需要の高まりに応えるため、長年培ってきたプリプレス技術と最新のIJプリント技術を融合させた、フルカラー対応のバリアブルIJ印刷機 「Truepress Jet520」を業界に先駆けて2006年に発売。以来、同シリーズのラインアップやソリューションを拡充し、その優れた生産性や印刷品質などにより、トランザクション印刷のフルカラー・オンデマンド化を牽引し、バリアブル印刷市場の拡大に貢献してきた。その結果、「Truepress Jet520シリーズ」は、リリースから2019年10月までの13年間で、累計1,500台の出荷実績(OEMパートナーモデルを含む)を達成することとなった。なお、本件の達成には、OEMパートナーを通じた販売も大きく寄与している。そして、このたび記念すべき1,500台目が、米国・南東部でダイレクトマーケティングおよびクロスメディアマーケティングソリューションのワンストップサービスを提供するAccess Direct Mail社に導入される。同社は、これまで培ってきた高速・高品質なIJ印刷の技術と、生産ラインの自動化や顧客の課題解決を実現するソリューションの開発により、新たな印刷マーケットを切り開いていくとともに、印刷業界の発展に貢献していく。
SCREENグラフィックソリューションズの 柿田高徳代表取締役社⻑執⾏役員は次のようにコメントしている。
「Truepress Jet520」の発売当時、個人向けの通知物はモノクロプリンターによる追い刷りが主流でしたが、「Truepress Jet520シリーズ」は今日に至るまで、One to Oneマーケティングの成長とトランザクション媒体のフルカラー・オンデマンド化とともに進化を続けてきました。その間、世界中の多くの革新的企業にご採用いただき、導入ユーザーの皆さまが印刷物・印刷業の新たな付加価値創造に取り組む過程を、最前線でご支援できました。当社も微力ながら、その挑戦に貢献できたことを誇りに思います。また、アップグレードや増設などのお声掛けが非常に多く、既設機についても発売当初から生産機としてご活用いただくなど、お客さまとの長期間の信頼関係によって当社のデジタル印刷事業は成長してきました。今後も、カスタマーファーストのマインドを大切に、開発・製造・営業・マーケティング・サービス一丸となり、デジタル印刷技術を核に、印刷業界の発展に真摯に取り組んでいきます。
【自動運転技術】三菱電機、自動運転実証実験車「xAUTO」を第46回東京モーターショー2019に出展
三菱電機(株)は、高精度な地図情報が整備されていない一般道での走行や屋内・屋外を問わない無人での自動駐車など、一般道のさまざまなシーンに適用できる新たな自動運転技術を開発し、自動運転実証実験車「xAUTO(エックスオート)」に搭載した。同社は、本車両を「第46回東京モーターショー2019」(10月24日~11月4日、於:東京ビッグサイト)に出展する。
三菱電機はこれまで、ミリ波レーダーやカメラなどを用いた周辺センシング技術を活用する「自律型走行技術」と、準天頂衛星システムからのセンチメータ級測位補強サービス(以下CLAS※1)信号と高精度3次元地図を活用する「インフラ型走行技術」を組み合わせた自動運転システムを開発し、高速道路※2での自動運転の実証実験を行ってきた。今回、高精度な地図情報がない一般道での走行や屋内・屋外を問わない無人での駐車を実現する自動運転技術を開発し、一般道※3での自動運転も含めた実証実験を実施している。
今後、同社が保有する鉄道や空港向け管制技術や独自のAI技術「Maisart®(マイサート)※4」などを組み合わせることで、レベル4自動運転(特定条件下における完全自動運転)の実現を目指す。
※1 Centimeter Level Augmentation Service
※2 山陽自動車道、道央自動車道、新東名高速道路、東名高速道路、首都高速道路、常磐自動車道
※3 都内の臨海副都心地域、つくば市内
※4 Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technologyの略。全ての機器をより賢くすることを目指した当社のAI技術ブランド
今回開発した「xAUTO」搭載技術の主な特長は次の通り。
(1)「ローカルマップ」により、高精度な地図情報が無くても自動運転を実現
・CLAS信号を用いて走行時の自車位置を取得し、過去に走行したルートを「ローカルマップ」としてセンチメータ級の精度で正確に記録
・記録した「ローカルマップ」に沿って自動走行制御を行うことにより、高精度な地図情報が整備されていない場所でも自動運転を実現
(2)正確な自車位置と最適な走行ルートにより、屋内・屋外で無人自動駐車を実現
・駐車位置や運行計画をもとに最適な走行ルートを生成
・屋外ではCLAS信号、屋内では駐車場のランドマークにより正確に自車位置を取得
・走行ルートに沿った自動走行制御により、屋内・屋外を問わず、無人自動バレー駐車を実現
(3)独自のセンサーフュージョン技術により、周辺状況を即時かつ高精度に認識
・ミリ波レーダーやカメラなど複数センサー情報を、処理時間のばらつきを考慮して組み合わせるセンサーフュージョン技術を開発
・車載センサーの数が増えても、即時かつ高精度に周辺状況を認識
【自動車室内VOC低減】日本抗菌総合研究所/古河産業/林テレンプ、高性能VOC低減剤Vocmetz開発
