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【炭素繊維】大陽日酸、酸素富化燃焼式排ガス除害装置開発

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 大陽日酸(株)は、炭素繊維製造プロセスなどで発生する、シアン化水素(HCN)、アンモニア(NH3)などの有毒ガスを含む排ガスに対して、酸素富化燃焼を利用した二段燃焼を用いることで、窒素酸化物(NOx)の生成を抑制しながら省エネルギーを達成する排ガス除害装置「Innova-FLASH」を開発した。
 炭素繊維の製造プロセスでは、製造工程によって、排出される排ガスの組成と流量が大きく異なる。高温でも溶融しない耐炎繊維を生成するために200~300℃で加熱酸化する耐炎化工程からは、空気をベースとしてHCN、NH3が数百ppm含まれるガスが大量に排出される。一方、耐炎化工程で得られた繊維を、1,000~2,000℃の不活性雰囲気下で焼成する炭素化工程から排出されるガスには、ガス量は少ないものの、窒素をベースとして高濃度のHCN、NH3が含まれる。
 従来、空気燃焼によりこれらの排ガス処理を行うため、処理プロセスは酸化雰囲気となり、HCNやNH3の分解とNOxの生成抑制を両立することが困難であった。
 Innova-FLASHは、高濃度HCN、NH3が含まれる窒素ベースのガス(排ガス1)を高温還元雰囲気で処理するプロセス1と、低濃度HCN、NH3が含まれる空気ベースのガス(排ガス2)を低温酸化雰囲気で処理するプロセス2の2つの異なる雰囲気を持つプロセスで構成され(図1)、それぞれの排ガスに適した反応雰囲気で処理することにより、NOxの生成を抑制することが可能となった。また、プロセス1で生成した可燃分を含む燃焼ガスをプロセス2に流入させるで、プロセス1の排熱を排ガス2の処理に有効に利用できることとなり、従来の空気燃焼式に比較して50%の省エネルギーを可能にした。
 高濃度のNH3を含有する模擬排ガス1を使用した試験では、NOxを100ppm以下に抑制できることを確認している(図2)。また、低濃度のNH3を含有する模擬排ガス2を使用した試験では、NOxを40ppm以下に抑制できることを確認している(図3)。

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 大陽日酸では、炭素繊維製造プロセス向けに開発した排ガス除害装置を使用して、実ガスを使った実証試験を行い、排ガスを効率よく低NOxで分解できることを確認した。
 炭素繊維は、航空・宇宙分野に加え、自動車、建築・土木分野への利用が広がってきている。今後、炭素繊維業界の設備増強およびリプレイスに向けて、低NOx高効率排ガス処理技術として「Innova-FLASH」の提案を行っていく。更に、省エネや炭酸ガス排出量削減に貢献する技術として、炭素繊維以外の分野に対しても技術の展開を進めていく。

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