ダウ・デュポン(DowDuPont-NYSE:DWDP)は米国時間2017年9月1日、8月31日付けでザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(以下、ダウ)と米国デュポン社(以下、デュポン)の対等経営統合が完了したことを発表した。統合会社の社名は「ダウ・デュポン」となり、農業関連、素材科学および特殊化学品の3部門を有するホールディングカンパニーとして経営される。
ダウ株およびデュポン株は、8月31日のニューヨーク証券取引所の取引終了をもって取引停止となった。ダウ・デュポンの株式の取引は、米国時間2017年9月1日よりニューヨーク証券取引所にて開始され、株式銘柄コードは「DWDP」。両社の契約により、ダウの株主はダウの株式1株につきダウ・デュポンの株式1株、デュポンの株主はデュポンの株式1株につきダウ・デュポンの株式1.282株を受け取る固定の交換比率となった。
「本日は2社の名高い歴史を物語る上で重大な節目となります。この変革的統合が完了し、業界をリードする3つの独立した上場会社の設立に向けて前進したことに、われわれは胸が躍る思いです。われわれの総合的な遺産と強みは素晴らしいものですが、今回の統合の真の価値は、市場を定義し、全てのステークホルダーの利益を増大するであろう業界大手3社の設立計画にあります。われわれのチームは統合計画に1年以上を費やして取り組んできました。そして本日より、速やかに会社分割を行うべく、計画の実施に向けて全力で取り組むことになります」と、ダウ・デュポン執行役会長のアンドリュー・リバリス氏は述べている。
「株主、顧客、そして従業員にとって、この統合の完了は、持続可能な成長とイノベーションを基盤とする未来を通じ、より高い価値とより大きな機会につながる重要なステップです。ダウ・デュポンは、予定されている3社の出発点です。これら3社は、科学とイノベーションへの再投資ならびにお客様の変化し続ける課題の解決、そして株主への長期リターンの醸成を行う上で、より優位になるでしょう。今回、統合が完了したことで、われわれは今後、3社の基盤となる組織体制の確立および価値を創出する相乗効果の獲得に焦点を当て、尽力していきます。3社は、競争を勝ち抜く、明確な焦点および市場を見通す力、そしてより生産的なR&Dを有する業界リーダーとなる態勢を整えていきます」とダウ・デュポン最高経営責任者のエドワード・ブリーン氏は述べている。
取締役会とガバナンス
ダウ・デュポンの取締役会は、8人の旧デュポン取締役会の役員と8人の旧ダウ取締役会の役員の合計16人で構成されている。そのうち、ダウの元社外リードディレクターを務めたジェフリー・フェティグ氏およびデュポンの元社外リードディレクターを務めたアレクサンダー・カトラー氏の2人がリードディレクターとなる。リバリス氏は取締役会会長を務め、ブリーン氏もまた取締役となる。その他取締役会役員は下記の通り。
<ダウより>
ジェームズA. ベル氏:ボーイング社元最高財務責任者
レイモンドJ. ミルコヴィッチ氏:フォスターウィーラーAG元会長兼最高経営責任者
ポール・ポルマン氏:ユニリーバPLCとユニリーバN. V. の現最高経営責任者
デニスH. ライリー:マラソンオイルコープ非常勤会長
ジェームズM. リングラー氏:テラデータコーポレーション会長
ルースG. ショウ氏:デュークヌクリアの元パブリックポリシー担当グループエグゼクティブ兼社長
<デュポンより>
ランベルト・アンドレオッティ氏:ブリストル・マイヤーズスクイブ・カンパニー元取締役会会長兼最高経営責任者
ロバートA. ブラウン氏:ボストン大学総長
マリリンA. ヒューソン氏:ロッキード・マーティン・コーポレーション会長兼社長兼最高経営責任者
ロイスD. ジュリバー氏:コルゲート・パルモリブ・カンパニー元副会長兼最高執行責任者
リーM. トーマス氏:レイオニア・インク元会長兼最高経営責任者
バトリックJ. ウォード氏:カミンズ・インク最高財務責任者
分割に備えて農業関連、素材科学(ダウ)および特殊化学品の各部門の設立を全般的に監督するために、3つの諮問委員会がダウ・デュポン取締役会によって設立された。加えて、各諮問委員会は、副定款に規定される指針に従って資本構成を策定し、予定されている各社の最高経営責任者とリーダーシップチームを指名する。
ダウ・デュポンの執行役員
既に発表されているように、ダウ・デュポンは両社の強みと能力を象徴する実績のあるリーダーシップチームが率いていく。チームはリバリス氏とブリーン氏を含む下記の執行役員で構成される。
ハワード・ウンガーライダー氏:最高財務責任者(CFO)
ステーシー・フォックス氏:法律顧問兼コーポレートセクレタリー
チャールズJ. カリル氏:会長付特別顧問、素材科学部門付法務顧問
ジェームズC. コリンズ・ジュニア氏:農業関連部門最高執行責任者(COO)
ジム・フィッタリング氏:素材科学部門最高執行責任者(COO)
マーク・ドイル氏:特殊化学品部門最高執行責任者(COO)