(株)日本抗菌総合研究所は、古河電工グループの古河産業(株)、自動車内装部品のトータルサプライヤーの林テレンプ(株)の3社で自動車室内用「高性能VOC(Volatile Organic Compounds : 揮発性有機化合物)低減剤Vocmetz」の開発に成功した。Vocmetzは、これまで困難とされていた極低濃度域までの低級アルデビド(特にアセトアルデヒド)の除去が可能であり、自動車室内のVOC低減を実現した。
Vocmetzは、従来製品に対し分解能力が約5倍と高いため、少ない塗布量で効果を発揮することができる。また、成分も食品添加物で安全。加えて、水溶液は透明で、自動車内装部品の表面に散布した場合、部品の外観を損なうことがないのが特長。
【顔料】メルクパフォーマンスマテリアルズ、シリカフレーク生産能力を拡張
<2019年10月8日、ドイツ・ダルムシュタット発>Merck (メルク) は、エフェクト顔料のグローバルの生産能力を大幅に拡大し、製造プロセスの最適化を開始した。メルクの世界最大の顔料生産施設があるゲルンスハイム工場(ドイツ・ダルムシュタット)では約750人の従業員が顔料ビジネスに従事している。今回の投資により、あらゆる種類のユニークなエフェクト顔料の特殊基板である、二酸化ケイ素フレークの生産能力を大幅に拡大する。2019年9月末、ゲルンスハイムにて新しい生産施設の上棟式が行われた。新生産施設に投じられた2800万ユーロの投資は、メルクの顔料事業 の拡大を目的とする取り組みの一環。
「この投資は、私たちがお客様のニーズによりよくお応えし、プレミアム品質のエフェクト顔料を供給する世界有数のメーカーとしての役割強化を目的としています」とメルクのサーフェスソリューションズCEOのドロテア・ヴェンツェル氏は述べている。「2019年はメルクの顔料事業60周年に当たります。この特殊市場におけるこれまでの当社の歩みを振り返るとともに、この歴史に今またすばらしい新たな一章を付け加えることを、非常に楽しみにしています」。
メルクが展開する自動車塗装や化粧品のためのシリカベースのColorstream®やXirona®の製品構成は非常に好評で、近年のマーケットトレンドに完全に沿ったものである。これらの顔料は、見る角度によってユニークなカラーシフトを提供し、コーティングや化粧品メーカーの美しいフォーミュレーション開発を可能にする。建設中の新施設の完成により、シリカ基板の生産を大幅に増やし、これら需要の高いエフェクト顔料の供給能力を持続可能なレベルで拡大する。新しい生産ラインは2021年の後半に操業を始める予定。
サーフェスソリューションズ・ビジネスユニットはメルクのパフォーマンスマテリアルズ部門に属する。パフォーマンスマテリアルズは、メルクの特殊化学製品事業から成り、ディスプレイ、コンピュータチップおよびあらゆる製品を塗装・保護するサーフェス用途のためのソリューションを提供している。パフォーマンスマテリアルズ部門は、電子産業に戦略的重点を置き自動車や化粧品産業の魅力的な成長市場に貢献している。
【IJ】AGFAのJeti Mira LED、SGIA EXPO 2019で「プロダクト・オブ・ザ・イヤー」獲得
AGFA社(ベルギー・モーツェル)はthe Specialty Graphic Imaging Association(以下SGIA)でプロダクト・オブ・ザ・イヤーを受賞した。SGIAのプロダクト・オブ・ザ・イヤーは先進的かつ特色のある最新機器、ソフトウェア、消耗品に与えられる賞として認知されており、今回受賞したのはAGFAのワイドフォーマットUVインクジェット(IJ)プリンタ「Jeti Mira 2732 HS LM LED」(ハイエンドUVフラットベット部門)。 Jeti Mira は独自開発された高濃度UVインクと最新の高解像度ヘッドを搭載し、最高水準の印刷品質と最高248m2/時の高生産性を備えたフラットベッドIJプリンタ。顔料濃度の高いUVインク(6色+白)を搭載し、最新のプリントヘッドとLED UV硬化技術を採用。
「当社が独自で開発したUV LEDインクは、最小限のインク量で、高濃度な印刷が可能なため、生産性を高め、省電力・インクコストの削減が期待できます。Jeti Miraは最大の投資効果を得ることができるインクジェットプリンタです」とAGFA社のマーケティングディレクターであるデボラ・ハッチソン氏は述べている。
さらに、Jeti Miraはホワイトインクにより、レザー、木目、油絵などの凹凸表現を可能とする「厚盛印刷」やクリアインクで奥行のある3D表現やアニメーション表現を実現する「3Dレンズ印刷」など付加価値の高い印刷物を製作する特殊印刷機能が欧米でも高い評価を受けている。
日本においても、「厚盛印刷」「3D レンズ印刷」は高い評価を受け、サインディスプレイ商品の差別化を目指す多くの制作・出力会社で導入され、高付加価値印刷に貢献している。
【プラスチック等資源循環システム】王子HDと双日プラネット、パルプ原料の国産プラスチック製造で環境省の委託事業に採択
王子ホールディングス(株)のバイオプラスチック(ポリ乳酸、ポリエチレン)開発事業は、双日プラネット(株)と共に、環境省が行なうCO2排出抑制およびプラスチック資源循環システムの構築を目的とする委託事業「令和元年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」(※1)に採択された。
従来の石油を原料とするプラスチックを、持続可能なバイオマスを原料としたバイオプラスチックに置き換えることで、大気中へのCO2排出を抑制し、地球温暖化防止に貢献することを目指す。一般的なバイオプラスチックは主にサトウキビやトウモロコシなどの可食原料から製造されるが、同事業では非可食である樹木由来のパルプを原料としたポリ乳酸やポリエチレンの製造を実証する。これにより、食品原材料との競合をも無くした非可食バイオプラスチックの普及を目指す。
