長瀬産業(株)と東洋紡(株)は、ガラスやシリコンウエハーと同等で、ポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性を持つ、東洋紡の耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス(R)」の生産・販売会社を設立する。
また、生産工場を東洋紡敦賀事業所(福井県敦賀市)内に建設し、今後、電子回路基板材として、既に採用されている電子ペーパーディスプレーに加え、有機EL などのフレキシブルディスプレーやセンサー向けに用途を展開する。
耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス(R)」
長瀬産業の電子資材事業部は、国内外のネットワークを活用し、スマートフォン・タブレット端末事業のグローバル展開を図るブランドオーナーおよび資材サプライヤー向けに、表示デバイス周辺材料・筐体、内部部材、LED照明部材、さらにはレンズ等の光学部品の販売、メーカー機能としてガラス加工、難燃絶縁/熱伝導シートの事業を行っている。表示デバイス関連事業では有機ELディスプレー、電子ペーパーディスプレーのフレキシブル化やマイクロLED等の次世代ディスプレーを今後の成長マーケットと位置付け、新技術に積極的に投資を行う予定。
東洋紡は、米国の研究機関であるミシガン・モレキュラー・インスチテュート(Michigan Molecular Institute)から独占実施権を得た技術と、東洋紡の持つ高耐熱ポリマーの合成技術やフィルム製膜技術を融合させ、従来のポリイミドフィルムでは不可能だった、ガラス基板と同等の高い寸法安定性を実現。コーポレート研究所を中心に開発を進め、製品化に成功した。これにより、400~500℃の高温下で加工が必要なTFT の基板材として使用することが可能になった。これまで、研究所内のパイロット生産設備で製造し、電子ペーパー向けのTFT の基板材として使用されてきた。
今後、電子ペーパーディスプレー向けTFT 基板材の需要増に対応するとともに、「薄い」、「軽い」、「割れない」、「曲がる」などのフィルムの特性を生かし、フレキシブルな有機EL ディスプレーや各種センサー用途に加え、ガラスやシリコンウエハー、セラミックなどに代わる基板材料として展開を図る。
東洋紡との協業のもと、高性能・高耐熱フィルムの市場ニーズに応え、早期に100 億円規模の事業の構築を目指す。
【生産・販売合弁会社の概要】
社名:未定
所在地:福井県敦賀市東洋町 10-24 (東洋紡 敦賀事業所内)
代表者:未定
資本金:34億円
出資比率:東洋紡:66.6%、長瀬産業:33.4%
従業員数:約 40 名(予定)
設立:2018 年 4 月(予定)
【新設する生産工場の概要】
所在地:上記の生産合弁会社と同じ
延床面積 :約4300平方メートル
構造/階数:鉄骨 / 2階建(一部5階建)
着工:2017年12月(予定)
操業開始:2018年10月(予定)
投資額:約30億円