(株)明電舎は、2020年4月1日、同社100%出資の新子会社「明電ナノプロセス・イノベーション(株)を設立し、新製品である「ALD/OER成膜装置」の販売を開始する。
これまで純度100%のオゾン(ピュアオゾン)を使用した常温成膜技術の研究開発を行ってきた明電舎。今回、ピュアオゾン応用プロセス事業を子会社化することにより、機動力のさらなる向上と、迅速な意思決定の実現を目指す。具体的には、独立することで予算・取り組み・評価が明確化し、課題への迅速な対策が取れ、顧客・ビジネスパートナーとの協業や外部からの出資を受けやすい環境の確保が期待される。明電舎として、子会社化によるイノベーションを起こしやすい環境で、事業化を成功させたロールモデルとしていく狙いもある。
新製品のALD/OER成膜装置は、ピュアオゾン発生装置と成膜処理チャンバーを組み合わせたもの。成膜処理チャンバー内は減圧で、常時アルゴンガスが供給される環境。成膜する基板上にシャワーヘッドでトリメチルアルミニウムガス(TMAガス)、エチレンガス、ピュアオゾンガスを交互に提供し酸化アルミニウム(Al2O3)を成膜していく。混合する金属原料ガスの種類を変えることで、膜組成を変更することも可能。
ピュアオゾンガスを使うことにより、常温環境においても膜中の不純物含有量が少なく、ダメージレスで高品質な金属酸化膜の成膜を可能にしている。
想定アプリケーションは、フレキシブルディスプレイ向けのハイバリアフィルムなど。飲料用ペットボトルのフィルムや自動車軽量化向けの部品製造等への適用も視野に入れている。