双日プラネットは、既に2012年よりBraskem社(ブラジル)製のグリーンポリエチレン(サトウキビ由来)の販売・普及活動を行っている。今後、王子ホールディングスではパルプからのポリ乳酸、ポリエチレンの製造検討を、双日プラネットでは既存のバイオプラスチック販売網を活かし、本実証事業で製造したバイオプラスチックのユーザー側での利用性やリサイクル性の確認、LCA解析、マーケティングなどを行う予定。
※1:「プラスチック資源循環戦略」(令和元年5月31日決定)に基づく環境省の取り組み。従来の石油由来プラスチックを再生可能な資源由来のプラスチックへと転換することを目的として、社会実装にかかる技術開発やリサイクルプロセス構築の実証を行うもの。
環境省再生・資源循環局総務課リサイクル推進室所管(https://www.env.go.jp/press/107210.html)
【プラスチック】Stajvelo、完全樹脂製EバイクにソルベイのXencor LFT採用
<2019年10月23日、イタリア・ボラーテ発>ソルベイは、Stajvelo社が高機能の射出成形複合材であるソルベイのXencor(tm)LFTコンパウンドを採用し、世界初のEバイクを開発したと発表した。同バイクはモビリティ、快適性、デザイン性を備えた、革新的でアーバンなEバイクで、ソルベイは、K2019のホール6、ブースC61でこのEバイクを展示している。 モナコに本社を置くStajvelo社は、厳格な構造的、機械的、審美的要件に応える、ソルベイの長繊維Xencor(tm)ポリアリールアミド(PARA)コンパウンドを採用した。Xencor(tm)PARAは、ソルベイのIxef(r)PARAコンパウンドの性能を大幅に拡大させた製品で、医療機器、自動車の外装、また美観に優れた表面仕上げが求められる小型の器具類などで金属に代わる素材として広く利用されている。
「StajveloのEバイクは、フォルムと機能のバランスが非常に高いレベルで取られた設計になっています。それに貢献しているのが、Xencor PARA独自の特性です」と、Stajvelo社の創業者である、CEOのThierry Manni氏は述べている。「樹脂分野におけるソルベイの専門知識と加工技術のサポートを受け、当社は最適な機能を統合し、効率的な組み立て作業による製造工程を設計できました」。
ソルベイのXencor(tm)LFT複合材は、樹脂とグレードに応じて、一般的に30~60%の繊維強化材を含有している。この繊維は、最終成形部品内に絡み合った三次元繊維骨格を形成することにより、重要な構造要素になっている。強靭な繊維骨格により、従来の高充填短繊維強化ポリマーに比べ、非常に優れた構造特性と寸法安定性が得られる。
Xencor(tm)LFTコンパウンドは、短繊維熱可塑性プラスチック(SFT)と高機能コンポジット材における、価格と性能のギャップを埋めることを意図している。同材料は、強度が高く、優れた耐衝突衝撃性能、耐熱性、非常に低いクリープ、美しい表面外観、容易な加工特性などが特徴。
「Xencorコンパウンドは、SFT製品では得られない高機能を必要とするか、または重量面や部品あたりのコスト面から金属が適さない部分構造用途で、金属に代わる材料になります」と、ソルベイのSpecialty Polymers Global Business UnitのXencor LFTコンパウンド担当グローバルマネージャー、Eric Martin氏は述べている。
ソルベイのXencor(tm)LFTコンパウンドは、自動車、最先端交通機関、建設、産業、コンシューマー、スポーツ、レジャーなど、さまざまな市場の部分構造用途に適している。
【環境優良工場表彰】JFPI、11月19日午後6時より「環境対応事例パネルディスカッション」開催
(一社)日本印刷産業連合会(JFPI)では、経済産業省の後援を受け、JFPI傘下団体を対象に、環境問題に対して優れた取り組みを行っている工場を表彰する「環境優良工場表彰」を実施しており、2020年度は19回目を迎える。そこで、「環境優良工場表彰」の意義を広く印刷業界の方々に知っていただくため、来る11月19日(火)午後6時~7時半まで、日本印刷会館2階会議室において、これまでに受賞した企業・工場の担当者を招き、環境対応への取組み事例を中心にしたパネルディスカッションを開催する。また、第19回環境優良工場表彰への応募のための説明も併せて行う。
開催日時:2019年11月19日(火)18:00~19:30(17:30より受付開始)
会 場:日本印刷会館2階会議室(東京都中央区新富町1-16-8)
参 加 費:無 料(ただし、日本印刷産業連合会傘下団体の組合員・会員が対象)
定 員:60名(定員に達し次第締め切る)
内 容:(1)パネルディスカッション
過去受賞工場4社による取り組み内容説明、「応募動機」「きっかけ」「活動のポイント」「良かったこと」「苦労したこと」「従業員の反応」「今後の展開」
パネリスト
光写真印刷(株)代表取締役社長 惟村唯博 氏:第18回会長賞(一般部門)
東京加工紙(株)代表取締役 吉原宗彦 氏:第17回会長賞(一般部門)
(株)文伸 工場長 有馬靖了 氏:第18回奨励賞(小規模事業所部門)
(有)篠原紙工 代表取締役 篠原慶丞 氏:第18回会長賞(小規模事業所部門)
