インドネシアを拠点とする国際的な紙パルプメーカーであるアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)は2019年9月3日、インドネシア・スマトラ島のリアウ州で、インドネシアの政府・自治体、国際熱帯木材機関(ITTO)、同国の自然保護団体「ベランターラ基金」、地域住民、日本から参加した専門家、ボランティア、そして日本とインドネシアの関連企業と協力して、苗木を植樹した。この植樹活動は毎年この時期に実施しており、今年で6回目。日本からはエイピーピー・ジャパンのタン・ウイ・シアン会長や社員、その関係者、一般ボランティアなど計20名が参加した。
この場所は、リアウ州中部に位置するギアム・シアク・ケチルと呼ばれる泥炭地域で、希少な生態系を持つことからユネスコから生物圏保護区として指定されている。従来はアカシヤやユーカリなどを植樹していたが、今年は初めて、地元の固有種であるジュルトンと呼ばれる広葉樹の苗木を植樹した。
植樹活動は、インドネシアの生態系の保護と復元を支援するAPPの取り組みの一環。2014年に植物生態学の権威である横浜国立大学の宮脇 昭名誉教授が、劣化した生態系を回復させるため、苗木の植樹を推奨した。これをきっかけに、87ヘクタールの保護エリアにさまざまな樹種を計4万2000本植樹してきた。
今年植樹した土地は、APPのパルプ材サプライヤーであるアララ・アバディ社が管理する自然保護地域20ヘクタール。地元固有の樹種の植林は、スマトラトラやスマトラゾウの生息地としても知られるこの土地の生態系の修復に大いに貢献する。
多くの地域住民も植樹活動に参加した。植林は外部者の違法侵入から地域住民を守ることにも役立つ。また、森林の復元によって、将来、地域住民は樹液や果物など非木材製品の収穫を通じて、恩恵を受けることになる。
日本から植樹のために参加した一行は植樹活動のほか、APPシナルマスグループの最新鋭の紙パルプ工場や、研究開発センター、地元の農村の農業基盤構築・生計向上を支援する総合森林農業システム(IFFS)、絶滅危惧種であるスマトラゾウの保護エリアなども見学した。
植樹に毎年参加している「鎮守の森のプロジェクト」の新川 眞事務局長は次のように述べている。
「森林を修復・保護することは、地域住民の生計を維持、補完することにより、経済的観点から実質的にコミュニティを支援します。このようなローカルな活動が気候変動との闘いに貢献し、人間と自然の調和のとれた関係を促進し、世界的な恩恵をもたらすでしょう」
植樹に参加したAPPのサステナビリティ・ステークホルダー担当ディレクターであるエリム・スリタバ氏は次のように述べている。
「インドネシアの貴重な森林の回復と保護は、APPの森林保護方針に基づく活動の一部です。今日の植樹活動などで、地元や海外のパートナーの皆さんを結集することにより、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一つである気候変動の防止に本当に貢献できるようになりました」
。 APPの森林保護の取り組みの詳細については、 http://www.appj.com/topics/attach//2019/07/1903_low-reso-FCP.pdf をご覧ください。
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【植樹】APP、インドネシア・スマトラ島の熱帯雨林回復へ1万本を
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