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【重金属吸着シート】凸版印刷、ケー・エフ・シー、イーエス総合研究所と「パデムシート」を共同開発

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 凸版印刷()()ケー・エフ・シー()イーエス総合研究所は、土中に含まれる有害物質である重金属を吸着し流出を防ぐ「パデムシート」を共同で開発し、施工業者に向けて3月から販売を開始する。
 土壌から流れ出る溶出水に基準値を超える重金属が含まれていた場合、その土壌は適切に処理することが義務づけられている。同製品は、トンネル施工や建設工事などの際に発生する、自然由来の有害物質である重金属を含有する土壌を処理するための、吸着材を均一に充填したシート状の製品。重金属を吸着して処理をする「吸着層工法」において土壌の下敷きとして使用し、吸着材が均一に充填されているため重金属が漏れ出る心配がなく、高い安全性を実現する。土中の重金属のみを吸着するため、溶出水の濃度を基準値以下にすることが可能で、河川や海への有害物質の流出を防ぐことができる。また、現場で重機を使用せずにそのまま広範囲に敷設することができるため、法面(※1)への施工もより簡易的となり作業効率の向上につながる。

背景
 トンネル施工や建設工事などで土壌を掘り起こした際、自然由来の有害物質である重金属が雨などにより河川や海などに流れ出すことがあり、環境汚染につながるとともに魚などを通じて人体に影響を及ぼす危険性があることが問題視されている。有害物質の流出防止策として、土壌を遮水シートで覆う「封じ込め工法」や、不溶化材を使用して重金属を含有した土壌を固める「混合固化工法」が採用されている。しかし、それらの工法は遮水シートの劣化や混合品質の不安定さなどの課題があり、近年は吸着材を下敷きとする「吸着層工法」が注目されている。「吸着層工法」は「混合固化工法」と比較して安価に施工できるが、重機を使用し重金属を含まない土と吸着材を混合しなければならず、かつ現場において吸着層の均一性の品質確認を必要としていた。3社は、吸着材を均一に充填することで高い品質と柔軟性、透水性を有するシートの開発に着手。現場での品質確認が不要で、谷などの法面や複雑な地形でも簡易的に施工できる「パデムシート」の製品化に成功した。同製品を使用することで、従来よりも安全で簡易的な土壌汚染対策を実現する。

「パデムシート」の特長
高い品質による安全性向上
 NETIS(新技術情報提供システム)登録で「吸着層工法」において実績のある吸着材を均一にシートに充填することによりムラなく重金属を吸着し、現場での品質確認を行う必要がない。また適度な透水性をもつほか、シート同士を熱溶着で接合させるため、吸着層を隙間なく構築でき高濃度の溶出水が河川や海へ流出するのを防ぐ。
柔軟なシート形状による作業効率向上
 厚さ2mmの柔軟性を有するシートでロール状に納品されるため、従来の吸着層工法と比較して現場で重機を使用せずにそのまま広範囲に敷設でき、工程数の削減による作業効率の向上を実現。また、谷などの法面や複雑な地形でもより簡易的に施工が可能。

「パデムシート」の仕様
・製品形状:ロール3kg/m2(吸着材量)
・サイズ:1.5m×長さ20m
・厚さ:2mm

今後の展開
 同製品の販売にあたり、吸着材の提供をイーエス、製造を凸版印刷、販売をケー・エフ・シーで行う。今後3社は、同製品を土壌汚染対策現場において施工業者向けに販売を拡大し、環境保護に寄与することでサステナブル社会の実現を目指す。

※1法面(のりめん) 道路建設や宅地造成などに伴う切土や盛土により作られる人工的な斜面のこと。


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