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【超撥水材料】NIMS、ハリセンボンをヒントに耐久性に優れた材料開発

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 国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)は、ハリセンボンの表皮から着想を得た新しい超撥水材料を開発した。従来材料の致命的な欠点であった摩耗や変形への弱さが大きく改善されたことで、耐久性が求められる構造材料などへの適応が期待される。
 材料表面が水滴を弾く超撥水性は、水滴付着に由来する汚れや凍結、腐食、菌の繁殖を解決する手法として注目されている。超撥水性を発現させるためにはナノ-マイクロメートルスケールの微細な凹凸構造が必要だが、擦る、捻る、引っ掻くといった外力が加わると、容易に壊れてしまい、直ちに機能が損なわれてしまうという問題があった。
 今回NIMSは、ハリセンボンの表皮をヒントにすることで、超撥水材料の致命的な欠点であった耐久性を改善した材料を開発した。ハリセンボンの表皮は、テトラポッド型の剛直なトゲ(鱗)と柔軟性に富んだ皮膚という相反する力学特性を持った材料からできている。この複合構造に倣い、テトラポット状の無機ナノ材料を柔軟なシリコーン樹脂中に高密度に充填することで、外力が加わっても凹凸構造が常に表面に露出する超撥水材料を開発することに成功した。
 今回開発した耐久性に優れた超撥水材料は、無機ナノ材料と汎用性樹脂を混ぜて練り合わせるのみで機能が発現することから、従来の樹脂成形や塗装技術を適用することができる。今後、この成果を、流体抵抗を低減するための船底塗料など、“耐久性”がボトルネックとなることで超撥水の実用化が妨げられてきた分野への適用を目指し開発を進める。
 この研究は、NIMS若手国際研究センターの山内祥弘ICYS研究員と、NIMS統合型材料開発・情報基盤部門 データ駆動高分子設計グループ 内藤昌信 グループリーダーらの研究チームによって行われた。また同研究は、安全保障技術研究推進制度の一環として行われた。
 本研究成果は、ACS Applied Materials & Interfaces誌にて2019年8月20日にオンライン掲載された。
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