帝人グループは、10月8日~15日にオーストラリアで開催される世界最大級のソーラーカー大会「World Solar Challenge」に参戦する工学院大学に、車体の主要部材向けとして自社素材を提供するとともに、それらを使用したCFRP製車体の設計支援および製作を行うこととした。
工学院大学のソーラーカーチームが参加する「World Solar Challenge」は、1987年に初めて開催されて以来、今回で14回目を迎える世界最高峰のソーラーカーレースであり、ソーラーカーの「テクノロジーショーケース」とも言える大会となっている。今回の大会で同チームは、最も早くゴールにたどり着くことを競う「チャレンジャークラス」に参加し、帝人グループとしてはこれで3度目の挑戦となる。
このたび、ソーラーカーのボディの設計・成形加工を支援する(株)ジーエイチクラフトは、1972年の創業以来、超軽量乗物構造技術に基づく独自のデザイン設計、成形加工から構造物評価に至るまで、複合構造体の全工程を社内で一貫生産しており、この分野における世界的なファーストランナーとして、自動車、列車、宇宙・航空機など、モビリティ分野で様々なCFRPコンポジット構造体を手掛けている。同社の創業者である木村 學氏(故人)は、同レースへの挑戦をライフワークとし、また若者の育成支援の一環として、同チームの学生に技術支援を行うとともに、社宅を提供するなど寝食を共にして支援を行ってきた。今回は、同社担当者がレース全行程に同行・支援し、万全を期して必勝を目指す。
帝人グループは、今回、ボディ向けの軽量・高強度素材に留まらず、チームメンバーの快適性も追求するなど幅広く素材・製品を提供し、同チームが念願の優勝を勝ち取れるよう強力に支援している。
<帝人グループが提供した素材・製品>
(1)炭素繊維「テナックス®」製超軽量織物プリプレグ
東邦テナックス(株)が、2010年にサカイオーベックス(株)と共同で開発した、成形厚0.06mmという極薄の超軽量織物。これを使用することにより、これまでにないCFRPの薄肉化を実現し、超軽量車体の製作を可能とした。
(2)ポリカーボネート樹脂「パンライト®」製樹脂窓
帝人(株)が開発した、ガラスの約200倍という耐衝撃性と、1/2の軽さを有するポリカーボネート樹脂を使用した樹脂窓。車体軽量化と乗員の安全性の両立に貢献する。
(3)パラ系アラミド繊維「テクノーラ®」製プリプレグ
帝人が開発した、鉄の8倍の強度と1/5の軽さを有するパラ系アラミド繊維製のプリプレグす。タイヤハウス(タイヤが収められるフェンダーの内側)の軽量化と耐久性に貢献する。
(4)タテ型不織布「V-Lap®」製衝撃吸収シートクッション
帝人フロンティア(株)が製造・販売しているタテ型不織布を使用したシートクッション。繊維の配向をタテ型にすることにより、軽量で、高反発性・高通気性を有し、車体の軽量化に加え、ドライバーの快適性にも寄与する。
(5)超極細ポリエステル繊維「ナノフロント®」製グローブ
帝人フロンティアが製造・販売している、断面積が髪の毛の1/7500という超極細繊維を使用したグローブ。強力なグリップ性とともに通気性・水分蒸散性を有し、ドライバーの運転性能向上と快適性に寄与する。
(6)PTT繊維「ソロテックス®」 製チームウェア
帝人フロンティアが製造・販売している、ストレッチ性と形状回復性を併せ持つソフトタッチなPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維。長期間にわたる準備や過酷なレース環境においても快適・爽快な着用感でチームに貢献する。原料の37%に植物性原料を使用していることから、環境配慮の面でも寄与する。
帝人グループは、中期経営計画において、「社会の抱える問題の解決に貢献する企業」を目指すこととしている。今回の工学院大学ソーラーチームへのサポートを通じ、過酷なレースに求められるニーズに対して、帝人グループの技術を結集して支援するとともに、若きエンジニアの夢を応援することで社会に貢献していきたいとしている。
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【ソーラーカー】帝人グループ、世界制覇を狙う工学院大学の車体に最先端技術を結集
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