日本印刷学会グラビア研究会では、平成27年度の第10回研究例会から平成29年度の第11回研究例会までの3年間に亘り基礎講座を除く5回の集客企画の際のアンケートにて、過去の講演についての設問を設けてきた。グラビア研究会にとって25周年になるのを記念して、聴講者のアンケート結果から得票数の多いテーマで実現可能な講演を集め、12月12日(火)午前10時45分~午後5時まで、印刷博物館グーテンベルク・ルーム(東京都文京区水道1-3-3 トッパン小石川ビルB1)において「第11回ミニシンポジウム 25th Anniversary Event-グラビア研究会25周年記念企画、もう一度聴きたい講演集!-」を開催する。
プログラムは次の通り。
10:45~10:55
(1)「グラビア研究会25年間の活動-発足25年間から、ここ5年の活動を振返って-」(10分)
橋本セロファン印刷(株) 橋本 章氏(グラビア研究会委員)
10:55~11:45
(2)「日、欧、米、中で比較する食品包装材料法規制の現状と今後の課題(平成23年度第1回勉強会)」&「食品包装材料の衛生安全性―何を、如何に規制するのか―(平成23年第8回研究例会)」から(50分)
講師:日本包装専士会 西 秀樹 氏
要旨:食品包装の法規制に関しては、平成23年度第1回勉強会および平成23年第8回研究例会において、紹介させていただいた。 その後日本では2017年7月、厚労省は漸く食品衛生法を改正して先ずは樹脂からPL制度化を図る方針を通知し、施行は早くて2020年の東京五輪頃の見込みである。印刷インキはその後の課題となりそうである。EUではプラスチック規制がほぼ完成し、現在EC委員会が独案を基に印刷インキの規制を審議中であり、来年中頃に公表見込みである。このEU基準は全世界的に採用されると推測され、NLしか無い日本への大波は必至の状況である。中国は昨秋、EU類似の規制に大転換し、全世界的にはEU基準がほぼ世界標準的存在となった。日本はもはや後追い組であり、この先大きな難題が待ち構えている。このような国内外の最新動向及び企業としての対応と留意点をお話しする。
12:45~13:35
(3)「欧州包装動向(平成24年度第1回勉強会)」から(50分)
講師:(株)東洋紡パッケージング・プラン・サービス 松田修成 氏
要旨:2011年5月にドイツのデュッセルドルフで開催された、国際包装展インターパック2011での出展内容を中心に、森 啓治氏から欧州を中心とした包装動向を紹介した(平成24年度 第1回勉強会)。 2017年5月にドイツのデュッセルドルフで開催された、国際包装展インターパック2017での出展内容を中心に欧州を中心とした包装動向を紹介する。
13:35~14:20
(4)「次世代グラビア製版技術の試み(平成25年第1回勉強会)」から(45分)
講師:(株)シンク・ラボラトリー 重田龍男 氏
要旨:グラビア製版においてCrめっきを使用しないDLC成膜によるプロセスと印刷適性について、FXecoの深度10~16μm程度によるインキ、VOC削減の実機データ等について及びNewFX 自動製版システムの内外での稼働状況と経済性等について技術紹介した(平成25年第1回勉強会)。 レーザー製版システムでは、日産80~200本までのフレキシブルなNewFXシリーズのシステム構成に発展しており、解像度は、3200/12800dpiとし、彫刻製版より優れたハイライト特性を実現した。レーザー、CuめっきおよびCrめっきの高速化、ケミカル管理の自動化、リモートメンテナンス等が大幅に進展した。このNewFXシリーズでは、油性インクでのインク削減も15~30%に達している。また、花王(株)との共同開発によりアルコールを含まない完全水性グラビアは、深度5μm/250線の開発が進み、世界初の全く、防爆の考慮を必要としないグラビア印刷が、150m/分のスピードを可能の技術が進展しており、関連技術として水性IJについての概要も紹介する
14:35~15:20
(5)「食品包装材料の環境配慮について(平成23年 第8回研究例会)」から(45分)
講師:味の素(株) 松嶋健治 氏
要旨:容器包装の基本機能として「中身の保護」「取り扱いやすさ」「情報の提供」があるが、近年では更に「環境配慮」が要求されている。材質選定や印刷方法など、食品包材はどのように発展するのか、またどのような課題があるのかその一例を紹介した(平成23年 第8回研究例会)。 SDGsを意識した軟包材の開発の一例についても紹介する。
15:20~16:10
(6)「解析技術によるモノづくりソリューション(平成26年第7回ミニシンポジウム)」から(50分)
講師:大日本印刷(株) 中島 但 氏、酒井美希 氏
要旨:視認できないモノづくりのプロセス課題を改善するために、解析手法として「可視化」技術を用いることで、これまで解決が困難であったものも原因が見え新たなプロセスを生み出すなど、製造現場に潜在する課題を解決(ソリューション)する解析手法について紹介した(平成26年 第7回ミニシンポジウム)。
前回紹介した事例に加えて、新たにオフセット印刷やグラビア印刷におけるインキ転移現象や加工プロセスにおける課題解決事例について紹介する。
16:15~17:00
印刷博物館の見所紹介、ガイドツアーおよVRシアター「東大寺大仏の世界」(予定)
定員は50名(定員になり次第締切る)。申込締切は12月7日(木)。印刷博物館内の施設を使用する都合上、当日参加は不可。
参加費(当日受付にて支払)は、日本印刷学会 個人会員・賛助会員、関東グラビア協同組合会員、全国グラビア製版工業会連合会会員は7,000円、その他は12,000円。なお、ミニシンポジウムの参加費には、印刷博物館の入館券(500円)が含まれている。希望者へのVRシアター(バーチャル映像)の鑑賞を講演会後に企画している。定員制のため、参加費を支払う際にお申込みいただきたい。印刷博物館およびギャラリーについては閉館時間(18時)まで自由に観覧でき、印刷に纏わる貴重な展示を楽しむことができる。印刷博物館では、企画展「キンダ―ブックの90年、童画と童謡でたどる子どもたちの世界」が開催されている。