(2)応募票の書き方説明
申込方法:JFPIの下記HPから
https://www.jfpi.or.jp/topics/detail/id=4482
申込締切:2019年11月15日(金)、ただし定員60名に達し次第、締め切る。
【メッセナゴヤ2019】ヘンケルジャパン、「漏れ」に対応する嫌気性フランジシール剤を初展示
ヘンケルジャパン(株)ジェネラルマニュファクチャリングメンテナンス事業部は、「メッセナゴヤ2019」(会期:2019 年11月6日~9日 会場:ポートメッセなごや)にて流体用・気体用設備の「漏れ」に対応する嫌気性フランジシール剤を含む最新のテクノロジーを展示・デモンストレーションする。ブースは、3D-316(第3展示館)。
主な展示製品は次の通り。
(1)嫌気性フランジシール剤「LOCTITE 518 PEN」(新製品)
LOCTITE 518 PENは、2019年6月に国内上市を発表した新製品。塗布しやすさに着目した、塗布用ローラー付きの新パッケージで、作業性を格段に向上させる。また、嫌気性フランジシール剤LOCTITE 518 NEWをムダなく、均一に塗布することが可能。
使用箇所例:剛性を必要とする鋳造フランジ面(ポンプ/ギアボックス/配管など)
(2)漏れ防止以外のソリューションも幅広く展示(デモ有)
◎ロックタイト(LOCTITE)ねじゆるみ止め用接着剤/はめ合い用接着剤/金属配管シール剤/フランジシール剤/瞬間接着剤/構造用接着剤 他
*塗布装置を用いたデモンストレーションを随時開催予定
◎ボンデライト(BONDERITE) 洗浄・機能性コーティングソリューション(一部参考展示)
アルミ用プラズマ電解処理・エレクトロセラミックコーティング/アルミ用アルマイト封孔剤・助剤/鉄・SUS・アルミ用ピックリング剤など
なお、11月7日(木)14:15〜15:00まで、交流センター1Fエントランスホール特設会場C会場にて、「ロックタイトで漏れの課題を解決! ―液状ガスケットの特長と利点」というテーマで、ヘンケルジャパン(株)ジェネラルマニュファクチャリングメンテナンス事業部の村木恒仁氏がプレゼンテーションを行う。
【FPC】OKI電線、東京大学木曽観測所「トモエゴゼン」へFPC納入
OKIグループの電線事業会社OKI電線(社長:小林一成、本社:神奈川県川崎市)は、東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター木曽観測所(所在地:長野県木曽郡、以下 東京大学木曽観測所)へ、新観測装置「トモエゴゼン」の超高感度CMOSセンサーに接続されるフレキシブル基板注1(以下、FPC)を納入した。「トモエゴゼン」は2019年10月より本格稼働を開始している。
新観測装置「トモエゴゼン」は、短時間に変わり行く宇宙の姿を探求することを目的とした、世界初の天文用広視野動画カメラと人工知能ソフトウェア群からなる観測統合システム。その広視野動画カメラには超高感度CMOSセンサーが合計84台搭載され、それぞれのCMOSセンサーに対し、脱着可能な接続構造を持ちつつ狭小スペースで折り曲げ可能な配線材が必要となる。
OKI電線は、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発する人工衛星用の長尺FPCをはじめとし、東京大学アタカマ天文台(チリ共和国アタカマ高原)の口径6.5m世界最高水準の大型赤外望遠鏡に長尺高速伝送FPCを提供するなど高信頼性が必要となる宇宙航空分野に実績があることから「トモエゴゼン」の開発にも協力してきた。FPCの最大の特長は薄さと柔らかさで、曲げてもその電気特性は変化せず、性能を発揮できるというメリットがある。OKI電線は超高感度CMOSセンサーの配線材として、この特性を活かした脱着可能な接続構造のFPCを提案し、採用された。
宇宙のさまざまな現象を動画で撮影できる「トモエゴゼン」の本格稼動により、爆発直後の超新星や地球に衝突する恐れのある小惑星など、科学的に重要な天体現象が多く含まれる未知なる宇宙の解明に貢献することが期待される。
OKI電線はこれからも、宇宙航空分野をはじめ、様々なニーズに対応した商品開発に積極的に取り組んでいく。「トモエゴゼン」が搭載された105cmシュミット望遠鏡
「トモエゴゼン」の超高感度CMOSセンサーとセンサーに接続されたフレキシブル基板
センサーに接続されたフレキシブル基板(*画像は東京大学木曽観測所提供)
【用語解説】
注1:フレキシブル基板
フレキシブルプリント配線板のことで、FPC(Flexible printed circuits)とも呼ばれる。
【リリース関連リンク】
「東京大学木曽観測所トモエゴゼンの観測運用の開始について」
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/NEWS/pr20190930/pr20190930.html
※ 沖電気工業株式会社および沖電線株式会社は、通称を「OKI」「OKI電線」とします。
※ その他、本文に記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。
【2019年版世界食料農業白書】FAO駐日連絡事務所、食料ロス・廃棄削減への大きな進展がSDGs達成の鍵

2019年版世界食料農業白書は、農場での処理や保管、輸送を含め、収穫してから小売に達する前までの段階で、世界の食料の約14%が失われてると報告している。ただし食料ロスは、同じ商品群やサプライチェーンの段階でも、地域によって大きなばらつきがある。
