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【蓄電池】Integral Geometry Scienceと神戸大学数理・データサイエンスセンター、NEDOプロで電流密度分布の画像診断システム開発

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 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、新エネルギー分野で事業化を目指すベンチャー・中小企業などへの支援を目的とした「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」を行っている。
 今般、本事業において、(株)Integral Geometry Science、国立大学法人神戸大学数理・データサイエンスセンターは、2018年度に同事業で、蓄電池内部の電流密度分布をリアルタイムに非破壊で画像診断する技術開発に取り組んだ。その結果、蓄電池の充放電時に発生する磁場の空間分布の計測データから、蓄電池内部の電流密度分布を導く逆問題の解析解を世界で初めて導出し、蓄電池の電流密度分布画像診断システムFOCUSを開発した。本技術は良品の蓄電池においても、電流密度のムラを検出することが可能で、今後、電動車両の普及に伴って蓄電池生産量の増大が見込まれる中で、蓄電池の製造工程における全数検査が確立されれば、蓄電池の安全性を飛躍的に向上させることが可能。

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 本成果は、2019年6月5日~6月7日にアカデミックプラザ(JPCA Show/東京ビッグサイト)にて展示される。

今回の成果
 これまで良品として出荷された蓄電池が発火事故などのトラブルを引き起こしており、その原因解明と防止策が課題となっている。発火事故などの原因の1つとしては、出荷時の蓄電池内部の電流密度が空間的に不均一であり、その度合が蓄電池の充放電とともに次第に大きくなり、最終的には短絡、発火となることが考えられる。そのため、出荷前の蓄電池の電流密度分布を非破壊で精密に計測する技術が求められていた。
 今回開発した技術では、電流が流れる際に周囲に発生する磁場の空間分布を測定することにより、蓄電池内部の電流密度分布を測定する。しかしながら、これまで電流密度分布から磁場の空間分布を数学的に導出すること(順問題)は可能であったが、磁場の空間分布から電流密度分布の導出(逆問題)は非常に困難であり、実現されていなかった。
 今回、正極負極間の距離が電池の電極サイズに比べると無限に小さいとみなせることから、蓄電池内に流れる3次元的な電流は、薄い平行平板間に閉じ込められていると考えることができ、これを蓄電池における静磁場の基礎方程式に取り入れることにより、この逆問題を世界で初めて解析的に解くことに成功した。
 さらに、磁気センサーを2次元に並べることで、リアルタイムに磁場の空間分布を測定する装置を開発し、測定した磁場から逆問題の解析を行うことで、リアルタイムに非破壊で電流密度分布を映像化するシステムを開発した。
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今後の予定
 NEDOプロジェクトにおいて、Integral Geometry Science、神戸大学数理・データサイエンスセンターは、今後もインラインでの検査装置としての仕様最適化に向けて、ユーザーとなる蓄電池メーカーとも連携し、研究開発を継続する。Integral Geometry Scienceは、2年以内に製造工程における全数検査が可能なインライン検査システムの販売を開始する。

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