日本ナショナルインスツルメンツ(株)(以下 日本NI)は、2017年3月3日、自動テストの展望についてまとめた「Automated Test Outlook 2017(自動テストの展望 2017)」 を発表した。テスト/計測に関するこのレポートは、NIが毎年発行しているもの。次世代デバイスのテストに向けた、再構成が可能(リコンフィギュラブル)なテスト装置やソフトウェア中心(Software-Centric)のテスト用プラットフォーム、エコシステムなど、自動テストの環境にインパクトを与える主要な技術について説明している。
今年の「Automated Test Outlook」では、過去40年間のテスト/計測技術を、NIの共同創設者で現在は取締役会長を務めるJames Truchard氏が振り返りつつ、現在最も重要な市場と技術トレンドとは何なのかを指摘するとともに、今後の展望について解説している。
Automated Test Outlook 2017では、過去に取り上げた複数のトレンドを見直している。これらは、Big Analog DataTM ソリューションやコネクテッドデバイスなどにかかわるテスト/計測業界に対し、複数年にわたって影響を与えている。
■再構成が可能な計測器
テストシステムを再構成する理由は様々。テストに対する新たな要件に対応するために変更を施す場合や、校正/修理を行う際に計測器を置き換える場合などがある。
■テスト組織の最適化
テスト部門を単なるコストセンタから戦略的資産に転換するには、標準的なテストプラットフォームの開発や意思決定を改善するためのデータ用インフラの構築など、長期間にわたる取り組みを行う必要がある。
■ソフトウェアを中心としたエコシステム
ソフトウェア中心の技術を活用すれば、自動テストシステムの能力を、生産性と連携のレベルを向上するために使用することができる。
■管理されたテストシステム
テストシステムの性能は、「ムーアの法則」の恩恵により継続的に高まっている。新たなデータ技術や通信技術は、テストを担当する管理者がテストに要するコストを削減するためにテストシステムを最適化するうえで役に立つ。
■ソフトウェア駆動型のテストが必須に
ソフトウェア駆動型のテストを採用しなければ成り立たなくなっている分野がある。例えば、輸送機器の製造分野では、安全規格に準拠するうえでHIL(Hardware-in-the-Loop)テストの導入が必須になりつつある。
NI 取締役会長/共同創設者 James Truchard氏は次のようにコメントしている。
「第1世代の計測技術を牽引したのは、General Radio社と真空管でした。続く第2世代を支えたのはHP(Hewlett-Packard)社とトランジスタです。第3世代に当たる現在は、NIとソフトウェアがテスト/計測業界を先導しています。NIは「the software is the instrument(ソフトウェアこそが計測器の本質である)」というフレーズによって現在のトレンドを表現しています。従来の計測器は、前年に生じたニーズに応えるべく設計されていました。いわば、過去を振り返りながら設計が行われていたようなものです。一方、NIが提供したのは、ユーザ自身がテスト/計測システムを定義できる設計手法でした。つまり、革新的な次世代製品の開発に携わる技術者/研究者が自身の手で技術革新の舵を取れるようになったのです」
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【テストエンジニアリング】日本NI、「Automated Test Outlook 2017」を発表
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