(株)東芝は、米国・テキサス州で建設中である、世界初の直接燃焼方式による超臨界注)CO2サイクル火力発電システムのパイロットプラント向けに、出力25MWのタービンを出荷した。同プラントは、高効率発電と高圧なCO2の回収が同時に実現できる火力発電システムであり、東芝は2012年度から米国のネットパワー社、シカゴブリッジアンドアイアン社およびエクセロン社との4社で共同開発を進めてきた。東芝は重要部品である超臨界CO2サイクル用タービンおよび燃焼器を担当している。
今回出荷したタービンは、高圧に耐える超々臨界蒸気タービンのケーシング技術および東芝が保有する高温ガスタービンの材料技術と冷却技術を融合することで、信頼性を確保したタービンとなっている。
同プラントは、タービン、燃焼器等の据付工事を経て、2017年から検証運転を開始する予定。今後、検証運転で得られたデータを元に技術を確立し、250MW級プラントの商用化を目指す。
超臨界CO2サイクル火力発電システムは、既存のガスコンバインドサイクル発電システム(GTCC)と同等の発電効率を有しながら、CO2を分離・回収する設備を別に設置することなく、燃焼により発生するCO2を高純度・高圧で全て回収することができるシステム。また、蒸気タービンとガスタービンの2つのタービンを有するGTCCと比較すると、1つのタービンで発電できるため、コンパクトな構成を実現できる。燃料である天然ガスの燃焼には、空気の代わりに酸素を用いるため、燃焼による窒素酸化物が発生しない環境調和型の火力発電システムを実現することができる。
東芝は、火力発電プラントの効率向上への取り組みを進めるとともに、CO2回収技術でゼロエミッションを目指し、持続可能なエネルギー社会を実現する。
注)気体と液体の境界がなくなり、気体と液体の中間的な性質を持つ状態。CO2の場合、31℃、74気圧より高温、高圧の領域で超臨界状態となる。
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【タービン】東芝、世界初の直接燃焼方式による超臨界CO2サイクル火力発電システムのパイロットプラント向けに出荷
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