報告書は、サプライチェーンの各段階での食料ロスを慎重に測定する必要性を強調し、新しい方法論を提供している。これにより、サプライチェーン全体を通して食料が損なわれる主要な箇所を特定しやすくなる。これらの箇所は、食料ロスが最大規模であり、食料安全保障と経済的側面へ最大の影響を及ぼし、削減のための適切な対策を特定すべき箇所である。報告書はまた、保存期間の制限、外観の美的基準を満たす食品を求める消費者行動、食料廃棄削減へのインセンティブの低さに関連する、小売・消費レベルでの食料廃棄削減の重要性も指摘している。
屈冬玉FAO事務局長は本書の序文で、「食料ロス・廃棄削減への前進の努力は、その取り組みが問題の確固たる理解に基づいている場合にのみ、真に効果的です」と述べている。屈事務局長はまた、「世界中で8億2000万人以上が毎日空腹をかかえている時に、どうして我々は食べ物を捨てることができるのでしょうか」と問いかけている。
報告書は、食品間、サプライチェーンの各段階、地域毎でのロス・廃棄の割合に、大きなばらつきがあるとし、割合が高い箇所に削減の大きな可能性があることを示唆している。
一般に食料ロス・廃棄は、穀物・豆類よりも果物・野菜の方がサプライチェーンの全段階で多くなるが、例外は農場と東アジア・東南アジアにおける輸送段階。
低所得国では、先進国に比べて整備が遅れているインフラに起因し、新鮮な果物や野菜に食料ロスが多く見られる。実際、多くの低所得国では、冷蔵倉庫などの貯蔵施設が整っていないため、保管中に大量の食料を損失してしまう。
ほとんどの高所得国では冷蔵倉庫を含めた適切な保管施設がサプライチェーン全体で利用可能な状況であるにもかかわらず、技術的な故障や温度・湿度の管理不備、過剰在庫のために、やはり保管段階で食料ロスが発生する。
同報告書では、食料ロスの決定的な箇所を特定するために、FAOが実施した多くのケーススタディによる結果も報告している。それらの結果では、あらゆる種類の食品において最も頻繁に特定される食料ロスの決定的箇所は、収穫の段階であると指摘している。農場での保管中の食料ロスの主な原因としては、不十分な貯蔵施設や処理方法も挙げられている。果物や根茎・塊茎作物では、包装や輸送も食料ロス発生の決定的な原因となる。
このような調査結果は、食料ロス削減のためにどのような介入が可能かを特定する際に、貴重な指針を提供する。
報告書は各国に対して、あらゆる段階での食料ロス・廃棄の根本原因に取り組む努力を強化するよう促し、食料ロス・廃棄を減らすための政策と介入のための指針を提示している。
食料ロス・廃棄削減には、一般的に費用がかかり、農家・供給業者・消費者は、利益が費用を上回る場合にのみ、必要な措置を講じる。したがって、サプライチェーン上の様々な利害関係者のインセンティブを改善するためには、純利益を増やすか、あるいは既存の純利益に関するより良い情報を提供できるような選択肢を見つけ出す必要がある。
利害関係者は、食料ロス・廃棄削減の利点を認識していても、行動を実行に移すことを妨げる制約に直面することがある。例えば、開発途上国の民間セクター、特に小規模農家は、財政的支援がなければ、そのような行動の実践にかかる高価な初期費用を負担できない可能性がある。食料ロスに関する詳細な情報がない場合には、借り入れをしやすくするという選択肢もある。
この報告書は、政府がより効率的な介入のための制約や妥協策を分析する上でも役立つ。例えば、食料ロス・廃棄を減らすことの利点について供給者と消費者に意識啓発を行い、様々な形の行動や政策を通じて供給者と消費者の意思決定に影響を与えることができる。
しかし報告書は、食料ロス・廃棄を減らすことを目的とした政策措置には一貫性が必要であり、既存の行動や取り組みの説明責任を果たすために、介入策に対する効果的なモニタリングと評価が組み込まれるべきであると強調している。
【バイオ3Dプリンタ】サイフューズ、丸紅とのグローバル展開に関する業務提携契約締結

「S-PIKE®」は、再生・細胞医療分野の研究開発促進および基盤技術*1普及を拡大することを目的として、サイフューズが独自に開発した新技術方式を搭載した新型のバイオ3Dプリンタ*2。サイフューズは、丸紅との提携を通じて、「S-PIKE®」 を海外市場へ投入することにより、すでに国内外の研究開発現場で幅広いユーザーに使用されているバイオ3Dプリンタ「Regenova®」(製品名:レジェノバ)*3とともに、さらなる基盤技術の普及拡大を図る。
今後、基盤技術のグローバル展開を拡大していくことで、再生・細胞医療分野における様々な研究開発の促進および新たなシーズの開拓が見込まれ、現在の細胞製品事業が大きく促進することが見込まれる。
サイフューズは、今回の丸紅との業務提携を通じ、丸紅の海外拠点等を活かした販売力や調達力、販売促進に関する提案ノウハウや経験、総合商社としての幅広いネットワークを活かし、販売・サポート活動におけるシナジーを最大化し、今後さらなる拡大が期待される再生・ 細胞医療市場での事業構築や新たな仕組みづくり等に取り組んでいく。
さらに今後は、3D組織再生技術の実用化を通じて、国内のみならずグローバル展開を進めることにより、先端医療の開発現場へ新たな価値を提案するとともに、新たな産業を創出し、医療の飛躍的進歩に貢献していく。
*2 1本の微細な針にスフェロイドを配列・固定し、その複数のスフェロイドが固定された針を整列させることで自由度の高い立体的な組織を作製可能とする、サイフューズが独自に発明・開発した新たな三次元細胞積層技術を搭載した新型バイオ3Dプリンタ「S-PIKE®」を日本国内における販売パートナーであるシスメックス(株)と共同販売している。
