BASFは、2020年1月31日付で、Solvay(ソルベイ 本社:ベルギー ブリュッセル)のポリアミド(PA 6.6)事業の買収を完了した。この取引によって、BASFのポリアミドのポートフォリオに、市場での認知が高いTechnyl®などの製品が追加され、事業がさらに強化される。これにより、自動運転やe-モビリティなどの分野において、より優れたエンジニアリングプラスチックスソリューションで顧客を支援することができるようになる。また、アジアや北米、南米の成長市場へのアクセスも強化される。主要原料であるアジポニトリル(ADN)からの一貫生産により、BASFはPA 6.6のバリューチェーン全体を強化し、供給信頼性を向上することができる。BASFが取得したポリアミド事業の購入価格は、現金および負債を含めない状態で13億ユーロ。同事業の2018年の売上高は約10億ユーロであった。この事業はBASFのパフォーマンスマテリアルズおよびモノマー事業本部に統合される。
BASF取締役のウェイン・T・スミス氏は、「BASFはポートフォリオを拡大、地域におけるプレゼンスを強化し、供給面での信頼性を向上させることで、お客様に大きなメリットをもたらします。今回の買収は、ポリアミド事業への強いコミットメントをグローバルレベルで示しています」と述べている。
今回の取引には、ドイツ、フランス、中国、インド、韓国、ブラジル、メキシコの8つの生産拠点のほか、アジア、北米、南米の研究開発拠点および技術サポート拠点が含まれる。さらにフランスの2つの合弁会社も含まれ、SolvayがInvista社と共同でADNとヘキサメチレンジアミン(HMD)を生産する合弁事業Butachimieの50%のシェア、そしてBASFとDOMO Chemicals社(ドーモ ケミカルス)が共同でアジピン酸を生産する新しい合弁事業Alsachimieの51%のシェアをBASFが取得する。
買収完了に伴い、Solvayの社員約700名がBASFに移管する。なお、フランスの合弁事業Alsachimieには約650名、合弁事業Butachimieには約400名が在籍している。
2017年9月、BASFは関連する競争当局の承認を条件に、Solvayのグローバルでのポリアミド事業を買収する契約を締結した。2019年1月18日、欧州委員会は一定の条件のもとで、ポリアミド事業の買収を承認した。この条件により、当初の取引対象の一部である、ヨーロッパのSolvayの生産工場とエンジニアリングプラスチック分野におけるイノベーション・コンピテンシーを、第三者に売却する必要性が生じた。その後、ドイツのロイナに本社を置くDOMO Chemicalsが欧州委員会から買い手として承認され、SolvayとDOMO Chemicalsの取引は2020年1月31日で完了した。
↧
【エンプラ】BASF、Solvayのポリアミド事業買収を完了
↧