三菱ケミカル(株)は、同社が開発した モスアイ型反射防止フィルム「モスマイト™」を絵画額装用途に拡販する。
同社のアクリル樹脂板「アクリライト」およびモスマイトを取り扱う藤光樹脂(株)が、アクリル樹脂板の両面にモスマイトを貼合した低反射アクリル板を額装向けに販売開始する。 同社が開発したモスマイトは、蛾の眼(モスアイ)が持つ微細な突起構造を模倣した反射防止フィルム。モスマイトの表面には高さ 200nmの突起が 100nmの間隔で並んでおり(写真 ①)、この突起の幅が可視光線の波長よりも狭いことで、光の屈折率の変化が緩やかになり、光の反射を抑 制することが可能だ。一般的なガラスやプラスチックの表面は光の反射率が通常 4~5%程度あるが、 それらの表面にモスマイトを貼付することにより反射率を 0.1~0.3%にまで抑え、絵画の鑑賞を妨げる表 面の反射を防ぐことができる。(写真②、図①)
三菱ケミカルはこれまで、佐藤美術館(東京都新宿区)が開催する展覧会に協賛し、2017年11月「吾輩の猫展」、 2019年1月「絵本にみる日本画展」、2020年1月「ビクトリーブーケ展」に、モスマイトを両面に貼っ たアクリル樹脂板を提供した。これらの活動などにより、画家、画商や学芸員から好評を得たことから、今般、藤光樹脂と共同でこの分野への事業展開を強化することとした。