帝人(株)が展開する熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)製品である「Sereebo®(セリーボ)」が、ゼネラルモーターズ(本社:米国ミシガン州デトロイト、会長 兼 CEO:メアリー・バーラ、以下「GM」)のピックアップトラック2車種に採用された。
「Sereebo®」が使用されるのは、GMが今年の夏から市場展開を開始するピックアップトラック「GMC シエラ・デナリ1500」および「GMC シエラAT4 1500」のピックアップボックス(荷台)「カーボン・プロ」で、CFRTPが量産自動車の構造部材に使用されるのは世界で初めてのこと。
帝人が開発した「Sereebo®」は、熱可塑性樹脂を使用し、世界で初めて製造タクトタイムを約1分にまで短縮したことにより、自動車部品などの量産対応を可能にした革新的なCFRTP。
一方、「カーボン・プロ」は、帝人がGMと共同開発したピックアップボックスで、ポリアミド系樹脂を母材として、炭素繊維をランダムに分散させた「Sereebo®」シリーズの製品を荷台内側のパネル部分に使用している。「Sereebo®」を用いることにより、成形時間の大幅な短縮を実現した他、スチールを使用したピックアップボックスに比べて約40%の軽量化を実現するとともに、約10倍の耐衝撃性を有し、耐腐食性にも優れている。また、従来の素材では量産できなかった複雑なデザインの成形にも対応でき、リサイクルも容易。
なお、「Sereebo®」を用いた「カーボン・プロ」の荷台内側部分は、帝人グループで軽量複合材料製品の生産・販売・技術開発を展開するコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP社)のハンティントン工場(米国インディアナ州)で製造される。
帝人の複合成形材料事業の歩みは次の通り。
2008年に複合材料開発センター(当時)を開設し、他に先駆けて複合成形材料の事業化に向けた技術開発と用途開拓を強力に推進してきた。
2011年には世界初となるCFRTPの1分成形による量産技術を確立し、2012年には米国に複合材料用途開発センター、松山事業所内にCFRTPを一貫生産するパイロットプラントを新設した。
2013年には「Sereebo®」ブランドで量産型CFRTP製品を開発し、GMをはじめとする国内外企業と共同開発を推進してきた。
2017年1月には北米最大の自動車向け複合材料成形メーカーであるCSP社を買収し、複合成形材料事業のグローバル展開を強化してきた。
そして、このたびの「カーボン・プロ」に「Sereebo®」が採用されたことは、量産車へのCFRTPの幅広い適用に向けて大きな前進となる。
帝人はTier1サプライヤーとして、素材選定から部品設計にまで踏み込んだ提案力の強化やグローバル安定供給体制の確立を図るとともに、2020年以降の環境規制強化に対応した車体の軽量化に向けた提案力強化のため、使用材料の拡充や他メーカーとの協業などを進め、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとしてソリューション提案力を強化していく。そして、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上を2,000百万米ドル規模へと拡大していく。
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【CFRTP】帝人の「Sereebo」、米GMの新型車種の構造部材に採用
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