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【国際規格】日本が提案した大人用紙おむつの評価が改定ISO15621として発行

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 経済産業省産業技術環境局国際標準課は、日本から行った大人用紙おむつの評価方法に関する国際標準化提案が、「ISO15621尿吸収用具―評価に関する一般的指針」改定に反映され、国際規格として発行されたことを発表した。これにより、日本企業の強みを活かした介護分野での事業展開が加速されることが期待される。
 世界に先駆け、高齢化が進む日本では、介護技術の進化と歩を合わせ、介護用品の開発・多様化が進んでいる。排泄介護においても、尿吸収補助具(大人用紙おむつ)は、「テープ止めタイプ」「パンツタイプ」および「ツーピースタイプ」など多様な製品が開発され、利用者が生活状況や身体状況に応じて製品を選択する環境が整いつつある。
 しかしながら、日本で開発された大人用紙おむつの機能を適切に評価できる試験項目が国際規格には無く、国際市場への普及に困難があった。
 今回の国際規格発行は、おむつの規格改定に際し、日本で進化した大人用紙おむつの機能を適切に評価できる新規項目の追加を日本から2013年8月に国際標準化機構(ISO)に提案し、各国専門家による審議、各国の投票を経て、2017年版として発行されたもの。
 今回、日本からの提案を盛り込み改定発行された国際規格(ISO15621尿吸収用具―評価に関する一般的指針)では、大人用紙おむつの種類、適用、種類別の吸収力の評価方法等を定めている。
 改正の主なポイントは、以下の通り。
1. おむつのタイプ(テープ止めタイプ/パンツタイプ)の区分を明確に記載
2. おむつと組み合わせて使用する補助パッドを新たに規定
3. 補助パッドの吸収力に関する評価方法を新たに規定
 排泄に限らず、介護はその国・地域毎の文化や生活習慣と切り離すことはできない。たとえば日本では、夜間においてもこまめに交換するという考えのもと、おむつと補助パットを併用し、パット部分だけを取り替えることを前提におむつ及びパットの仕様・性能を決めている。
 一方、欧州では夜間のおむつ交換は原則しないという考え方が主流であるため、既存の国際規格では、複数回の排尿を吸収・保持できる性能評価のみを規定しており、日本で普及している補助パットの評価方法が規定されていなかった。
 このため、補助パットの利便性やその評価方法の必要性を理解してもらうためには、日本式の排泄介護の考え方(身体状況や生活環境に合わせて多様な製品をユーザーによって使い分けるという考え方)が理解されることがなにより必要であった。
 欧州主導で進められることが多い福祉用具の標準化分野で、日本の文化に深く根ざし発展した製品の技術・思想が受け入れられたのは、日本の関係者による粘り強い提案活動があったため。
 これから急速な高齢化を迎えるアジア等新興国においても、国際規格を根拠に日本企業の強みを活かした介護分野での事業展開が加速するとともに、日本式の排泄介護が国際的に広く普及することで、各国においてユーザーが多様な選択肢を得ることにつながると期待される。
※今回発行された国際規格は、平成25年5月にユニ・チャーム(株)および(一社)日本衛生材料工業連合会からの申請を受け、日本工業標準調査会(JISC)の審議を経て、トップスタンダード制度(新市場創造型標準化制度の前身)により行ったもので、戦略的国際標準化加速事業(尿吸収用具の製品選択性に関する国際標準化)の成果の一部によるもの。


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