京都大学高等研究院 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)のイーサン・シバニア教授、同ベナム・ガリ特定助教、エネルギー科学研究科の脇本和輝氏、ロンドンインペリアルカレッジ、香港城市大学の研究者らの研究グループは、MOFというナノサイズの粒子を、PIM-1という高分子材料に適切な条件で添加することで、ガスの分離精度を大幅に向上した混合マトリクス膜(MMMs)と呼ばれる高分子膜を用いたフィルターを開発することに成功した。CO2回収・貯留(CCS)方法における高効率化・低コスト化の実現に向けた技術となることが期待される。
既存の高分子膜を用いたガス分離技術は、莫大な量の排出ガスを処理するには不向きであった。「それは、ガスの処理速度が遅すぎるか、高処理速度のものはガスを分離する精度が低いために、エネルギー効率のよい二酸化炭素分離を行えなかったからです」(イーサン・シバニア教授)と、大規模な二酸化炭素分離プロジェクトに応用するには、費用対効果の点で問題があった。