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【水性透明難燃塗料】大日技研工業、帝人および大丸興業と共同で「ランデックスコート 難燃クリア」開発

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 大日技研工業(株)は、帝人(株)および大丸興業(株)と共同で、リン系難燃剤「FCX-210」(*)を使用した水性透明難燃塗料「ランデックスコート 難燃クリア」を開発した。
 ノンハロゲンアクリル系水性透明難燃塗料として、木材だけでなく、紙、繊維、ゴム、プラスチックなど幅広い可燃物の表面に塗布するだけで、自然の風合いを維持しながら、高い透明性と高い難燃性の両立を実現したのは世界初。
(*) リン系難燃剤「 FCX-210」
 帝人独自の分子設計で開発したリン系難燃剤。高い耐熱性や、少量でも高い難燃性を付与できるなどの特長により、OA機器や家電製品、自動車などに幅広く展開している。
 2010年に「公共建築物等木材利用促進法」が施行されて以降、大規模木造建築物に注目が集まっているが、防火・耐火面での課題からさほど広がっていない。
 住宅火災は年間11,000件を超え、それによる死亡者は約900人に上る(平成28年消防庁統計)。そのうち65歳以上の高齢者が約70%を占めていることから、火災時の逃げ遅れを防ぐため、建材に加え、室内で使用される木造製品や紙製品、布などにも簡単に高い難燃性を付与できることが求められている。
 木材に難燃性を付与するには難燃剤を含浸させるのが一般的だが、それでは時間の経過とともに難燃剤が表出し、本来の風合いや外観の維持が難しいという難点があった。また、それを防ぐためにアクリル系コート剤を塗布するが、これは可燃性が高く、安全性の問題から使用が限定的であるという課題があった。
 一方、可燃物の表面に塗布するだけで難燃効果を発揮することから、難燃塗料も広く使用されているが、不透明なものが多く、本来の風合いや外観を損なうこともあった。加えて、添加する難燃剤により塗布できる材料が限られることから、幅広い材料に適用できる透明性の高い難燃塗料が求められていた。
 こうした中、水性無機質高分子塗料のパイオニアである大日技研工業は、帝人が保有する優れた難燃剤技術と、大丸興業が扱う特殊アクリル樹脂を組み合わせることにより、幅広い可燃物に対し、本来の風合いを維持しながら、高い難燃性を付与できる水性透明難燃塗料「ランデックスコート 難燃クリア」の開発に成功した。
 「ランデックスコート 難燃クリア」は、リン系難燃剤「FCX-210」や特殊アクリル樹脂などの組成を最適化したことにより、ノンハロゲンアクリル系水性塗料として世界で初めて透明性と難燃性を両立した。
 可燃物の表面に半透明な塗膜を形成することにより、住居空間などにおいて色合いや風合いを維持することができ、高い耐候性や防カビ性、疎水性も有している。
 一般的に難燃塗料は使用できる材料が限られているのに対し、「ランデックスコート 難燃クリア」は、木材、紙、繊維、ゴム、プラスチックなど幅広い材料に塗布することで高い難燃効果を付与することができ、塗料としての「不燃材料認定」「難燃性試験UL94 VTM-0」も取得予定。
 リン系難燃剤「FCX-210」を使用することにより、環境に悪影響を与えるハロゲンを含まない。
 大日技研工業は「ランデックスコート 難燃クリア」を新たなラインナップとして、9月1日より大丸興業を通じて販売を開始する予定。2020年度には「ランデックスコート」シリーズとして10億円の売り上げを目指す。
 帝人は、これまで樹脂用途に向けて、リン系難燃剤「FCX-210」を展開してきたが、今後は高い透明性や難燃性が求められる建築用途やインテリア用途などにも市場開拓を進め、2020年度には難燃剤事業として30億円の売り上げを目指す。


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