BASFでは、2017年5月29日、プラスチック材料のトレンドブック第二弾、「Material Selection 17/18」(マテリアル・セレクション 17/18、非売品)を発行した。東京、上海、ルートヴィッヒスハーフェン(ドイツ)の 「designfabrik®」(デザインファブリーク)の専門家が共同で上梓した本書は、トレンドや材料に関するBASFの国際的な見解を提供するものであり、顧客が自社製品の開発時にこれらのトレンドに対応する一助として、革新的なプラスチックソリューションを提示している。
顧客の将来的な製品開発に向けたアイデアやインスピレーションを提供すべく、同地域のプラスチックに関わる事業のトレンドの研究者やデザイナーが共同で取り組んだ。「当社ではトレンドを特異な現象であるとはみなさず、進歩の連鎖であると捉えています。連鎖反応の結果として発生したトレンドが 2 つあります。『形態学』と『マインドフルネス』です。この 2 つが今後商品開発に大きな影響を及ぼしていくと考えられます。今回の研究は、これらのトレンドを具体化する方法をお客様に提供するものです」とBASF本社・ルートヴィッヒスハーフェンdesignfabrik®のアレックス・ホリスベルガー氏は述べている。
本書は、顧客先のデザイナーやクリエイター、潜在顧客にのみ提供する予定。個別での販売や要望には応じられない。
「形態学」 – 変化する世界に対応する材料
この先の時代は、我々が確実性を認識することは難しくなるであろう。確実なことがあるとすれば、不確実性の中にチャンスを見出すことであり、それを脅威と捉えないこと。変化が加速する時代では、技術的なイノベーションの速度もはるかにスピードアップする。従来の燃焼エンジンから電気自動車に、ステアリングで制御する従来車から自動運転車に移行するように、材料においても、3次元のダイナミックな変化に対応することが求められている。BASF製品の中から特にあげると、TPU(熱可塑性ポリウレタン)を素材とした、柔軟なコーティングを備えた新しいフィルム製品がある。それが自動車の内装や家具に使用されるかもしれない。
「マインドフルネス」とは人と環境に目を向けること
本書における2つ目のトレンドは、人間の行動の「痕跡」に対する我々の意識が強まったこと。行動に伴い、データ、物質、また残留物が地球上に残る。そのため、「痕跡」を残さず、かつ顧客の要求を満たすことができる材料へのニーズが高まっている。BASFも、バイオ由来の生分解性樹脂を顧客に提供している。この材料は、破損しやすい製品や重量のある製品を輸送する際の、バイオ由来・生分解性のある梱包材として優れている。
未来に対するアイデアが生まれた際に、BASFの材料ソリューションはそれを実現するサポートをしていく。
顧客のイノベーションコンセプトを材料研究がサポート
BASFはプラスチック関連事業における設計・デザイン・トレンド研究・シミュレーションの各機能を世界規模でさらに統合していく。欧州、アジアおよび米国の拠点では、自動車、コンシューマー製品、建設といった産業を横断するイノベーションを、より素早く展開させることができる。
本書は顧客のクリエイティブなアイデアをサポートし、設計コンセプトにある材料がどのように次のイノベーションを生み出せるかを明らかにする。
なお、本書の上梓に中心的に携わった「designfabrik®」は、デザイナーとBASFの材料専門家との他分野交流におけるセントラルハブとして位置づけている。2006年にルートヴィッヒスハーフェン(ドイツ)で設立された「designfabrik®」は、欧州のデザイナー・研究開発者・エンジニアにコンサルテーションを行い、10年間に亘り成功を収めてきた。2014年には現地のマーケットとトレンドのニーズに応えるべく、アジア初の「designfabrik® Tokyo」(デザインファブリーク東京)を日本・東京に開設した。