*3 澁谷工業(株)と共同開発・製品化し、国内外で販売している。
【ラミネートチューブ】ライオンとDNP、香川県の新工場でハミガキの一貫生産を実現
ライオン(株)は、大日本印刷(株)(以下DNP)と協業し、ラミネートチューブの生産からハミガキ内容物の生産、充填、包装、そして段ボール箱への箱詰めまでの工程を1カ所で行う、ハミガキの一貫生産を実現する。一貫生産を行うために、2021年中の稼働を予定している新ハミガキ工場(香川県坂出市)の建設にあわせて、隣接地にDNPがハミガキ用ラミネートチューブの製造設備(以下チューブ工場(※))を設置する。
同一敷地内でハミガキとチューブの生産工場を隣接させて稼働させることによって、当社では初めてのハミガキの一貫生産となり、生産性向上を図る。また、最新鋭の製造設備を導入することで、生産能力の増強を行う。
※チューブ工場:建屋は当社が建設を行い、チューブの製造設備の設置と運営はDNPが行う。
■背景
オーラルケア市場は、国内での健康志向の高まりに加え、高品質な日本製品に信頼を寄せる海外顧客の支持を得て、需要拡大が続いている。今後さらに拡大が見込まれる国内外のハミガキの需要拡大に対応するために、当社として初めて、同一敷地内にハミガキとラミネートチューブの生産工場を建設し、ハミガキの一貫生産を行う。
■一貫生産がもたらす効果
一貫生産を行うことにより、資材調達の効率化、生産のスピードアップを可能にする。
■設備の特徴
<効率的な生産>
・最新鋭の製造設備を導入することで、ラミネートチューブのハミガキ工場への自動搬入から、内容物充填工程までの無人化(日本初)を実現する。
・ハミガキ製造設備及び内容物充填機の自動洗浄による作業の効率化を図る。
・チューブ運搬箱のIT管理によってハミガキ工場とチューブ工場相互の資材の需要、供給データの共有化を行い、タイムリーな生産体制を構築する。
<品質管理の徹底>
・適正製造基準(GMP)対応による品質管理の徹底を図る。
<省エネルギー化>
・工場敷地内厚生棟の屋上に太陽光パネル設置し、再生エネルギーの活用と省エネルギーを行う。
■チューブ工場の概要
(1) 建設予定地:香川県坂出市番の州22-1(ライオンケミカル株式会社オレオケミカル事業所内)
(2) 建築面積:4,900m2
(3) 着工時期(予定):2019年中
(4) 稼働開始(予定):2021年中
【Printing】Kodak、SONORA導入によるコスト削減額試算ツール「SONORA Plate Savings Estimator」開発
新しいテクノロジーへの投資は、企業が業務の改善策を検討する際に最も重要となる決定要因の1つ。KODAK SONORAプロセスフリープレートへの移行は、多くの印刷会社にとってプラスの影響を及ぼし、業務の効率性を飛躍的に高め、ROI(投資利益率)を向上させる投資。
Kodakは、プロセスフリープレートへの移行を検討している印刷会社を支援すべく「SONORA Plate Savings Estimator(SONORA Plate セービングスエスティメーター)」を開発した。この新しいオンラインツールを利用することで、印刷会社は、有処理プレートからKODAK SONORAプロセスフリープレートへ切り替えた際に削減できるコストをシミュレーションできる。
Eastman Kodakのプリントシステムズ事業部バイスプレジデントのEvandro Matteucci氏は次のように述べている。
「KODAK SONORAプロセスフリープレートは、すでに世界中で4,000社以上の印刷会社様に導入されています。このような企業は、コストや時間を削減しながらも環境への負荷も軽減しています。印刷会社様にとって、業務フローの部分的な変更や非効率な設備の入れ替えには、費用がかかることを我々はよく理解しています。KODAK SONORAプロセスフリープレートへの移行は、コストを削減するための迅速で、しかも簡便なコスト削減手法であり、持続可能性を高める一歩となります。この移行の意思決定をする際にSavings Estimatorを活用することで、情報不足による推計に時間を割く必要がなくなります」
従来の刷版現像工程では、CTP機器で画像を露光してから、水、エネルギー、化学薬品を使用した後に印刷工程に渡していた。この現像工程にはバラツキが発生しやすく、印刷現場での作業効率やコストに影響を与えていた。しかし、SONORA Plate Savings Estimatorを使用すると、印刷会社様の業務フローにSONORAプレートを導入した場合のコスト削減額を、顧客ごとにカスタマイズして見積もることが可能。また、SONORA Plate Savings Estimatorの操作は迅速、簡素化されており、印刷会社はプレートの使用量、使用中の有処理プレートの種類、プレート価格、事業所の所在地といった情報を入力するだけで、瞬時に削減できるコストの合計額を見積もり、複数の現地通貨で表示する。
Savings Estimatorの利用のみならず、印刷会社ごとの特有の工程、費用、機器をベースにした総合的な見積もりが必要な場合は、こちらからリクエストすると、該当地域の営業担当者より詳細説明を受けることができる。
SONORAプロセスフリープレートを導入することで、電力・水・化学薬品のコスト削減以外に以下のようなメリットを享受できる。
