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【炭素繊維中間材料】帝人、米国レネゲード社を買収

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 帝人(株)は、航空・宇宙用途向けに高耐熱熱硬化プリプレグ*を製造・販売する米国のRenegade Materials Corporation(本社:米国オハイオ州、CEO:エリック・コリンズ、以下「レネゲード社」)の全株式を取得し、完全子会社する。
* プリプレグ: 炭素繊維シートに樹脂を染み込ませたもの
 世界的な環境規制の強化に伴う低燃費化の要請に応えるため、帝人グループは「軽くて強い」高機能素材の展開を進めている。特に炭素繊維事業においては、航空機分野に注力しており、炭素繊維原糸からCFRP(炭素繊維複合材料)に至るまでのラインナップを拡充し、用途開発を強力に推進している。
 帝人グループは、世界の主要な航空機メーカーが製造する航空機の一次構造材、二次構造材向けに、30年以上にわたり炭素繊維「テナックス」を供給しており、既にトップサプライヤーとしての地位を確立している。また、先ごろ米国・ボーイング社の一次構造材向けに認定された熱可塑性プリプレグなど、将来の最新鋭機に向けた新たな中間材料や工法の開発に積極的に取り組んでいる。
 こうした中、さらなる用途開発の推進とグローバルでの事業拡大を目指して、航空・宇宙用途でニーズの高まりが見込まれる高耐熱熱硬化プリプレグに関し、優れた技術と販売チャネルを有するレネゲード社を買収することとした。
 レネゲード社は、1993年創立の樹脂メーカーを母体として、2007年に設立された航空・宇宙用途向け高耐熱熱硬化プリプレグメーカーで、耐熱性樹脂について高いノウハウを有している。特に、技術的に難しいとされる、低毒性原料を用いたポリイミド樹脂により高耐熱性と熱サイクル耐性に優れるプリプレグを製造できることに特徴があり、欧米をはじめとする航空機メーカーや航空機エンジン関連メーカーなどから高い信頼と採用実績を得ている。
 レネゲード社の概要は次のとおり。
社  名:Renegade Materials Corporation
設  立:2007年
拠  点:米国 オハイオ州 マイアミズバーグ(本社・工場)
事業内容:航空機向けプリプレグ、樹脂、接着剤などの製造・販売
 今次買収の概要は次のとおり。
実施時期:2019年4月(予定)
出資元 :Teijin Holdings USA Inc.(米国持株会社)
資金調達:手元資金で充当(予定)
 このたびの買収により、エンジン部材などへの適応が可能で、未来の最新鋭航空機に向けたラインナップとなる高耐熱性プリプレグを獲得することができ、これまで以上に幅広い潜在ニーズに対応することが可能となる。
 また同時に、帝人がこれまで蓄積してきた炭素繊維や中間材料のノウハウや評価設備、販売チャネルなどを活用することで、レネゲード社の製品をより幅広く展開することが可能となり、航空・宇宙用途向け炭素繊維事業のグローバル展開をより一層強化することができる。
 さらに、現在帝人が米国サウスカロライナ州に建設中の炭素繊維製造拠点であるテイジン・カーボン・ファイバーズ(2020年度中に稼働開始予定)や、米国テネシー州で炭素繊維販売事業を展開するテイジン・カーボン・アメリカ、欧州の炭素繊維事業会社であるテイジン・カーボン・ヨーロッパとも連携し、グローバル市場における対応力強化を図る。
 帝人はこうした展開により、航空・宇宙用途向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとしての地位を確固たるものとし、2030年近傍までにこの用途で年間900百万米ドル超の売上を目指す。

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