◎BMWグループ、Dürr社、BASFの3社が実施した、ドイツの第三者認証機関TÜV(テュフ)の認証済みの研究により実証
◎自動車製造において、持続可能性を重視した塗装工程
BMWグループが、塗装設備や機器のエンジニアリング会社Dürr(デュル)社と、BASFのコーティングス事業部とともに実施した、ドイツの第三者認証機関TÜV(テュフ)の認証済みの研究により、ミュンヘンにあるBMWグループの自動車製造工場での塗装工程を一工程省くことで、年間12,000トンのCO2排出量削減に貢献していることが明らかになった。従来の方法で塗装された自動車と比較すると、一工程を省いて塗装された自動車は、カーボンフットプリント・ネットゼロで最初の420kmを走行する値に換算できる。また、この塗装工程は、ミュンヘン市民25万人が毎週1回洗濯機を使用する際の消費エネルギーに相当する。
今回の研究は、資源保全を実現しながら、自動車会社の塗装工程のエコ効率を高める方法を見出すことが目的。Dürr社のアプリケーション・テクノロジー部門を率いるハンス・シューマッハー氏は、「自動車製造において最も多くのエネルギーを消費する段階の1つに、塗装工程が挙げられます」と述べている。また、BASFのコーティングス事業部BMW担当アカウント・マネージャーのラース・ニッゲ氏は、「将来、より一層環境に優しい塗装工程を目指すため、3社の知見と専門知識を結集させました」と述べている。
今回の研究では、プライマーベースの2つの塗装工程と、プライマーを使用しない統合型の塗装工程を比較した。従来の方法では、プライマーが表面の凹凸を滑らかにし、塗装の最下層である電着塗料を紫外線から保護していた。BASFはプライマーを使用せず、その保護特性を新たに開発した水性ベースコート層に取り入れることに成功した。様々な塗装工程が研究される中で、この「統合プロセス」が最も有益であることを見出した。現在のプライマーを使った塗装工程と比較すると、統合プロセスではエネルギー消費とCO2排出量を約20%削減し、コスト削減にもつながる。
BASFのエコ効率分析法
今回の研究は、2014年の実際のデータを、BASFが開発したエコ効率分析法により評価したもの。この分析法は、BASFやBASFの顧客が、環境や経済性という観点で最も優れた製品やプロセスを選択するのに貢献する。TÜVと公衆安全衛生の分野で国際的に認められたNSFインターナショナルによって、研究の検証が行われている。
サステナビリティという観点において、自動車業界では製造プロセスがより一層注目されている。現在は自動車の利用時だけでなく、製造段階においてもより詳しい研究が行われている。ニッゲ氏は次のように述べている。
「製品の持続可能性だけでなく、持続可能な方法で製造されているかが、消費者にとっての関心事になってきています。統合プロセスが最もエコ効率の高いソリューションのひとつであることが、今回の研究により証明されました」