・刷版自動現機が不要になり、フリースペースの拡大が図れる
・現像工程に係るバラツキがなくなり、印刷の安定性と品質が向上する
・プレートを印刷現場に迅速に提供し、特にプレートの再出力を排除できる
・不要な機器が減ることで、メンテナンス費用とダウンタイムを削減できる
・よりクリーンで安全な作業環境を提供する
・環境負荷を削減する
Kodakは、プロセスフリーテクノロジーを進化させるべく投資を継続してきた結果として、画期的なシリーズである「SONORA」プロセスフリープレートの市場導入を果たした。「SONORA」プレートにより、大手印刷会社および高性能のプレートを要する高度な印刷アプリケーションを生産している印刷会社などの最大80%がプロセスフリープレートへと移行することが現実的に可能となっている。「SONORA XP」プレートと比較すると、SONORA X/CX/CX2プレートでは、耐刷性(特にUVアプリケーション)、イメージングスピードの高速化、耐傷性の強化という3つの点が大きく改善されている。世界中でKODAK SONORAプロセスフリープレートの普及が加速しており、2019年末までにはKodakが販売するプレートの3分の1近くがプロセスフリープレートになると予測される。
【NCVプロジェクト】コンセプトカーの走行シーン、宇部興産専用道路で撮影
宇部興産(株)は、環境省のNCV(Nano Cellulose Vehicle)プロジェクトに参画し、植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)とナイロンによる自動車部品に適した複合材料の組成検討や材料の試作・提供を行ってきた。このたび、CNF部品を使用したコンセプトカーが完成し、走行シーンのプロモーションビデオを「宇部興産専用道路」(山口県宇部市~美祢市、全長31.94km)で撮影した。プロモーションビデオは第46回東京モーターショー(東京ビッグサイト、11月4日まで)の環境省ブースで上映されるほか、YouTubeの環境省公式チャンネルでも公開されている。
NCVプロジェクトは2016年に京都大学、(一社)産業環境管理協会など20以上の研究機関、企業などが参加して発足。植物由来の素材であり、鋼鉄の5分の1の軽さで、かつ5倍の強度を持つCNFを活用した材料(複合樹脂等)で自動車を軽量化し、CO2排出量を削減することを目標に推進してきた。自動車へのCNFの自動車部品への応用は日本が世界に誇るフラッグシップ技術。この中で宇部興産はナイロンの国内トップメーカーとしての技術と知見を生かし、車両のインテークマニホールドの材料としてCNFとナイロンの複合材料の組成検討と試作・提供を担当した。
コンセプトカーの走行シーンを撮影した宇部興産専用道路は、「日本一長い私道」として知られる宇部興産のセメント製造設備の一部。映像では、植物由来の材料がふんだんに使われた自動車が緑豊かな風景の中をさっそうと走り抜けるイメージが表現されている。
宇部興産は、今年度から3カ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」の基本方針の1つとして「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を掲げている。これからもGHG排出量削減や、環境負荷低減に貢献する新たな技術・製品の創出と拡大を目指す。
【紫外線硬化樹脂】三菱ケミカル、蘭Atum3D社と3Dプリンティング向け「ダイヤビーム」を共同開発
三菱ケミカル(株)は、3DプリンターメーカーであるAtum3D(本社:オランダ・ゴーダ、社長:Tristram Budel、以下「Atum社」)と、同社の光造形3Dプリンターで造形可能な紫外線硬化樹脂「ダイヤビーム(TM)」(以下「ダイヤビーム」の共同開発に成功した。
ダイヤビームの開発グレードは、2019年11月19日~22日にドイツ・フランクフルトで開催されるヨーロッパ最大の3Dプリンター展示会「Formnext2019」に出展する予定。
Atum社は、光硬化タイプの液体樹脂に紫外線を当てることで樹脂を硬化させて造形するDLP方式(Digital Light Processing)のオープン材料型3Dプリンターにおいて、欧州で確立された顧客基盤と技術を保有している。同社は、保有するプリンタ・ソフトウェアの製造技術と蓄積されたノウハウにより、特定の原料による造形のみではなく、顧客の要望に沿った樹脂を原料として造形することを可能としており、三菱ケミカルにて製造を予定する紫外線硬化樹脂ダイヤビームの共同開発に成功した。
ダイヤビームは、紫外線硬化樹脂では両立することが難しい耐熱性と耐衝撃性をバランス良く持ち合わせ、さらに耐摩耗性にも優れている。この特性と光造形3Dプリントにより複雑な形状品の製造が可能なことから自動車の内装材などへの採用が期待される。
三菱ケミカルグループは、今回の共同開発を含めて欧米市場とのネットワークを拡大することで3Dプリンティング用素材にかかわる戦略を進化させ、積極的な事業展開を図っていく。
【Atum社の概要】
社名 : Atum3D
事業内容 : DLP方式3Dプリンターおよび関連システムの開発、製造、販売
所在地 : オランダ・ゴーダ
設立 : 2013年
代表者 : Tristram Budel(CEO兼CTO)
【研究開発】積水化学グループ、自然に学ぶものづくり研究助成プログラム12件決定