ステークホルダーのための価値の創出
ダウとデュポンの補完性の高いポートフォリオの統合および、その後に計画されている業界リーダーの創出により、ダウ・デュポンはステークホルダーの価値を最大限にすると期待する。
・株主は、会社分割により設立される予定の3つの独立した会社の、強固で、より絞り込まれた投資プロフィールと多大なコスト相乗効果、長期的な成長と持続可能な価値創出からの利益を享受することが予想される。統合により、ランレートで約30億ドルのコスト相乗効果および1O億ドルの成長効果をもたらすことが見込まれている。ダウ・デュポンは、統合完了から24カ月以内にランレートで100%のコスト相乗効果を達成するものと予想している。
・顧客は卓越したソリューションと拡大した製品群の提供による恩恵を享受することになる。ダウとデュポンの補完的な強みを統合することにより、設立が予定されている各社は、革新的製品およびより広範な選択肢を有し、急速に変化する状況により迅速かつ効率的に対応することが可能となる。
・従業員は、持続可能かつ長期的な成長を目指す、焦点が絞られた競争力のある業界リーダーの一員として、恩恵を享受することになる。予定されている3社は、ダウ・デュポンの事業や従業員に機会を創出していくであろう。
分割に向けて
ダウとデュポンの経営陣と統合チームは、予定されている各会社の緻密な戦略を支える、経営モデルと組織設計を策定している。親会社から独立して営業するにあたり、各部門に独自のプロセス、人材、資産、システム、およびライセンスが整えられ次第、ダウ・デュポンは各部門を会社法人として独立させるために、取締役会および規制当局の承認後、分割する予定。分割は18カ月以内に実施される予定。 設立される会社は下記となる予定。
業界をリードする農業関連会社
デュポン パイオニア、デュポン農業製品事業、およびダウ・アグロサイエンスの強みを併せもち、卓越したソリューションのポートフォリオ、より広範な選択肢および価値ある価格を提供することで、世界中の農作物生産者により良いサービスをお届けする。予定される農業関連会社は、融合された能力と極めて生産性の高いイノベーションにより、より広範な製品郡を市場により迅速に提供することが可能となる。また、これによりイノベーションの提供と生産者の生産性および収益性の向上を支援する、より良いパートナーとなる。計画される農業関連会社は米国デラウエア州ウィルミントンに本社を設置し、アイオワ州ジョンストンとインディアナ州インディアナポリスの拠点はグローバルビジネスセンターとなる。
業界をリードする素材科学会社(社名がダウとなる予定)
現在のダウの事業部門であるパフォーマンス・プラスチック、パフォーマンス・マテリアルズおよび化学品、インフラストラクチャー・ソリューションズ、コンシューマー・ソリューションズ(コンシューマー・ケア、ダウ・オートモーティブ・システムズを含む。ダウ・エレクトロニック・マテリアルズは特殊化学品会社に統合予定)、および現在デュポンのパフォーマンスマテリアル事業部門で構成される予定。予定されている素材科学会社は、包装、トランスポーテーション、インフラ、コンシューマー・ケアを含む高成長を続ける最終市場の消費者向けに、真に差別化したソリューションを可能にする規模と競争力の高い能力を備え、業界で最も強固で広範な化学ポリマーを提供する。素材科学会社の本社拠点は米国ミシガン州ミッドランドに設置される。
業界をリードする特殊化学品会社
デュポンのプロテク ションソリューション、サステナブル ソリューション、インダストリアルバイオサイエンス、および取引完了が保留となっているFMCからのヘルス・アンド・ニュートリション事業を統合する予定のニュートリション&ヘルスおよびデュポンの電子・情報事業とダウのエレクトロニクス・マテリアルズからなるエレクトロニック テクノロジーを含む、強固な市場をリードする事業で構成される予定。予定されている特殊化学品会社は、産業や人々の生活を変革する、高度に差別化された製品やソリューションを有するテクノロジー主導の特殊化学品事業により構成され、イノベーションリーダーとなる。特殊化学品会社の本社は、米国デラウエア州ウィルミントンに設置される。
発表されているように、ダウ・デュポンの取締役会は、業界をリードする会社の設立計画の準備にあたり、価値を高めるあらゆる機会の確保に向けて、現在のビジネスファクトを評価するとともに、過去1年半にわたり取得した知識を活用するために、総合的なポートフォリオの見直しを実施している。 統合取引については、クライン・アンド・カンパニー、ラザード、およびモルガンスタンレー&Co. LLCがダウのフィナンシャル・アドバイサーを務め、ワイル・ゴッチャルアンドマンジスLLPがその法務アドバイサーを務めた。 統合取引については、エバーコア、およびゴールドマン・サックス&Co. がデュポンの財務顧問を務め、スキャデン・アープス・スレート・マー・アンド・フロムLLPがその法務顧問を務めた。