京セラ(株)は、経済産業省が2017年度実施する「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(以下VPP)構築実証事業」※1において、同実証事業を執行する(一社)環境共創イニシアチブ(SII)より、リソースアグリゲータ※2として登録された。
東日本大震災後、日本のエネルギー政策において急速に普及している再生可能エネルギーを安定的かつ有効に活用していくことが大きな課題となっており、現在、分散して存在するエネルギーリソース(蓄電池や再生可能エネルギー発電設備など)を高精度なエネルギーマネジメント技術を用いて遠隔・統合制御し、仮想的に1つの発電所(VPP)のように機能させることで、供給力・調整力として活用するビジネスモデルの構築が求められている。
同実証事業では、エネルギーリソースの遠隔統合制御により、安定的かつ適切なエネルギー需給構造の構築を図ることを目的としている。
同事業で京セラは、親アグリゲータ※3である関西電力(株)、(株)エナリス(共同申請KDDI(株))と連携し、契約した一般家庭の蓄電池に対し、HEMSを通じて遠隔より速やかにエネルギーリソースの制御管理を行う。
昨年実施した東京、中部、九州電力管内に、関西、中国、四国各電力エリアを追加し実証を行う。
エネルギーリソースの遠隔制御をより広い地域で行い、かつ多くの需要家とつながることで、分散電源制御に関するソフトからハードにいたる技術的・制度的課題の洗い出しを行う。
具体的には、京セラは事業に必要となる蓄電池の提供、および同社独自の総合エネルギー管理システム「POM SYSTEM®」による電力制御を行う。
ディマンド発動から15分以下という短い時間において電力制御を行い、同社が提供したエネルギーリソースによる一般送配電事業者の調整電源(電源Ⅰ-b※4)の確保が可能かどうかを実証していく。
京セラは、平成26年度より経済産業省および(一財)エネルギー総合工学研究所(IAE)の実証事業に参加し、アグリゲータ型完全自動ディマンドリスポンス(ADR)の構築からネガワット取引市場創設を踏まえた高精度なディマンドリスポンスシステムの構築を行ってきた。また、昨年の実証事業では、高度制御型ディマンドリスポンス実証事業とともに、一般家庭向け蓄電池とIoTを活用した「バーチャルパワープラント構築実証事業」にも参画した。
これらの実証事業を通し得た知見と、京セラの太陽光発電システムや蓄電池などの製品を活用し、2017年度は電源I-b※4等の高度な実証を通して、より高速なディマンドリスポンスシステムによる分散された蓄電池の群制御の確立を目指す。また、将来形成される様々な電力取引メニューやリアルタイム市場に対応できる蓄電池及び蓄電池利用の技術確立に注力していく。
※1 参照:(一社)環境共創イニシアチブ(SII)「平成29 年度 需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業」について https://sii.or.jp/vpp29/
※2 需要家とVPP サービス契約を直接締結し、リソース制御を行う事業者
※3 複数のリソースアグリゲータの上位で統合管理を行い、電力市場等で取引等を想定した実証を行う事業者
※4 一般送配電事業者があらかじめ確保する調整力等のための電源の1つの分類であり、需給調整機能を有したもの
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【再生可能エネルギー】京セラ、需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業へ参画
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