(株)明電舎(取締役社長:浜崎祐司/東京都品川区)は、世界で初めて、純度100%のオゾン(ピュアオゾン)を使用した常温成膜技術を確立した。同技術は2017年5月から研究を開始し、2018年3月に特許出願した。今後は、ピュアオゾンの利用技術研究を、これまでも共同で行ってきた産業技術総合研究所とさらなる研究から膜質改良し、ハイバリアフィルムを目指す。
同技術開発の背景として、フレキシブル有機ELディスプレイ分野、PE(プリンテッドエレクトロニクス)分野、フレキシブルエレクトロニクス分野等に使われる高機能フィルムの市場拡大を見込んでいる。
今後、特に大きな成長が期待されるフレキシブル有機ELディスプレイ分野では、現在、プラズマ技術を活用し100~150℃で製造されるが、同技術では常温30℃で樹脂フィルム上に成膜するため「ダメージレス」で「薄く緻密」な「傷のつきにくい」「曲がる」「バリア性に優れた」ディスプレイ用フィルムの多くの部分に将来適用の可能性がある。
明電舎は、高品質なバリアフィルムの技術確立と各種製造装置メーカーなどとパートナーシップを組み、同技術を提供すると同時に製造工程で必要になるピュアオゾンジェネレータの拡販(目標年間30台)をしていく。
【フレキシブル有機ELディスプレイにおいて適用の可能性のある部分】
ピュアオゾンジェネレータとは
ピュアオゾンガス連続発生装置で、2000年に開発を着手し2007年から発売を開始した。現在は主に半導体製造装置メーカー向けに出荷しており、毒性、爆発性のあるオゾンガスを安全に安定供給できる装置。
さらにフィルム間の密着性向上のための膜質改良や、半導体製造工程で発生する有機物を除去することにも適用できるため、製造工程自体の短縮化も期待できる。