富士フイルムグループの富士ゼロックス(株)は、圧着はがき等への活用が可能な、業界初(注1)の接着機能を持つ特殊トナーを開発した。
このトナーは、従来のトナーと同時に複合機・プリンターに搭載することができ、プリント物の任意箇所に圧力をかけることで、意図した接着力を発揮する全く新しい発想にもとづくトナー。
活用用途は、圧着はがきに限らず、ステープル機能の代替や製本等への展開が期待される。同社は、1月29日~31日に開催されるコンバーティングテクノロジー総合展2020の新機能性材料展(注2)に参考出展し、本トナーに関する顧客からの声を取り入れ、活用用途の拡大を目指す。
同社独自のトナー製法技術であるEA製法(注3)により、トナー内部に、新開発の圧力応答性樹脂(注4)を微細に均一分散させることで、ムラのない接着機能を発揮することを可能にしている。EA製法は、化学反応を精密に制御することで、トナーの形状を均一にすることができる。トナーは無色透明で、出力した用紙の印字領域に、市販の圧力シーラー装置などで圧力を加えると、圧力応答性樹脂が反応してトナーが糊のような機能を発揮し、用紙同士を接着することができる。用紙同士の接着力は、トナーの量や印字面積、圧力シーラー装置の条件により、制御することが可能。
同トナーを用いることで、印字領域と接着領域を同時にプリントできるため、従来出力後に別工程で行っていた糊付け工程の削減が可能。また、トナーのプリント位置を変えることで、接着箇所を自在に設定できるため、様々な用途への展開が可能。例えば、用紙の端部に同トナーをプリントし、複数の用紙を接着して冊子にすることや、糊しろをプリントして折りたためば封筒等を作成できる。
富士ゼロックスは、このトナーの活用用途を、既存の複合機やプリンターによる印刷市場にとどまらず検証していくことで、新規市場開拓に繋がる研究開発を加速する。
注1:同社調べ(2020年1月27日時点)
注2:新機能性材料展は、1月29日~31日に東京ビッグサイトで開催
注3:Emulsion Aggregation製法(乳化重合法)
注4:圧力応答性樹脂とは、圧力を加えるとトナーを軟化させる特徴を持つ樹脂
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【新機能性材料展2020】富士ゼロックス、業界初の接着機能を持つトナーを参考出展
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