ユニリーバ・ジャパンは、「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」の新計画を6月27日に発表し、その一環として、2019年下期の新製品に、再生プラスチックを最大95%使用したパッケージを採用することを発表した。まずは「LUX」「Dove」「CLEAR」の3ブランドから着手し、2020年末までにPET素材のボトルを100%再生プラスチックに切り替えることを目指す。ただし、技術的に切り替えが難しい着色剤などの添加剤は除く。
同社では「環境負荷を減らし、社会に貢献しながらビジネスを成長させる」というビジョンと、それを実現するための成長戦略「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」(USLP)を2010年に導入。その一環として「2020年までに廃棄物の量を半減する」ことを目標に掲げ、2018年末までに世界全体で製造工程からの廃棄物量を97%、消費者の使用1回当たりの廃棄物量を31%削減。パッケージの重量も18%削減した。2017年1月には、USLPの新たな目標として「2025年までにプラスチック・パッケージを100%再利用可能・リサイクル可能・堆肥化可能にする」「2025年までにパッケージに使用するプラスチックのうち少なくとも25%を再生プラスチックにする」ことを宣言。2019年1月には、使用済みのパッケージを回収・洗浄して再利用する新しいショッピングプラットフォーム「Loop™」に参画するなど、ごみ削減と資源循環につながる取り組みを加速させている。
プラスチック素材は、暮らしの中で様々なものに使用され当たり前となっている。その利便性の高さ故に、過去50年間で世界中のプラスチック使用量は20倍に増加。一方、そのうち回収されリサイクルされているプラスチックはわずか9%に留まる。廃棄されたプラスチックの多くは川や海に流れ込み、生態系に深刻な影響を及ぼしており、2050年までに海洋中のプラスチックごみが魚類よりも多くなるという予測がされている。日本国内でも多くのプラスチックごみが行き場を失いつつある。
こうした背景を受け、レジ袋やストローの廃止など「脱プラスチック」の動きが加速する中、同社ではより包括的で多角的なアプローチとして、LBN-P(Less/Better/No-Plastic)を提唱。プラスチックの使用量を減らす「Less Plastic」、リサイクルしやすい素材や再生プラスチック、植物プラスチックなどに替えていく「Better Plastic」、プラスチックの使用を止める「No Plastic」を組み合わせることで、環境負荷を最小にしながら、既に製造され流通しているプラスチックを資源として有効活用し、循環型経済への早期転換を目指していくことが大切だと考えている。
同社では今期LBN-Pの中でも「Better Plastic」(ベタプラ)に注力。「LUX」「Dove」「CLEAR」の2019年下期の新製品(8月5日より順次発売)を皮切りに、再生プラスチックを最大95%使用したパッケージを採用。さらに、2020年までにPET素材のボトルを100%再生プラスチックに切り替えることを目指す(技術的に切り替えが難しい着色剤などの添加剤を除く)。パッケージに使用する再生プラスチック(MR-PET)は、最先端のテクノロジーにより表面についた汚れのほか、真空・高温下で樹脂の中にしみ込んだ不純物まで徹底的に除去し、本来の純度と機能を回復させた状態で製品化。FDA(米国食品医薬品局)やEFSA(欧州食品安全機関)の認可を受けた原料会社からの樹脂のみを使い、品質や安全性、使いやすさ、デザインの美しさはそのままに、よりサステナブルなパッケージを実現した。
さらに同社では、社会全体でプラスチックに関わる問題を解決していきたいという思いから、社外のパートナーや地域社会との連携を進めている。「中目黒のまちづくり活動 なかめスタイル」「目黒区商工まつり 目黒リバーサイドフェスティバル」「中目黒GTタワーが主催するイベント」との連携など、同社がオフィスを構える目黒区を皮切りに、今後活動を展開していく。
「LUX」「Dove」「CLEAR」の2019年下期の新製品(8月5日より順次発売)を皮切りに、再生プラスチックを最大95%使用したパッケージを採用する。本プロジェクトを担当した、ユニリーバ・ジャパン・サービス(株)R&Dヘアパッケージングの製品開発担当の宮前 晶氏は次のようにコメントしている。
■ボトル、 つめかえ用パウチ、 アテンションシールに再生プラスチックを最大限活用
2017年1月、グローバル本社で「2025年までにパッケージに使用するプラスチックのうち少なくとも25%を再生プラスチックにする」ことが発表されました。ユニリーバ・ジャパンでも、2018年4月から、一部の新製品のアテンションシール(ボトル上部につける販促用のシール)に再生プラスチックを約80%使用。この取り組みからおよそ1年間の研究開発期間を経て、アテンションシールだけではなく、ボトル本体の約90~95%、つめかえ用パウチの約10%を再生プラスチックに切り替えることに成功しました。主力ブランドの製品を、現時点で技術的に可能な最大限度まで切り替えることができ、日用品・化粧品業界では先進的な取り組みだと自負しております。
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【プラ資源循環】ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング、「LUX/Dove/CLEAR」の3ブランドで再生プラスチックを最大95%使用したパッケージを8月5日より順次採用
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