積水化学グループでは、自然に学んだサイエンスの知見や自然の機能をものづくりに活用する研究を支援するために、「積水化学 自然に学ぶものづくり研究助成プログラム」を、創立55周年記念事業の一環として、2002年度より毎年実施している。
2019年度は、応募総数257件の中から、「ものづくりテーマ」6件と「基盤研究テーマ」6件の合計12件の研究に助成を行う。
【プラスチック】日本ゼオン、医薬用COPにおける低吸着性について学会発表
日本ゼオン(株)はこのたび、スウェーデンのイェーテボリで開催されたプレフィルドシリンジに関する学術大会「2019 The Universe of Pre-filled Syringes and Injection Devices/Parenteral Drug Association」にて、バイオ医薬品におけるプレフィルドシリンジ製剤の安定性について発表した。同社のシクロオレフィンポリマー(COP、製品名:ZEONEX®、ZEONOR®)製シリンジを用いることで、バイオ医薬品製剤の吸着・凝集が抑制されるという結果が得られており、その研究成果についての発表となった。同大会は10月22日から23日にかけて、開催された。
近年、抗体医薬品をはじめとしたバイオ医薬品は医薬品市場で急速に成長している。ガラス製シリンジを用いたバイオ医薬品の保管においては、その主成分であるタンパク質に影響を及ぼし凝集体の発生が懸念されている。一方、COPはガラスに比べ、タンパクの吸着・凝集が抑制することが知られており、プレフィルドシリンジ※1をはじめとする、バイオ医薬品に適用する材料として期待されている。
日本ゼオンは(株)ユーメディコおよび大阪大学 内山 進教授との共同研究のもと、COPをプレフィルドシリンジに用いた場合のタンパク製剤の吸着、および、凝集体の発生について研究を進めてきた。
これまでに、タンパク製剤であるAdalimumab(Humira®)、Etanercept(Enbrel®)、Infliximab(Remicade®)を用いて、既存材質製およびCOP製のプレフィルドシリンジ中のシリンジバレル表面への吸着性・凝集性を比較し、COPが低吸着性・低凝集性であることを報告している。
<論文への詳細リンク https://doi.org/10.1016/j.xphs.2018.01.021>
さらに今回、同様にタンパク製剤であるAbatacept(Orencia®)のシリンジバレル表面への吸着量と凝集体の発生状況を比較したところ、COP製のプレフィルドシリンジにオレンシアを充填した場合、吸着量および凝集体発生量が、既存材質製に比べて、抑制されるという結果が得られた。本発表では凝集体の発生状況についても報告した。
なお、本研究に関連しては今年5月、FDAの下部組織であるバイオテクノロジー製品部(Office of Biotechnology Products、略称:OBP)でもプレゼンテーションを実施している。
<http://www.zeon.co.jp/press/190712.html>
※1 プレフィルドシリンジ
感染の危険除去や投与量調整の過誤軽減を主な目的として、薬剤があらかじめ充填された注射器
【LIMEX】TBM、SABICと基本合意締結、「NUSANED」プログラムへ参加
SABIC社は、サウジアラビア、南北アメリカ大陸、欧州およびアジア太平洋地区など世界50カ国で事業を展開する、中東最大の素材企業。化学品、一次産品、高性能プラスチック、肥料など様々な製造をグローバル規模で製造しており、米国、欧州、中東、南アジア、北アジアの主要5地域にイノベーション・ハブを構え、多くの研究資源を保有している。また、サウジアラビア王国では、「サウジアラビア・ビジョン2030」の下、廃棄物回収・処理に関する制度及びインフラ設備の構築に向けた取組が進められている。
今回、TBMはこうした背景の中で、SABIC社が実施する「NUSANED」プログラムに参加する基本合意を締結した。サウジアラビア国内でのLIMEX製品の製造・販売に向けたフィージビリティスタディを進めると同時に、SABIC社との協力関係の可能性について検討する。
石灰石を主原料とし、紙やプラスチックの代替となる新素材 LIMEX は、紙の製造に必要な水資源や森林が乏しいサウジアラビア国内においても製造することができ、新たな産業と雇用を創出することが可能。サウジアラビアは鉱物資源も豊富な国であり、サウジアラビア原産の石灰石を用いて、紙の代替となるLIMEX シート(LIMEX をシート状に成膜したもの)や、プラスチックの代替となるLIMEXペレット(LIMEXをペレット状に製造して加工したもの)の製造が可能。また、LIMEX は 使用済みのLIMEX製品からLIMEXペレットを高効率につくることが可能であり(石灰石は熱劣化が少ないため)、環境負荷を低減したアップサイクルが可能。サウジアラビア国内で、LIMEXのアップサイクルモデルを構築することで、環境性と経済性を両立し、世界に展開できる循環型経済(サーキュラ・エコノミー)の先行モデルを確立することを目指す。
「サウジアラビア・ビジョン2030」の下でSABIC社が進める、現地産業の発展および更なる産業のローカライゼーションに向けた総合的な取組。各案件のアイデアから実行に至る各段階において、現地および海外企業が直面する課題の解決を目的としている。各案件は、サウジアラビア経済、労働市場、貿易収支改善への貢献、長期的な競争力、事業の持続可能性等から評価され、事業性が認められる場合には、SABIC社他から資金、調達、販売、人材育成等各方面での支援が受けられる制度となっている。