
今回の成果
(1)腰サポートウエアへ搭載するための「PVCゲルアクチュエーター」の開発
従来の電場応答型の高分子アクチュエーターの1つである誘電エラストマーアクチュエーター※1では、誘電エラストマーを陽極・陰極で挟み電圧を加えると陽極と陰極の間に静電引力(マクスウェル応力)が働き、誘電エラストマーは膜厚方向に収縮し、面内方向に膨張する(図2(a))。このマクスウェル応力は、陽極・陰極間の距離(正・負電荷同士の距離)が近いほど強く働く。一方、PVCゲルに電圧を加えると、陽極近傍のゲル内部に、通常時のゲルよりも低弾性率で高い静電容量を持つ薄い層(ゲル膜厚より非常に薄い層)が出現し、この薄い層にマクスウェル応力が働くことで陽極に沿ってクリープ変形※2すると考えられている。これにより、同程度の膜厚をもつ誘電エラストマーアクチュエーターに比べ10分の1以下の低い電圧で、駆動すると考えられている(図2(b))。
![SnapCrab NoName 2020 1 14 18 39 16 No 00]()
(1)腰サポートウエアへ搭載するための「PVCゲルアクチュエーター」の開発
従来の電場応答型の高分子アクチュエーターの1つである誘電エラストマーアクチュエーター※1では、誘電エラストマーを陽極・陰極で挟み電圧を加えると陽極と陰極の間に静電引力(マクスウェル応力)が働き、誘電エラストマーは膜厚方向に収縮し、面内方向に膨張する(図2(a))。このマクスウェル応力は、陽極・陰極間の距離(正・負電荷同士の距離)が近いほど強く働く。一方、PVCゲルに電圧を加えると、陽極近傍のゲル内部に、通常時のゲルよりも低弾性率で高い静電容量を持つ薄い層(ゲル膜厚より非常に薄い層)が出現し、この薄い層にマクスウェル応力が働くことで陽極に沿ってクリープ変形※2すると考えられている。これにより、同程度の膜厚をもつ誘電エラストマーアクチュエーターに比べ10分の1以下の低い電圧で、駆動すると考えられている(図2(b))。

今回使用しているPVCゲルアクチュエーターは、陽極として金属メッシュを用い、PVCゲルがメッシュの空隙に入り込む挙動を利用することで、膜厚方向に10%以上収縮する。

(2)腰サポートウエアの開発
PVCゲルアクチュエーターを駆動源として用いて、持ち上げ動作を補助する腰サポートウエアを開発した。開発した腰サポートウエアは、積層したPVCゲルアクチュエーターを直径約6cm、長さ約45cmの筐体に格納し、本体に取付けられた上肢・下肢ハーネスを肩・大腿部にそれぞれ装着して使用する。アクチュエーターの駆動に伴い、アクチュエーター下部に接続されている下肢ハーネスを引き上げることで上肢と下肢間に引張力が発生し、能動的に腰の負担を軽減することができる。また、全体の重量は2kgと軽量で、低消費電力。加えて、PVCゲルアクチュエーター自体が弾力的に変形しやすいため、人の動作を拘束しにくい特徴がある。
![SnapCrab NoName 2020 1 14 18 39 40 No 00]()
PVCゲルアクチュエーターを駆動源として用いて、持ち上げ動作を補助する腰サポートウエアを開発した。開発した腰サポートウエアは、積層したPVCゲルアクチュエーターを直径約6cm、長さ約45cmの筐体に格納し、本体に取付けられた上肢・下肢ハーネスを肩・大腿部にそれぞれ装着して使用する。アクチュエーターの駆動に伴い、アクチュエーター下部に接続されている下肢ハーネスを引き上げることで上肢と下肢間に引張力が発生し、能動的に腰の負担を軽減することができる。また、全体の重量は2kgと軽量で、低消費電力。加えて、PVCゲルアクチュエーター自体が弾力的に変形しやすいため、人の動作を拘束しにくい特徴がある。

今後の予定
今後、更なる軽量化や高出力化、安全性の確保のための研究開発を進め、2021年までに腰サポートウエアの製品化を目指す。
なお、本成果は1月16日、17日に、新宿ルミネゼロで開催される「NEDO AI & ROBOT NEXT シンポジウム」で展示される。
<注釈>
※1 誘電エラストマーアクチュエーター
電場に応答するエラストマー(ゴムなどの弾性を有する高分子材料)を利用したアクチュエーター。電場を加えることで大きな歪み(数百%)を示し、エネルギー効率が高い一方、駆動電圧に数千Vの高電圧を必要とする。
※2 クリープ変形
PVCゲルに電圧を加えた際に陽極の表面に沿ってアメーバのように這い広がる挙動。
今後、更なる軽量化や高出力化、安全性の確保のための研究開発を進め、2021年までに腰サポートウエアの製品化を目指す。
なお、本成果は1月16日、17日に、新宿ルミネゼロで開催される「NEDO AI & ROBOT NEXT シンポジウム」で展示される。
<注釈>
※1 誘電エラストマーアクチュエーター
電場に応答するエラストマー(ゴムなどの弾性を有する高分子材料)を利用したアクチュエーター。電場を加えることで大きな歪み(数百%)を示し、エネルギー効率が高い一方、駆動電圧に数千Vの高電圧を必要とする。
※2 クリープ変形
PVCゲルに電圧を加えた際に陽極の表面に沿ってアメーバのように這い広がる挙動。